ETAS INCA-MIP ユーザーガイド

  • こんにちは!ETAS INCA-MIP V7.4 ユーザーガイドの内容を理解しています。ECUの適合や測定の自動化、MATLABとの連携、メモリページ管理などについてご質問があれば、お気軽にお尋ねください。
  • INCA-MIPのインストール方法を教えてください。
    拡張API関数を使用するにはどうすればよいですか?
    MATLABとINCAの基本知識は必要ですか?
    リングバッファとは何ですか?
    適合変数とは何ですか?
ETAS INCA-MIP V7.4
ユーザーガイド
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INCA-MIP V7.4 | ユーザーガイド R02 JP | 06.2023
本書の内容
1 はじめに 6
1.1 製品の正しい使用法 6
1.2 対象ユーザー 6
1.3 安全に関する注意事項の書式 6
1.4 本製品使用時の安全に関する注意事項 7
1.5 個人情報保護に関する注意事項 7
2 INCA-MIPの概要 8
2.1 INCA用語集 8
3 INCA-MIPアドオンのインストール 11
3.1 システム要件 11
3.2 INCA-MIPのインストール 11
3.3 MATLAB® Toolboxディレクトリ用キャッシュの更新 13
3.4 MATLAB® Toolboxディレクトリ用キャッシュの無効化 13
3.5 ソフトウェアのライセンス管理 14
4 API関数 15
4.1 INCA-MIP APIのサンプルファイル 18
4.2 一般的な機能 18
4.2.1 INCA-MIPインターフェースのメッセージID取得 19
4.2.2 スクリプト実行中のメッセージ表示 21
4.2.3 有効なINCA-MIPライセンスの確認(拡張コマンド) 21
4.2.4 インストール済みINCAバージョンに関する情報の取得 22
4.2.5 インストール済みアドオンに関する情報の取得 22
4.2.6 INCAバージョンの取得 23
4.2.7 INCAプロパティの取得(拡張コマンド) 23
4.3 初期化 24
4.3.1 INCAを開く 24
4.3.2 INCAを閉じる (拡張コマンド) 25
4.3.3 データベースを開く 25
4.3.4 データベースのインポート(拡張コマンド) 25
4.3.5 データベースアイテムの読み込み(拡張コマンド) 26
4.3.6 デバイスにプロジェクトとデータセットを割り当てる(拡張コマンド) 27
4.3.7 実験を開く 28
4.3.8 実験のリセット 28
4.3.9 デバイスの取得(拡張コマンド) 29
INCA-MIP V7.4 | ユーザーガイド
本書の内容 | 3
4.3.10 デバイスプロパティの取得(拡張コマンド) 29
4.4 測定と記録 30
4.4.1 測定変数の取得(拡張コマンド) 31
4.4.2 測定ラスタの取得(拡張コマンド) 31
4.4.3 測定変数を実験に追加する 32
4.4.4 測定の開始 33
4.4.5 測定終了 34
4.4.6 記録のプロパティの取得(拡張コマンド) 34
4.4.7 記録のプロパティの設定(拡張コマンド) 36
4.4.8 記録モードの取得(拡張コマンド) 37
4.4.9 記録モードの設定(拡張コマンド) 38
4.4.10 記録の開始 39
4.4.11 記録の終了 39
4.4.12 データの読み込みモードの設定(オンライン・オフライン) 40
4.4.13 測定データの取得 41
4.4.14 リングバッファのリセット 43
4.4.15 ハードウェアステータスの取得(拡張コマンド) 43
4.4.16 トリガの設定(拡張コマンド) 44
4.4.17 手動トリガの発行(拡張コマンド) 47
4.4.18 記録ステータスの取得(拡張コマンド) 47
4.4.19 測定変数リストの取得(拡張コマンド) 47
4.5 適合 48
4.5.1 適合変数の取得(拡張コマンド) 48
4.5.2 適合変数の追加 49
4.5.3 適合値の取得 49
4.5.4 適合値の変更(適合の実行) 52
4.5.5 データセットをデバイスに割り当てる (拡張コマンド) 55
4.5.6 デバイスのデータセットリストを取得(拡張コマンド) 55
4.5.7 適合モードの設定(拡張コマンド) 56
4.5.8 グループデバイス(拡張コマンド) 56
