ETAS INCA V7.4 インストールガイド

ブランド: ETAS

モデル: INCA V7.4

タイプ: インストールガイド

ETAS INCA V7.4

インストールガイド

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INCA V7.4 - インストールガイド R06 JP - 12.2023

ETAS 目次

1 はじめに 5

1.1 製品の正しい使用法 5

1.2 対象ユーザー 5

1.3 安全に関する注意事項の書式 5

1.4 本製品使用時の安全に関する注意事項 6

1.5 個人情報保護に関する注意事項 6

2 インストールの準備 7

2.1 パッケージの内容 7

2.2 システム要件 7

2.3 ユーザー特権 8

2.4 ファイアウォールの設定 9

2.5 ウィルススキャンの設定 10

3 ソフトウェアをインストールする 11

3.1 サービスパックインストーラによる一括インストール 11

3.2 セットアッププログラムによる個別インストール 14

3.3 複数バージョンのINCAのインストール 15

3.4 ソフトウェアの更新 16

4 ソフトウェアのライセンス管理 17

5 ネットワークアダプタのアドレッシングと構成 18

6 インストールのカスタマイズ 19

6.1 サービスパックインストーラによるインストールのカスタマイズ 19

6.1.1 インストール内容の設定 19

6.1.2 コマンドライン引数を用いたインストール設定 20

6.1.2.1 コマンドライン引数 21

6.1.2.2 エラーコード 22

6.2 セットアッププログラムのカスタマイズ 24

6.2.1 インストール内容の設定 24

6.2.2 ライセンス運用についての設定 26

INCAV7.4 -インストールガイド 3

ETAS 目次

7 ソフトウェアのアンインストール 29

8 トラブルシューティング 30

8.1 パーソナルファイアウォールによる通信のブロック 30

8.1.1 ETASハードウェアへのアクセスに必要なファイアウォール通過の許可 30

8.1.2 XCP on Ethernetへのアクセスに必要なファイアウォール通過の許可 30

8.1.3 DoIP（Diagnostics over Internet Protocol）へのアクセスに必要なファ

イアウォール通過の許可 31

8.1.4 パーソナルファイアウォールの設定変更 31

8.2 ETASネットワーク用のネットワークアダプタを選択できない 32

8.3 インストールに失敗する 33

8 お問い合わせ先 35

索引 36

INCAV7.4 -インストールガイド 4

1 はじめに | 5

1 はじめに

1.1 製品の正しい使用法

INCAとINCAアドオンは、自動車への応用を前提に開発されたものであり、それらのユーザード

キュメントに記述された範囲でのみ使用することができます。

ETAS GmbHは、誤った使い方や安全情報を守らないことによって生じた損害については責任

を負いかねます。

1.2 対象ユーザー

本ソフトウェア製品および本ユーザーガイドは、自動車用ECUの開発・適合に携わる有資格者

や、ソフトウェアをインストール・保守・アンインストールするシステム管理者または管理者権限の

あるユーザーを対象としています。計測とECUに関する技術的な専門知識が必要とされます。

1.3 安全に関する注意事項の書式

以下の「安全に関する注意事項」は、人身事故や物的損害につながる危険性を警告するもの

です。

危険

危険：記載事項を守らないと死亡または重傷のリスクが高い危険性について説明していま

す。

警告

警告：記載事項を守らないと死亡または重傷のリスクを招く可能性のある危険性について説

明しています。

注意

注意：記載事項を守らないと軽～中程度の負傷のリスクを招く可能性のある危険性につい

て説明しています。

ご注意ください！

ご注意ください！：記載事項を守らないと物的損害を招く可能性のある状況について説明

しています。

INCA V7.4 - インストールガイド

1 はじめに | 6

1.4 本製品使用時の安全に関する注意事項

INCAとINCAアドオンを用いた作業を行う際には、以下の安全情報を遵守してください。

警告

予期しない車両の挙動を招く危険があります。

適合操作は、ECU、およびECUに接続されたシステムの挙動に影響を与えます。

その結果、エンジンが停止したり、予期せぬ車両の挙動（ブレーキング、加速、操舵など）が

発生する可能性があります。

適合操作は、製品の使用に関する講習を受け、接続されたシステムの起こり得る反応を評

価できる方のみが実施してください。

