2 INCA - 基本的な作業の流れ | 11
測定および適合作業に必要なデータや、実験中に作成されたり変更されたりするデータは、それ
ぞれ個別のデータベースアイテムとして保存されます。これらのアイテムは容易に再利用したり交
換したりすることができます。INCAはこれらのアイテムだけでなくアイテム間の参照関係も管理し
ます。データベースを使用することで、ソフトウェアがこれらの参照関係を「認識」してデータの整合
性を確保でき、ユーザーの作業環境を快適なものにします。
2.1.3 ハードウェアコンフィギュレーションエディタサブシステム(HWC エディタ)
ハードウェアコンフィギュレーションエディタは、測定/適合に使用するハードウェア環境に関する準
備作業を支援するものです。準備作業の主要目的は、どのような種類のハードウェア(測定デ
バイスやECUインターフェースデバイス)を使用するかをソフトウェア上に登録することです。この目
的のため、最適化されたワークスペースにおいて使用するハードウェアを設定できます。つまり、PC
に接続されているハードウェアとそのインターフェースを指定します。各入力から取得する測定信
号や適合パラメータを指定することもできます。ECUインターフェースについては、使用するプロジェ
クトとデータセット(ワーキングデータセットとリファレンスデータセット)を指定します。
ハードウェアについて設定した情報は、ワークスペース内に「ハードウェアコンフィギュレーション」とし
て保存されます。このように設定されたシステム全体を使用し、「実験環境」サブシステムにおいて
さまざまな作業(コールドスタート最適化、アイドリング最適化、個々の車両コンポーネントの測
定など)を実行することができます。
データベースアイテムであるワークスペースは再利用が可能なので、このワークスペースをコピーす
ることにより、そこに定義されているハードウェアコンフィギュレーションをさまざまな実験に再利用す
ることができます。
2.1.4 実験環境(EE)サブシステム
"実験環境" サブシステムには主に、測定/適合作業の実行、およびその準備作業に必要な
機能が含まれています。ここで設定された環境は、「実験」というアイテムとしてデータベースに格
納することができます。
1つのワークスペースは1つの実験を参照します。それに対して、1つの実験を複数のワークスペー
スに割り当てることができます。
実験には、以下のような情報が含まれます。
測定チャンネルの設定
使用する測定シグナル/適合パラメータ
測定/適合ウィンドウ
実験には、ハードウェアの情報は含まれません。データやプログラムのバージョンに関する情報も含
まれません。実験はこれらのデータを参照するだけです。
このサブシステムの機能は、以下の4つのグループにまとめられます。
環境設定
実験の環境を設定します。つまり、測定や適合の対象となる変数を選択してさまざまな
ウィンドウに割り当て、各変数のサンプリングレートや測定範囲、表示パラメータなどを設
定します。
測定と記録
INCA V7.4 | 入門ガイド