4.5.9 DCMファイルの書き込み(拡張コマンド) 57
4.6 メモリページマネージャ 57
4.6.1 メモリページの切り替え 57
4.6.2 カレントページの取得(拡張コマンド) 58
4.6.3 書き込み保護チェック 58
4.6.4 メモリページのダウンロード 59
4.6.5 メモリページのコピー 59
4.6.6 不一致部分のダウンロード 59
4.6.7 メモリページのアップロード(拡張コマンド) 60
INCA-MIP V7.4 | ユーザーガイド
本書の内容 | 4
4.7 応用例 60
5 コンパイラを用いたスタンドアロン実行ファイルの作成と配布 62
5.1 Mファイルのコンパイル 62
5.2 スタンドアロン実行ファイルの配布 63
6 お問い合わせ先 64
索引 65
INCA-MIP V7.4 | ユーザーガイド
本書の内容 | 5
1 はじめに | 6
1 はじめに
1.1 製品の正しい使用法
INCAとINCAアドオンは、自動車への応用を前提に開発されたものであり、それらのユーザード
キュメントに記述された範囲でのみ使用することができます。
INCA-MIPアドオン(INCA MATLAB®統合パッケージ)は、INCAを用いてMATLAB®
機能を制御するためのAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)です。
INCAとINCAアドオンは、工業用実験室や試験用車両での使用を想定しています。
ETAS GmbHは、誤った使い方や安全情報を守らないことによって生じた損害については責任
を負いかねます。
1.2 対象ユーザー
本ソフトウェア製品および本ユーザーガイドは、自動車用ECUの開発・適合に携わる有資格者
や、ソフトウェアをインストール・保守・アンインストールするシステム管理者または管理者権限の
あるユーザーを対象としています。計測とECUに関する技術的な専門知識が必要とされます。
INCA-MIP APIを使用するには、INCAとMATLAB®についての基本知識が必要です。また
MATLAB®スクリプトの使用方法についてもよく理解している必要があります。
1.3 安全に関する注意事項の書式
以下の「安全に関する注意事項」は、人身事故や物的損害につながる危険性を警告するもの
です。
危険
記載事項を守らないと死亡または重傷のリスクが高い危険性について説明しています。
警告
記載事項を守らないと死亡または重傷のリスクを招く可能性のある危険性について説明して
います。
注意
記載事項を守らないと軽~中程度の負傷のリスクを招く可能性のある危険性について説明し
ています。
INCA-MIP V7.4 | ユーザーガイド
1 はじめに | 7
ご注意ください!
記載事項を守らないと物的損害を招く可能性のある状況について説明しています。
1.4 本製品使用時の安全に関する注意事項
INCAとINCAアドオンを用いた作業を行う際には、以下の安全情報を遵守してください。
警告
予期しない車両の挙動を招く危険があります。
適合操作は、ECU、およびECUに接続されたシステムの挙動に影響を与えます。
その結果、エンジンが停止したり、予期せぬ車両の挙動(ブレーキング、加速、操舵など)が
発生する可能性があります。
適合操作は、製品の使用に関する講習を受け、接続されたシステムの起こり得る反応を評
価できる方のみが実施してください。
警告
予期しない車両の挙動を招く危険があります。
CAN、LIN、FlexRay、イーサネットなどのバスシステムでメッセージを送信すると、接続された
システムの動作に影響を与えます。
その結果、エンジンが停止したり、予期せぬ車両の挙動(ブレーキング、加速、操舵など)が
発生する可能性があります。
バスシステム経由のメッセージ送信は、各バスシステムの使用に関する十分な知識があり、接
続されたシステムの起こり得る反応を評価できる方のみが実施してください。
「ETAS Safety Advice - 安全上のご注意」の指示、およびオンラインヘルプとユーザーガイドに
記載されている安全情報を遵守してください。この情報は、INCA の ヘルプ メニューから安全上
のご注意 を選択して開くことができます。
1.5 個人情報保護に関する注意事項
INCA-MIPの使用時には個人データが処理されます。本製品の購入者は、GDPR
(General Data Protection Regulation: EU の一般データ保護規則)のArt. 4 No.