警告

予期しない車両の挙動を招く危険があります。

CAN、LIN、FlexRay、イーサネットなどのバスシステムでメッセージを送信すると、接続された

システムの動作に影響を与えます。

その結果、エンジンが停止したり、予期せぬ車両の挙動（ブレーキング、加速、操舵など）が

発生する可能性があります。

バスシステム経由のメッセージ送信は、各バスシステムの使用に関する十分な知識があり、接

続されたシステムの起こり得る反応を評価できる方のみが実施してください。

「ETAS Safety Advice - 安全上のご注意」の指示、およびINCAのヘルプとユーザーガイドに

記載されている安全情報を遵守してください。この情報を参照するには、INCAのヘルプメニュー

ヘルプ >安全上のご注意を選択してください。

1.5 個人情報保護に関する注意事項

INCAの使用時には個人データが処理されます。本製品の購入者は、管理者として、GDPR

（General Data Protection Regulation：EU の一般データ保護規則）のArticle 4

No. 7 に従いこれらの処理の法的適合性を確保する必要があります。製造者であるETASは、

当該データの不適切な扱いに関して、いかなる場合も責任を負いません。

詳細については、INCAのヘルプを参照してください。

INCA V7.4 - インストールガイド

2 インストールの準備 | 7

2 インストールの準備

本章では、INCA V7.4製品パッケージの内容、および製品をインストールするためのハードウェア

要件とソフトウェア要件について説明します。

2.1 パッケージの内容

インストールDVDおよびインストールパッケージ（サービスパック）には、以下のアイテムが含まれ

ています。

INCA、MDA、ETK ツール

INCAアドオン

ハードウェアサービスパック（HSP）

ドキュメント

lヘルプ

lユーザーマニュアル

lビデオチュートリアル

注記

インストールパッケージのダウンロード方法などについての詳細は、「ソフトウェアをインス

トールする」（ページ11）を参照してください。

2.2 システム要件

以下の表は、INCAを操作するための「必要最低条件」と「推奨条件」をまとめたものです。「必

要最低条件」は、比較的小規模のプロジェクトを扱う際にINCAがスムーズに動作することを保

証するものです。処理をより高速化したい場合は、「推奨条件」を満たすようにしてください。特

に、非常に規模の大きなプロジェクトや実験を扱うには、より多くのメモリが必要になります。

INCAのパフォーマンスに影響を与える要因に関する詳細は、INCAのインストールフォルダ内の

Manualサブフォルダにインストールされているパフォーマンス向上に関するPDFドキュメント『パ

フォーマンス向上のためのヒント』を参照してください。

注記

システム要件についての詳細は、リリースノートを参照してください。

INCA V7.4 - インストールガイド

2 インストールの準備 | 8

必要最低条件推奨条件

オプションハードウェアネットワークアダプタ

DVD-ROMドライブ

（DVDからインストール

を行う場合のみ）

ネットワークアダプタ

DVD-ROMドライブ

（DVDからインストール

を行う場合のみ）

プロセッサ 2 GHz 3 GHzクアッドコアプロ

セッサ、またはその同等

品

RAM 2 GB 16 GB

グラフィックカード 1024×768の解像度

256 MB RAM

16ビットカラー

／DirectX 9

1280×1024の解像

度

1 GB RAM

32ビットカラー

／DirectX 9

ハードディスクの空き容

量

5 GB（ユーザーデータ

を含まず）

10 GB以上

オペレーティングシステム Windows® 8.1

（64ビット）

Windows® 10

Version 1803以上

（64ビット）

Windows® 10

EnterpriseLTSC

2016以上（64ビッ

ト）

Windows® 11

（64ビット）

WINDOWS®

Server

2016/2019/2022

（64ビット）

Windows® 10

（64ビット）

※サポートしているOS言語は、英語、フランス語、日本

語、中国語、ドイツ語です。

2.3 ユーザー特権

管理者特権

以下のことを行うには、Windowsの管理者特権が必要です。

ソフトウェアをインストールする

ソフトウェアの再登録を行わずに特定バージョンのCOM APIにアクセスする

INCA V7.4 - インストールガイド

2 インストールの準備 | 9

ユーザー特権