7 に従って、これらの処理の法的適合性を確保する責任があります。製造者であるETASは、
当該データの不適切な扱いに関して、いかなる場合も責任を負いません。
詳細については、INCAオンラインヘルプを参照してください。
INCA-MIP V7.4 | ユーザーガイド
2 INCA-MIPの概要 | 8
2 INCA-MIPの概要
INCA-MIPアドオン(INCA MATLAB®統合パッケージ)は、INCAを用いてMATLAB®
機能を制御するためのAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)です。クライアントで
あるMATLAB®がこれらのAPIを用いてサーバーであるINCAのリソースにアクセスします。
下図は、INCA-MIP APIの典型的な使用例を示すものです。INCAとECU間のデータアクセ
にはETKが使用されています。
INCA-MIP APIを用いることにより、以下のようなINCAの機能をMATLAB®から実行すること
ができます。
メモリページ管理
メモリページの切り替え、ECUへのメモリページのダウンロードなどが行えます。
適合
INCAの実験に含まれるすべての適合変数を適合することができます。値は、変数ごとに読
み取って変更でき、カーブやマップが参照する軸ポイントディストリビューションの書き換えも可
能です。
測定
INCAの実験に含まれるすべての測定変数を読み取ることができます。測定の開始や停止
をMATLAB®から行うこともできます。INCAのステータス情報などもMATLAB®からアクセス
できます。INCA-MIPインターフェースのパフォーマンスは最適化され、高いスループットを実
現しています。
INCAは、測定変数と適合変数の値を倍精度の浮動小数点型で送信するので、MATLAB®
側で値を変換する必要がありません。
MATLAB®スクリプト(「Mファイル」と呼ばれます)からINCA-MIPAPI関数(以下「コマン
ド」とも呼ばれます)を呼び出すことにより、INCAの実験の全制御フローを定義することができま
す。
本書は、INCA-MIP APIの概念、インストール方法、使用方法、さらに各API関数の機能と使
用方法について説明するものです。本書にはMATLAB®とINCAの基本概念や使用方法は記
載されていません。
2.1 INCA用語集
APIの説明では、INCAを使い慣れたユーザーであればすでにご存じの技術用語が使用されて
います。以下にこれらの用語を簡単に説明します。
INCA-MIP V7.4 | ユーザーガイド
2 INCA-MIPの概要 | 9
適合変数
適合変数は、値の読み込みと書き込みが可能な変数です。適合変数のタイプには、スカラ
値、配列、行列、カーブ、マップがあります。カーブとマップが参照する軸ポイントディストリ
ビューションも、読み込みと書き込みが可能です。
データレコード
1つのレコードは1回の測定で生成され、タイムスタンプと、1つのシグナルグループに含まれる
すべての測定変数の値で構成されます。1つのシグナルグループの測定データは、測定プロセ
ス全体を通じて生成される複数のレコードで構成されます。
デバイス
測定変数の値を一定の周期で取り込むことのできる測定用ハードウェアを指します。一部の
測定デバイスでは適合変数の適合を行うこともできます。たとえばSMBデバイスは測定の
可能ですが、ETKは測定と適合が可能です。
測定データ
1回の測定作業において各測定ラスタで記録されたすべての測定値を指します。複数のデー
タレコードから構成されます。
測定ラスタ
1つのシグナルグループとして一連のシグナルを取り込むためのサンプリングレート(測定
期)を表すものです。
複数のラスタを「マルチラスタ」として組み合わせて使用することができます。マルチラスタは、使
用したいラスタの名前を '+' という文字で連結するだけで簡単に定義することができます
(例:'10ms+100ms')。このような「マルチラスタ」を指定すると、新しい仮想ラスタが生
成されます。1つのシグナルの測定は、1つのラスタ、またはマルチラスタのいずれかでのみ行え
ます。
リングバッファ
INCAからMATLAB®へ確実に測定データを転送するために、各測定ラスタ(シグナルグ
ループ)ごとに専用のリングバッファが使用されます。INCAでオンライン測定または記録が行
われている間、取得された測定データは、自動的にリングバッファ内に保存されます。
リングバッファに保存されたタイムスタンプとデータをMATLAB®に転送するには、
IncaGetRecordsコマンドを使用します。
INCA-MIP V7.4 | ユーザーガイド
2 INCA-MIPの概要 | 10
リングバッファに保存される測定データはシグナルあたり1Mバイトに制限されており、全体で
8秒間の測定データを保持することができますが、この時間はサンプリングレートに応じて変わ
ります。バッファが満杯になると、データは古い順に上書きされます。データが上書きされて失
われてしまうのを防ぐには、周期的にIncaGetRecordsを実行してください。適切な周期
は、通常1秒です。
IncaResetRecordsコマンドを実行すると、すべての測定ラスタのリングバッファ内に保存
されたタイムスタンプとデータを消去することができます。これにより、リングバッファに保存されて
いたデータはすべて失われます。
シグナル
シグナルは、INCAで測定される1つの測定変数を指します。各シグナルには、データ型(論
理値、整数、浮動小数点)、データ長(1、2、4、8)、および変換式が定義されていま
す。変換式は、物理値から実装値への変換方法を定義したものです。
シグナルグループ
シグナルグループは複数のシグナルで構成されます。1つのシグナルグループ内のすべてのシグ
ナルは1つの測定ラスタで測定されます。各シグナルグループには一意の名前があります。
INCA-MIP V7.4 | ユーザーガイド
3 INCA-MIPアドオンのインストール | 11
3 INCA-MIPアドオンのインストール
INCA-MIPは、INCAの機能を拡張するためのアドオン製品です。
MATLAB®は、動的にリンクされる関数呼び出し(「MEXファイル」と呼ばれます)を使用して
他のアプリケーションと通信します。INCA-MIP APIは一連のMEXファイルからなります。これらの
ファイルは、インストール時にMATLAB®プログラムディレクトリのサブディレクトリにコピーされます。
INCA-MIPに含まれるAPI関数は、2つのセットに分かれています。INCA-MIP Base APIセッ
ト(基本セット)は本製品のインストール後すぐに使用できます。INCA-MIP Extended API
セット(拡張セット)に含まれる拡張コマンド(= 拡張API関数)を使用するには、ソフトウェア
ライセンスキーが必要です。全API 関数の一覧、および各関数が属するセット(拡張または基
本)は、「API関数」(ページ15)にまとめられています。
3.1 システム要件
INCA-MIPアドオンを使用するには、PCにINCAがインストールされている必要があります。
INCAのシステム要件については、『インストールガイド』を参照してください。
MATLAB®にアクセスするためのINCAスクリプトを開発する場合は、MATLAB®のフルライセン
スが必要です。
INCAV7.4用のINCA-MIP を使用するには以下のプログラムが必要です。
INCA V7.4 SPx
注記
本バージョンのINCA-MIPをインストールするには、PCにINCAV7.4 がインストール
れている必要があります。
INCAのリリース番号がINCA-MIPアドオンパッケージのリリース番号と互換性がある
とを確認してください。
インストール後は、すべてのINCA V7.x バージョンとともに本バージョンのINCA-MIP
を使用することができます(「INCAを開く」(ページ24)を参照)。
MATLAB®64ビットバージョンの2016a以降(MATLAB®への統合インストールを行
う場合)
サポートされているMATLAB®バージョンについての詳細な情報は、INCAサポート窓口までお
問い合わせください。
3.2 INCA-MIPのインストール
INCA-MIPアドオンのインストール時には、インストールタイプを選択する必要があります。以下の
いずれかのインストールタイプから選択できます。
MATLAB®integrated installation(統合インストール)
1つの特定のバージョンのMATLAB®を使用してMATLAB®スクリプトを開発する場合
は、このオプションを選択してください。
INCA-MIP V7.4 | ユーザーガイド
3 INCA-MIPアドオンのインストール | 12
Installation into ETASData
コンパイル済みのMATLAB®スクリプトの実行のみを行う場合、またはPC上にインストー
ルされた複数バージョンのINCA-MIPからMATLAB®を使用する場合は、このオプション
を選択してください。詳細な説明については、下記を参照してください。
INCA-MIPをインストールする
INCA-MIPをインストールする前に、INCAがすでにPCにインストールされており、INCAインス