ソフトウェアを操作するユーザーは、以下の場所への読み取り／書き込みアクセス権が必要で

す。

レジストリの以下のフォルダとその全サブフォルダ

lINCA用：

HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\ETAS

lINCAの操作に関連する32ビットコンポーネント用：

HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\WOW6432Node\ETAS

TEMPディレクトリ（INCAのインストール時に指定可能）

プログラムのインストール先のディレクトリ

ETASShared14（例：c:¥Program files¥Common

files¥ETAS¥ETASShared14）内の共有コンポーネント

INCAデータディレクトリ（例：c:¥ETASData）とその全サブディレクトリ

共通ディレクトリ（c:¥Program Files¥Common Files¥ETAS）とその全サブ

ディレクトリ

ETASログファイルディレクトリ

（例：c:¥ETAS¥LogFiles、%AppData%¥ETAS¥Setup）とその全サブディレク

トリ

リモートアクセスを行う場合も、同じユーザー特権が必要です。

2.4 ファイアウォールの設定

INCA用PCで使用されているファイアウォールについては、INCAが使用する測定／適合ハード

ウェアとの通信をブロックしないように設定してください。ポートの設定に関する詳細な情報は、使

用するファイアウォールソフトウェアのユーザードキュメントを参照してください。

アクセス許可の必要なポートについては、「トラブルシューティング」（ページ30）を参照してくださ

い。

INCA V7.4 - インストールガイド

2 インストールの準備 | 10

2.5 ウィルススキャンの設定

ウィルススキャンソフトウェアによりシステムのパフォーマンスが著しく低下する可能性があり、極端

な場合は、システムがフリーズして記録データが無効になってしまうように見えることもあります。

操作手順:ウィルススキャンによるパフォーマンス低下を防ぐ

1. INCA用PC上で、ウィルススキャン用のスキャンパスから以下のパス1) を除外します。

l<ドライブ>:\Program Files\ETAS

l<ドライブ>:\ETAS

l<ドライブ>:\ETASData

lINCAが使用する一時ディレクトリ

2. ウィルススキャンのスケジュールを変更し、INCAを使用しない時間帯に実行されるように

してください。

1) 各パスはINCAのインストール時に変更できるため、実際のパスはPCごとに異なる場合がありま

す。

INCA V7.4 - インストールガイド

3 ソフトウェアをインストールする | 11

3 ソフトウェアをインストールする

インストールを行う前に、PCがシステム要件を満たしていることを確認してください。詳しくは「イン

ストールの準備」（ページ7）を参照してください。インストールと更新には2とおりの方法があり、

サービスパックインストーラで一括して行うか、または各ソフトウェア／アドオンのセットアッププログラ

ム（Setup.exe）で個別に行うことができます。

操作手順:INCAインストールパッケージ（サービスパック）をダウンロードする

1. ETASホームページで、ダウンロードセンターを開きます。

2. アイテムリストのヘッダで、INCA >INCA V7.4 >ソフトウェアを選択します。

3. インストールパッケージ（*.zip）をダウンロードします。

4. Windowsエクスプローラで、ダウンロードしたZIPファイルを選択して右クリックし、ショート

カットメニューからプロパティを選択します。

5. 全般タブで、セキュリティ：グループのブロックの解除チェックボックスをオンにします。

6. ZIPファイルを解凍します。解凍する場所は、以下の注記に従ってください。

注記

セットアップされるすべてのコンポーネントの完全なファイル名とディレクトリ名には制限事

項があり、すべて所定の文字数以下にする必要があります。それぞれの文字数は個

別に計算されます。

ダウンロードしたサービスパックは、インストーラプログラムSetup_

ServicePack.exeのパスが80文字を超えないような場所に置いてください。

インストールパッケージのフォルダ構成やフォルダ名、ファイル名は、変更しないでくださ

い。

3.1 サービスパックインストーラによる一括インストール

サービスパックインストーラ（下図参照）は、複数のソフトウェア（INCAやMDA）とそのアドオ

ン、各種ツールなどを一括して自動的にインストールするものです。このインストーラは、デフォルト