トールのリリース番号がアドオンパッケージのリリース番号と互換性があることを確認してください。
MATLAB®にアクセスするためのINCAスクリプトを開発する場合は、MATLAB®がすでにPCに
インストールされており、MATLAB®インストールのリリース番号がINCA-MIPアドオンパッケージ
のリリース番号と互換性があることを確認してください。
1. PCで実行されているすべてのプログラムを終了します。
2. 社内規定に応じて、インストーラファイルはDVDまたはネットワークドライブで提供されま
す。
DVDの場合は、自動的にインストールが開始されます。自動的に開始されない場合
は、Autostart.exeというファイルを手動で実行します。
ネットワークドライブからの場合は、setup.exeというファイルを実行します。
3. インストールルーチンの指示に従ってINCA-MIPをPCにインストールします。
4. インストールルーチンでは、希望するインストールタイプを指定するよう求められます。
5. PCにインストールされている1つのバージョンのMATLAB®を用いてINCA-MIP
MATLAB®スクリプトを開発する場合は、 MATLAB®integrated installation
を選択します。
または
以下のいずれかの条件に該当する場合は、Installation into ETASData を選択
します。
INCA-MIP V7.4 | ユーザーガイド
3 INCA-MIPアドオンのインストール | 13
l複数のバージョンのINCA-MIPでMATLAB®を使用する
PCにインストールされた複数のバージョンのMATLAB®からINCA-MIPのコマンドを
使用するには、各バージョンのMATLAB®ツールボックスディレクトリに¥INCA-MIPサ
ブディレクトリをコピーしておく必要があります。MATLAB®のパスにディレクトリを追加
する方法は、MATLAB®のユーザードキュメントを参照してください。
lMATLAB®で作成されたMATLAB®スタンドアロン実行ファイルの実行のみを行い、
スクリプトの開発は行わない
注記
MATLAB®を操作するためのINCAコマンドを含むスタンドアロン実行ファイルを実行す
るには、INCA-MIPをETASDataディレクトリにインストールしてください。この場合、
MATLAB®のライセンスは必要ありません。ただしこの実行ファイルを作成するには、
MATLAB®がインストールされた開発環境が必要です。詳しくは「コンパイラを用いたス
タンドアロン実行ファイルの作成と配布」(ページ62)を参照してください。
6. インストールルーチンの指示に従い処理を続行します。
INCA-MIPのライセンスをインストールする
拡張セットのAPI関数を使用する場合はソフトウェアライセンスファイルが必要です。
ライセンスについては「ソフトウェアのライセンス管理」(次ページ)を参照してください。
3.3 MATLAB®Toolboxディレクトリ用キャッシュの更新
INCA-MIPインストール時にMATLAB®ツールボックスディレクトリ用のキャッシュが有効に設定さ
れていた場合は、MATLAB®APIをインストールした後にこのキャッシュを更新する必要がありま
す。MATLAB®V6以降のバージョンをデフォルト設定でインストールした場合はキャッシュは
効になっていて、それより前のバージョンでは無効になっています。INCA-MIP APIで使用される
ファイルがMATLAB®に登録されるように、キャッシュを更新する必要があります
MATLAB®ツールボックスディレクトリ用キャッシュを更新する方法は、MATLAB®のユーザード
キュメントを参照してください。
3.4 MATLAB®Toolboxディレクトリ用キャッシュの無効化
INCA-MIP APIを使用する際は、MATLAB®ツールボックスディレクトリ用のキャッシュは無効に
しておくことをお奨めします。有効になっていると、INCA-MIP APIや、新しく個別に追加されたス
クリプトファイルが認識されなくなる場合があります。
キャッシュを無効にする代わりに、キャッシュが有効な状態で上記のように強制的に更新すること
は可能です。しかし、予期しない不具合の発生を防ぐため、INCA-MIP APIを使用する際には
キャッシュを無効にしておくことをお勧めします。
MATLAB®ツールボックスディレクトリ用キャッシュの有効/無効を切り替える方法は、
MATLAB®のユーザードキュメントを参照してください。
INCA-MIP V7.4 | ユーザーガイド
3 INCA-MIPアドオンのインストール | 14
3.5 ソフトウェアのライセンス管理