設定を用いてインストールを行います。デフォルト設定をカスタマイズする方法は、「インストールの

カスタマイズ」（ページ19）を参照してください。

INCA V7.4 - インストールガイド

3 ソフトウェアをインストールする | 12

1. ソフトウェア一覧：サービスパックインストーラでインストールできるETAS製品のソフトウェ

アが階層表示されます。すでにPCにインストールされているソフトウェアについては「インス

トール済みバージョン」列にそのバージョンが表示されます。「サービスパックのバージョン列」

にはこのインストーラでインストールできるバージョンが表示されます。「インストール」列の

チェックボックスではインストールするソフトウェアを選択することができます。

「ステータス」列には、各ソフトウェアの状態を表す以下のアイコンが表示されます。

アイコン状態

インストール（または修復）処理が行われます。

インストール（または修復）処理が正常に行われました。

サービスパックのバージョンにダウングレードされます。

サービスパックのバージョンにアップグレードされます。

PCにインストールされていません。

インストールが中断され、PCの再起動待ち状態です。

インストール（または修復）処理中にエラーが発生しました。

2. 修復モードチェックボックス：インストール済みのバージョンに問題が生じていて、修復する

必要がある場合は、このチェックボックスをオンにします。

INCA V7.4 - インストールガイド

3 ソフトウェアをインストールする | 13

3. 言語選択ドロップダウンリスト：デフォルト設定では英語です。ここで選択した言語は、

サービスパックインストーラだけでなく、インストール済み、または今後インストールされる

INCA とINCA アドオンにも適用されます。

4. インストールまたは修復の処理を開始します。

5. インストールや修復の処理がまだ実行されていない場合は、「閉じる」ボタンでサービスパッ

クインストーラを終了することができます。

操作手順:ソフトウェアをインストールする

1. PC上で実行されているETASのソフトウェアをすべて終了します。

注記

他のソフトウェア（オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムなど）の更新と

並行してINCAのインストールを行うことはできません。他の更新処理がすでに実行さ

れている場合は、その終了を待ち、PCを再起動してからINCAのインストールを行って

ください。

2. サービスパックのルートにあるSetup_ServicePack.exeを起動します。

"サービスパックインストーラ" ウィンドウが開きます。

3. インストール列で、インストールするソフトウェア製品とアドオンを選択します。

グループの最上位のアイテムを選択すると、下位のアイテムがすべて選択されます。

4. セットアップ用言語を選択します。

注記

ここで選択した言語は、サービスパックインストーラだけでなく、インストール済み、または

今後インストールされるINCAとそのアドオンにも適用されます。

5. 設定内容を確認し、インストールをクリックします。

インストールが開始され、ステータス列に各ソフトウェアの処理状況が表示されます。終

了すると、インストールボタンが再起動のオプションボタンに変わります。

6. 再起動のオプションボタンをクリックします。

再起動について設定するためのダイアログボックスが開きます。

注記

インストールの終了後は、システムを再起動することをお勧めします。

一部のソフトウェアは、インストール処理の途中で再起動が必要になる場合がありま

す。その場合はステータス列に警告アイコンが表示され、PCの再起動後に処理が

続行されます。

7. 再起動のオプションを選択します。

8. OK をクリックします。

サービスパックインストーラは、指定されたソフトウェアを自動的にサイレントモードでインストールす

るので、個別のインストールウィンドウなどは開きません。

INCA V7.4 - インストールガイド

3 ソフトウェアをインストールする | 14

操作手順:製品DVDでインストールを行う

1. PC上で実行されているETASのソフトウェアをすべて終了します。

2. PCのDVDドライブにINCAの製品DVDを挿入します。

インストールプログラムが自動的に起動します。

起動しない場合は、DVD内のautostart.exeファイルを手動で実行してください。

3. 国旗のアイコンをクリックして、インストーラの表示言語を選択します。

4. インストール（日本語を選択した場合）をクリックします。

5. INCA V7.4 / MDA V8.6 / アドオン（日本語を選択した場合）をクリックします。