INCAを使用するには、有効なライセンスが必要です。ライセンス管理に使用されるライセンスファ
イルは、社内のツール管理者の方から、またはETASホームページのセルフサービスポータルサイト
http://www.etas.com/support/licensingから入手できます。ライセンスファイルのお申し
込み時には、受注プロセスにおいてETASから発行された「アクティベーション番号」が必要です。
Windowsスタートメニューから以下を選択し、ETASライセンスマネージャを開きます。
E>ETAS >ETAS License Manager
ライセンス管理に関する操作は、ライセンスマネージャの画面に従って行ってください。ETASのラ
イセンスモデルについての説明や、ライセンスマネージャの操作方法(ライセンスの確認、登録/
削除、借用/返却など)については、ライセンスマネージャのオンラインヘルプ(F1)を参照して
ください。
INCA-MIP V7.4 | ユーザーガイド
4 API関数 | 15
4 API関数
INCA-MIPは、INCAの処理を自動化するためのさまざまなAPI関数を提供するものです。基
本的な関数はINCA-MIP Base(基本セット)に含まれ、その他の関数(拡張コマンド)を
使用するには、INCA-MIP Extended(拡張セット)のライセンスをご購入いただく必要があり
ます。
注記
INCA-MIP 拡張セットのみに含まれているコマンドは、ソフトウェアライセンスキーで保
護されています。有効なソフトウェアライセンスがない状態で拡張API関数を使用する
と、MATLAB®スクリプト実行時に例外が発生します。
そのため、スクリプト開発時のガイドラインとして、最初にIncaIsLicenseValid
数を呼び出し、有効なライセンスが確認された後にINCA-MIP拡張API関数を呼び
出すようにしておくことをお勧めします。
以下の表に、 INCAV7.4のアドオン製品に含まれるすべてのINCA-MIP API関数をアルファ
ベット順に一覧表示します。各関数について以下の内容が記載されています。
関数が含まれているセット(基本、拡張)
関数が使用される目的を示すカテゴリ(初期化、測定、適合、メモリページ管理、一
般)
関数についての詳細情報が記載されているページ
関数 基本a拡張bカテゴリ ページ
IncaAddCalibrationElement ○ ○ 適合 ページ49
IncaAddMeasureElement ○ ○ 測定 ページ32
IncaBrowseCalibrationElements ○ 適合 ページ48
IncaBrowseItemsInFolder 初期化 ページ26
IncaBrowseMeasureElements ○ 測定 ページ31
IncaClose 初期化 ページ25
IncaCopyPageFromTo ○ ○ メモリページ管
ページ59
IncaDatabaseImport 初期化 ページ25
IncaDownloadDifferences ○ ○ メモリページ管
ページ59
IncaDownloadPage ○ ○ メモリページ管
ページ59
IncaExecuteManualTrigger ○ 測定 ページ47
INCA-MIP V7.4 | ユーザーガイド
4 API関数 | 16
関数 基本a拡張bカテゴリ ページ
IncaGetCalibrationValue ○ ○ 適合 ページ49
IncaGetCurrentPage ○ メモリページ管
ページ58
IncaGetDatasetsForDevice ○ 適合 ページ55
IncaGetDeviceProperties 初期化 ページ29
IncaGetDevices 初期化 ページ29
IncaGetHardwareStatus ○ 測定 ページ43
IncaGetInstalledAddOnInfo ○ ○ 一般 ページ22
IncaGetInstalledProductInfo ○ ○ 一般 ページ22
IncaGetMeasureRatesForDevice ○ 測定 ページ31
IncaGetProperties ○ 一般 ページ23
IncaGetRecordingMode ○ 測定 ページ37
IncaGetRecordingProperties ○ 測定 ページ34
IncaGetRecordingState ○ 測定 ページ47
IncaGetRecords ○ ○ 測定 ページ41
IncaGetRecordStruct ○ 測定 ページ47
IncaGetVersion ○ ○ 一般 ページ23
IncaGroupDevices ○ 適合 ページ56
IncaIsLicenseValid ○ 一般 ページ21
IncaMessageIds ○ ○ 一般 ページ19
IncaIsPageWriteProtected ○ ○ メモリページ管
ページ58
IncaOpen ○ ○ 初期化 ページ24
IncaOpenDatabase ○ ○ 初期化 ページ25
IncaOpenExperiment ○ ○ 初期化 ページ28
IncaResetExperiment ○ ○ 初期化 ページ28
IncaResetRecords ○ ○ 測定 ページ43
IncaSetCalibrationMode ○ 適合 ページ56
IncaSetCalibrationValue ○ ○ 適合 ページ52
IncaSetDatasetInDevice ○ 適合 ページ55
INCA-MIP V7.4 | ユーザーガイド
4 API関数 | 17
関数 基本a拡張bカテゴリ ページ
IncaSetMeasureReadMode ○ ○ 測定 ページ40
IncaSetProjectAndDatasetInDevice 初期化 ページ27
IncaSetRecordingMode ○ 測定 ページ38
IncaSetRecordingProperties ○ 測定 ページ36
IncaSetTrigger ○ 測定 ページ44
IncaShowMessages ○ ○ 一般 ページ21
IncaStartMeasurement ○ ○ 測定 ページ33
IncaStartRecording ○ ○ 測定 ページ39
IncaStopMeasurement ○ ○ 測定 ページ34
IncaStopRecording ○ ○ 測定 ページ39
IncaSwitchPage ○ ○ メモリページ管
ページ57
IncaUploadPages ○ メモリページ管
ページ60
IncaWriteToFile ○ 適合 ページ57
a INCA-MIP API基本セットに含まれています。
b INCA-MIP API拡張セットに含まれています。
本章の以降の部分では、各関数を、以下のカテゴリ順に説明します。
「一般的な機能」(次ページ)
「初期化」(ページ24)
「測定と記録」(ページ30)
「適合」(ページ48)
「メモリページマネージャ」(ページ57)
さらに、INCA-MIP APIには各種サンプルファイルが含まれています。この内容は「INCA-MIP
APIのサンプルファイル」(次ページ)で説明されています。
各関数の実際の使用例は、「応用例」(ページ60)を参照してください。
注記
INCA-MIPインターフェースは、常にINCAのユーザーオプション設定に基づいて動作し
ます。INCAユーザーオプションについての詳細は、INCAのドキュメントを参照してくださ
い。
INCA-MIP V7.4 | ユーザーガイド
4 API関数 | 18
4.1 INCA-MIP APIのサンプルファイル
INCA-MIPには、数多くのサンプルファイル集が付属しています。製品をインストールすると、これ
らのサンプルファイルが自動的にMEXファイルと共にPCにコピーされます。サンプルファイルでは、さ
まざまな例を用いてINCA-MIP APIの使用方法を紹介しています。
サンプルファイルには、INCA-MIPAPIを呼び出すMファイルのサンプルや、サンプルスクリプト内で
参照されている変数が定義されたINCAデータベースが含まれています。
サンプルファイルは、インストール時に以下のディレクトリにコピーされます(「INCA-MIPのインス
トール」(ページ11)を参照してください)。
MATLAB®にインストールした場合:
M ファイル: %MatlabDir%\toolbox\matlab\demos
ETASDataディレクトリにインストールした場合:
M ファイル: %EtasDataDir%\INCA-MIPx64
INCAデモファイル: %EtasDataDir%\Database\db_matlabtest
サンプルファイルを実行するには、まずINCAを起動し、サンプルデータベースを開いておく必要が
あります。この際、ハードウェアは必要ありません。
サンプルのMファイルの機能は以下のとおりです。
tOpen.m – INCAとMATLAB®間の接続を確立します。この関数は、各MATLAB®
セッションを開始する際、他のINCA-MIP API関数を使用する前に、必ず呼び出してお
く必要があります。
tDummy.m – INCA上に、「VADIテストデバイス」を含むハードウェアコンフィギュレーショ
ンが定義された空の実験を開きます。さらにこのスクリプトは、INCA実験内にいくつかの