"サービスパックインストーラ" ウィンドウが開きます。

6. 「ソフトウェアをインストールする」（前ページ）の手順でインストールを行います。

3.2 セットアッププログラムによる個別インストール

個別インストールを行う場合は、サービスパックインストーラを使用せずに個別のインストールルー

チンを使用します。個別インストールを行うと、個々のETASソフトウェアを１つずつインストールす

ることができます。

操作手順:INCAのメインソフトウェア（例）を個別にインストールする

1. PC上で実行されているETASのソフトウェアをすべて終了します。

2. 社内規定に応じて、インストーラファイルはDVDまたはネットワークドライブで提供されま

す。

INCA のインストールディレクトリからSetup.exe を起動します。デフォルトにおいて、

setup.exeは<root>¥01_INCA_V7.4.<x>¥00_Prod_INCA_74<x>_

x64に保存されています。

ネットワークドライブからソフトウェアをインストールする場合は、setup.exe ファイルを実

行します。

セットアッププログラムのインストールウィザードが開きます。

3. 必要に応じてインストーラの表示言語を選択し、次へをクリックします。

各種データ（プログラムファイル、プログラムデータ、ログファイル、一時ファイルなど）は、それぞれ

個別のディレクトリに保存されます。後にソフトウェアアンインストールや更新を行うと、プログラム

ファイルはすべて削除（または上書き）されますが、プログラムデータはそのまま保持されます。プ

ログラムデータには以下のようなものが含まれます。

データベース

可変ユーザーインターフェース

デモ用の各種ファイル

測定ファイル

ユーザープロファイル

INCA V7.4 - インストールガイド

3 ソフトウェアをインストールする | 15

注記

INCA データファイル用にProgram Files下のフォルダを指定すると、Windowsのユー

ザー権利の設定によってはINCA からこのフォルダにアクセスできない場合があります。

INCAのデータファイルは、Program Files フォルダに保存しないでください。データフォルダ

には必ずすべてのユーザーが読み書き権限を持つ場所を指定してください。

注記

ここで選択した言語はグローバル設定として扱われ、ETASのすべての多言語対応ソフトウェア

のユーザーインターフェースに適用されます。

注記

インストールウィザードにはユーザー情報を入力するページが含まれますが、このページへの入

力は任意です。ここに入力された情報はINCAの操作時に使用されます。

3.3 複数バージョンのINCAのインストール

INCAは、複数のバージョンを同じPCにインストールして使用することができます。つまり、旧バー

ジョンのINCAがインストールされているPCに、INCA V7.4をインストールすることができます。

ただし、1台のPCに複数バージョンのINCAをインストールする際には、以下の点に留意してくださ

い。

INCA V7.2以前のバージョンのデータベースをINCA V7.3またはV7.4で開こうとする

と、INCAはユーザーに対して、このデータベースを新しい64ビットフォーマットに変換するこ

とを勧めます。

INCA V7.3で作成したデータベースをINCA V7.4で開いた場合は、INCA V7.3でそ

のデータベースを再び開いて編集することができます。

INCA V7.2で作成したデータベースをINCA V7.4で開いた場合は、そのデータベースを

V7.4上で手動で旧フォーマットに変換することにより、INCA V7.2でそのデータベースを

再び開いて修正することが可能になります。この変換は、データベースマネージャでイン

ポート／エクスポート機能を用いて行います。これらの機能については、INCAオンライン

ヘルプの「データベースアイテムをエクスポートする」と「データベースアイテムをインポートす

る」を参照してください。

INCA V7.4で作成したデータベースをINCA V7.3またはそれ以前のバージョンで開くと、

INCA V7.4において新たに実装された機能に関連するアイテムは、失われます。

INCA V7.4 - インストールガイド

3 ソフトウェアをインストールする | 16

3.4 ソフトウェアの更新

プログラムのアップデートにはサービスパックインストーラを使用します。現在インストールされている

INCAのバージョンをアップグレードまたはダウングレードすることができます。インストーラによってアッ

プグレードされるソフトウェアについてはステータス列にアップグレードアイコンが表示され、ダ