測定変数を割り当てます。
tEtkDummy.m – INCA上に、「ETKテストデバイス」を含むハードウェアコンフィギュレー
ションが定義された空の実験を開きます。さらにこのスクリプトは、INCA実験内にいくつか
の測定変数と適合変数を割り当てます。そしてワーキングページとリファレンスページをダ
ンロードして、測定変数と適合変数の値を読み取り、適合変数の値を変更します。
tGetRecords(aGroupName).m aGroupName という名前のグループ(ラス
タ)の測定データを20秒間収集し、さらにそのデータをMATLAB®で取得します。ここで
はテストデバイスのVADI とETK が使用されます。(測定ラスタについては「INCA用語
集」(ページ8)を参照してください。)
tPrintDB ({aFolder{, aFileId}}).m – データベース内のフォルダ
aFolder のすべての内容をファイル aFileId に書き込みます。引数なしでこの関数
を呼び出すと、階層構造になっているデータベース全体が標準出力に出力されます。
tHWStatus.m – 関数IncaGetHardwareStatusの使用例です。MATLAB®
ら、INCA上に開いている実験にアクセスし、最初に見つかった測定デバイス内の最初の
測定変数を選択します。続いて、測定を5分間行います。測定中にワーニングやエラーが
発生すると、測定は中止され、5秒後に再開されます。
4.2 一般的な機能
一般的な機能を持つAPI関数には以下のようなものがあります。
INCA-MIP V7.4 | ユーザーガイド
4 API関数 | 19
4.2.1 INCA-MIPインターフェースのメッセージID取得
INCA-MIPインターフェースの各コマンドを使用した際に、エラーが返る場合があります。
そのような場合、tryブロックとcatchブロックを用いて、詳細なエラー情報を取得することができま
す。
使用例
各変数の内容は以下のとおりです。
msgstr メッセージ文字列
msgid メッセージ識別子(=エラーID)以下のIDがあります。
INCA:ParameterError
INCA:ReturnParameterError
INCA:WrongParameterValue
INCA:WrongParameterType
INCA:NaN
INCA:ExecutionError
INCA:ResourceError
INCA:RasterFull
INCA:ObjectIsWriteProtected
INCA:CallSeqenceError
INCA:LicenseError
INCA:RecordingInProcess
INCA:NotInstalled
INCA:WrongVersion
各エラーIDの意味と対処方法は、以下のとおりです。
INCA-MIP V7.4 | ユーザーガイド
4 API関数 | 20
INCA:ParameterError 入力引数の数が不正です。
(右側のパラメータ)
INCA
:ReturnParameterError
出力引数の数が不正です。
(左側のパラメータ)
INCA:WrongParameterValue いずれかの入力引数の値が有効範囲を超
えています。
INCA:WrongParameterType いずれかの入力引数のデータ型が不正で
す。
INCA:NaN いずれかの入力引数の値が "Not a
Number"(非数)です。
INCA:ExecutionError コマンド実行中に何らかの原因でエラーが発
生しました。INCAユーザーインターフェース
上での操作によって原因を特定できる可能
性があります。INCAを再起動するか、また
はPCを再起動してください。
INCA:ResourceError オペレーティングシステムのリソースを取得で
きません。INCAを再起動するか、またはPC
を再起動してください。
INCA:RasterFull 要求された測定ラスタが満杯のため、測定
変数を追加できません。
INCA
:ObjectIsWriteProtected
要求された適合変数が書込み禁止のた
め、適合できません。
INCA:CallSeqenceError 要求されたコマンドの前に所定のコマンドを
実行する必要があります。
例:IncaAddMeasureElementを実
行するには、IncaOpenExperiment
先に実行しておく必要があります。
INCA:LicenseError 要求されたコマンドを実行するには、ライセン
スが必要です。
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