ウングレードされるソフトウェアにはダウングレードアイコンが表示されます。

サービスパックに含まれるソフトウェアの一覧を見るには、「サービスパックインストーラによる一括イ

ンストール」（ページ11）を参照してサービスパックインストーラを開いてください。サービスパックに

含まれているソフトウェアについては、サービスパックのバージョン列にそのバージョンが表示され、ス

テータス列にアップグレードアイコンが表示されます。

注記

サービスパックインストーラに含まれていないINCAアドオンがPCにインストールされてい

る場合は、これらもすべて個別に更新する必要があります。更新されていないアドオン

があると、ソフトウェアが正しく機能しなくなる可能性があります。

INCAとともにハードウェアを使用している場合は、すべてのファームウェアの更新も必要

です。適切なバージョンのHSP（ハードウェアサービスパック）をご利用ください。対応

バージョンはリリースノートに記載されています。

INCA V7.4 - インストールガイド

4 ソフトウェアのライセンス管理 | 17

4 ソフトウェアのライセンス管理

ETASのソフトウェアを使用するには、有効なライセンスが必要です。ライセンスは、下記のいずれ

かの方法で入手できます。

ツール管理者

ETASホームページのセルフポータルサイト：

www.etas.com/support/licensing

ETAS ライセンスマネージャ（ETAS License Manager）

ライセンスをアクティベートする際は、製品のご購入時にETASから入手したアクティベーションID

を入力する必要があります。

ライセンスの管理について詳しくは、ETAS License Management FAQまたはライセンスマ

ネージャのヘルプを参照してください。

ETASライセンスマネージャは、ETASのソフトウェアをインストールしたコンピューター上で使用可

能になります。

1. WindowsのスタートメニューからE>ETAS >ETAS License Managerの順に

選択します。

ETAS ライセンスマネージャが開きます。

2. ライセンスマネージャの画面をクリックし、 F1をクリックします。

ライセンスマネージャのヘルプが表示されます。

INCAのリモート操作

インターネットまたはネットワークアプリケーション（Microsoftリモートデスクトップ、その他の端末

／デバイスサービスなど）を介してINCAワークステーションライセンス（マシンベースライセンス）

を使用することはできません。ただしこの制限は、テストベンチ用通信プロトコル（ASAP 3、

MCD-3 MC、iLinkRT）を介したINCAの操作には適用されません。

ユーザーネームライセンスまたはフローティングライセンス（コンカレントライセンス）を使用する場

合は、同時に1人のユーザーが1つのライセンスのみを使用することが保証されている限り、

Microsoftリモートデスクトップ経由でINCAにアクセスすることができます。

INCA V7.4 - インストールガイド

5 ネットワークアダプタのアドレッシングと構成 | 18

5 ネットワークアダプタのアドレッシングと構成

ETAS ネットワークマネージャは、ETAS IPマネージャが使用するコンフィギュレーション（ネット

ワーク構成）を作成するためのツールです。IP マネージャは、ネットワーク接続されたETAS ハー

ドウェアの動的IP アドレッシングを行います。

Windowsのスタートメニューから以下を選択します。

E>ETAS INCA 7.4 >INCA V7.4 Tools >ETAS Network Settings

ネットワークマネージャのウィンドウに表示される指示に従って操作してください。アドレッシングや構

成などに関する詳細は、ネットワークマネージャのオンラインヘルプ（<F1>）を参照してくださ

い。

INCA V7.4 - インストールガイド

6 インストールのカスタマイズ | 19

6 インストールのカスタマイズ

INCAのインストーラファイル（製品DVD、またはETASダウンロードセンターからご入手いただけ

ます）は、ネットワークドライブにコピーしたものを各ユーザーに提供することができます。ネットワー

クインストールの利点は、インストールを行う前にあらかじめインストール内容を調整しておくことが

できる点にあります。これにより、社内共通のデフォルト設定を適用することが可能になります。

INCAソフトウェアのインストールは、サービスパックインストーラによる一括インストールのほか、

個々のソフトウェア製品を個別にインストールすることもできます。個別インストールにおいては、イ

ンストール処理とライセンス管理に関する設定をカスタマイズすることができます。

6.1 サービスパックインストーラによるインストールのカスタマイズ

ネットワーク経由でサービスパックインストーラによるインストールを行う際には、前もってインストー

ルのデフォルト設定を変更しておくことができます。

これは設定ファイルInstallation.xmlを調整することによって行います。このファイルはサー

ビスパックのルートディレクトリにあり、テキストエディタで開くことができます。

また、コマンドラインからインストールを行うと、コマンドライン引数によって処理内容を指定すること

ができます。

6.1.1 インストール内容の設定

サービスパックインストーラの設定ファイルInstallation.xmlは、どのソフトウェアやアドオンを

インストールするかを定義するもので、サービスパックインストーラと同じ場所に格納されています。

ファイル内では以下の3種類のXMLタグが使用されています。

1. <Product>は、インストールするソフトウェアを示します。

このタグには以下の2つの属性が含まれます。

laction：installはソフトウェアのインストールを行い、defaultは何もアクショ

ンを実行しません。

lname：インストールするソフトウェアの名前（INCAまたはMDA）

2. <Category>は、<Product>タグ内の2つのセクションを示します。

このタグには以下の2つの属性が含まれます。

laction：installはアドオンのインストールを行い、defaultは何もアクションを

実行しません。

lname：01_General AddOns (free)は無償アドオン、02_Licensed

AddOnsはライセンスの必要なアドオンです。

3. <Addon>は使用可能なすべてのアドオンを示します。

このタグには以下の2つの属性が含まれます。

laction：inheritedは親タグの設定（installまたはdefault）を継承

し、excludeはアドオンをインストールしません。

lname：アドオンの名前（次表に一覧を示します）

actionパラメータには以下の値を使用できます。

INCA V7.4 - インストールガイド

6 インストールのカスタマイズ | 20

値意味

Default このパッケージの別バージョンがすでにインストールされていて、そのアップグレー

ドまたはダウングレードが必要な場合に限り、インストールが実行されます。

Install 可能な場合はインストールが実行されます。サブパッケージ（アドオンなど）

については、当該サブパッケージに対応するバージョンの基本製品がすでにイ

ンストールされているか、またはインストールが必要な場合に限り、実行されま

す。

Exclude 当該パッケージは、その親パッケージがアップグレード／ダウングレードされる場

合を除き、インストール処理から除外されます。

Inherited サブパッケージのアクションは、その親パッケージから継承されます。

INCAのアドオンには、以下のものがあります。

無償アドオンライセンスの必要な有償アドオン

AddOn_EV-Instruments AddOn_MCE

AddOn_DriveRecorder AddOn_Vector-Hardware

AddOn_eCDM AddOn_FlexRay

AddOn_Video-Tutorials AddOn_LIN

AddOn_QM-Basic

AddOn_EIP

AddOn_SIP

AddOn_ODX

AddOn_CANTransmit

AddOn_CAN-Trace

AddOn_INCA-VoiceRecorder

AddOn_INCA-TOUCH

AddOn_RDE

6.1.2 コマンドライン引数を用いたインストール設定

コマンドラインでサービスパックインストーラを実行すると、コマンドライン引数で処理内容を指定す

ることができます。これによって、インストールルーチン実行中にダイアログボックスが開かないように

して、すべてのコマンドを非表示で実行することができます。このオプションを使用すれば、ユーザー

の作業を中断することなくPCにINCAをインストールすることができます。

操作手順:コマンドライン引数の使用例

Setup_ServicePack.exe [[/S |/VS | /I] | /T | /R |

/AllowRestart | /NoRestart | /CreateConfiguration |

/NoAutoResume | /DefaultConfiguration=<filename> |

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