ZCA01TS-3
2022.09.20 発行
ジップチェーンアクチュエータ®
取扱説明書
【お願い】
この取扱説明書は、実際にご使用いただくお客様のお手元に
確実に届くよう、ご配慮ください。
この取扱説明書はSI ｛重力｝単位で記載しています。
｛ ｝内の数値は参考値です。
つばき
ジップチェーンアクチュエータ
安全上のご注意
●ご使用（据付、運転、保守、点検など）の前に、必ずこの取扱説明書とその他の付属書類をすべて熟読し、正しく
ご使用ください。機器の知識、安全の情報そして注意事項のすべてについて熟読してからご使用下さい。
お読みになった後は、お使いになる方がいつでも見られるところに必ず保管して下さい。
●この取扱説明書では、安全注意事項のランクを「警告」「注意」として区別してあります。
：取扱いを誤った場合に、危険な状況が起こりえて、死亡又は重傷を受ける可能性が想定さ
れる場合。
：取扱いを誤った場合に、危険な状況が起こりえて、中程度の傷害や軽症を受ける可能性が
想定される場合及び物的傷害だけの発生が想定される場合。
なお、 注意 と記載した事項でも、状況によっては重大な結果に結びつく可能性があります。
いずれも重要な内容を記載しておりますので必ず守ってください。
警告
注意
・ 本体に負荷が作用しているときにブレーキの解放を絶対に行わないでください。負荷が作用している状態でブレー
キを解放すると支持されている物が落下したり、可動部が不意に動きだしたりすることがあります。
・ ジップチェーンアクチュエータを爆発性雰囲気中では使用しないでください。引火、爆発、火災、けがの原因となりま
す。
・ 人員搬送用装置に使用される場合には、装置側に安全のための保護装置を必ず設けてください。装置暴走による人
身事故や、装置破損の恐れがあります。
・ 昇降装置に使用される場合には、装置側に落下防止のための安全装置を必ず設けてください。昇降体落下による人
身事故や、装置破損の恐れがあります。
・ 吊下げ装置に使用される場合は、チェーンが切断した場合に備えて安全装置を必ず設けてください。さらに安全柵を
設け、吊下げ物の下へは絶対に入らないでください。
・ 本製品は、非常に高速で稼働することができます。ジップチェーンアクチュエータを含め装置などの可動部分には身
体または身体の一部及び衣類や装飾品が触れないようにしてください。巻き込みや挟み込みなどにより人身事故や
装置破損の恐れがあります。
・ 端子箱付の場合端子箱のカバーを取り外した状態で運転しないでください。作業後は、端子箱のカバーをもとの位
置に取付けてください。感電の恐れがあります。確実に行ってください。
・ 労働安全衛生規則第2編第1章第1節一般基準を遵守してください。
・ 運搬、設置、配線、運転・操作、保守・点検の作業は、
・ 取扱説明書に従って作業してください。
・ 専門知識と技能を持った人が実施してください。爆発、引火、火災、感電、けが、装置破損の原因となります。
・ 電気配線にあたっては、電気設備基準、内線規程などの法規とともに、取扱説明書に示す注意事項を必ず守っ
てください。特にアースについては感電防止に重要ですので、確実に実施ください。
・ 事前に必ず元電源を切り、また不慮にスイッチが入らないようにしてください。停電時同様に行ってください。
・ 作業に適した服装、適切な保護具（安全眼鏡、手袋、安全靴など）を着用してください。
・ジップチェーンアクチュエータに追加工を行わないでください。
・ ジップチェーンアクチュエータの銘板及び外形図・カタログなどの仕様範囲外で使用しないでください。けが、装置破
損などの恐れがあります。
・ 適正な電源電圧の範囲内でご使用ください。範囲外でのご使用はモータの焼損、火災の原因となります。
・ ジップチェーンアクチュエータを装置などに組み込む前に、入力軸回転方向を確認してください。回転方向の違いに
よって、けが、装置破損の恐れがあります。
・ ジップチェーンアクチュエータの開口部に指や物を入れないでください。けが、装置の破損の恐れがあります。
・ 部品の摩耗、寿命などにより機能、性能が低下することがあります。取扱説明書に従って定期的に点検を行い、機
能不全、性能不良、破損のときは直ちに運転を停止し、お求めの販売店へご連絡ください。感電、けが、火災、装置
破損の恐れがあります。
・ 運転中、ハイポイドモートルミニシリーズ、ハイポイドモートルはかなり高温になります。手や体を触れないようにご
注意ください。やけどの恐れがあります。
・ 定格負荷以上で使用をしないでください。けが、装置破損の恐れがあります。
・ 銘板を取り外さないでください。
・ 品質保証は、当社が定めた選定基準による必要能力を満足するアクチュエータが使用されていること、また定めら
れた環境条件、保守状態で使用されている場合のみ有効です。
・ お客様による製品の改造は、当社の保証範囲外ですので責任を負うことができません。
警告
注意
このたびは、つばき ジップチェーンアクチュエータをお買い上げいただき、まことにありがとうございます。
この取扱説明書は、開梱、据付けから保守にいたるまでを述べていますので、ご熟読の上、つばき ジップチェーン
アクチュエータを最大限有効にお使いいただけるよう、ご活用ください。
なお、この取扱説明書で、不明な点がありましたらご購入頂いた販売店もしくは当社営業所までお問い合わせください。
また、お問い合わせに際しては、本体銘板の記載内容をご連絡ください。
目 次
1. 開梱時のチェック -------------------------
P.1
2. 運搬
------------------------------------
P.1
3. 据付
------------------------------------
P.2
4. 運転
------------------------------------
P.6
5. 保守 点検
------------------------------
P.7
6. トラブルシューティングガイド ---------------
P.11
7. 破棄
------------------------------------
P.11
8. 外形寸法 -------------------------------
P.12
9. モータ、TERVO付
-------------------------
P.15
10. オプション
-------------------------------
P.39
11. 保証
------------------------------------
P.47
- 1 -
毎度お引き立ていただき厚くお礼申し上げます。
本取扱説明書の内容に関して万全を期していますが、万一不明な点、誤り、記載漏れなどにお気づきの時はご購入いた
だきました販売店もしくは末尾に記載の最寄りの当社営業所までご連絡ください。
なお、本取扱説明書の内容は製品の改良のため変更する場合があります。
お問い合わせに際しては、ジップチェーンアクチュエータの銘板に記載の以下項目と共にご連絡ください。
お調べいただく項目 ： TYPE（形式）、 MFG No.（TEST No.）
1. 開梱時のチェック
1. けがの恐れがありますので天地を逆に開梱しないでください。
2. つばき ジップチェーンアクチュエータ（以下ZCA®と略す）がお手元に届きましたら、まず下記の点をお調べくださ
い。
（1）ご注文いただいた製品とお届けした製品が合っているか、品物に添付している納品書と照らし合わせて
点検ください。
（2）輸送中の破損や、ボルトなどの緩みが無いか。
（3）取扱説明書、キー及びチェーン引き出し用ボルトが付属しているか。
（キー及び引き出し用ボルトは本取扱説明書の入ったビニール袋に同梱されています）
なお、下記仕様の場合、チェーン引き出し用ボルトは付属しません。
・モータ付（ハイポイドモートルブレーキ付）
・TERVO付
・ジャバラ付
・ZCA45
もし不具合や不足品がありましたら、お手数ですが、ご購入いただいた販売店までご連絡ください。
2. 運搬
1. 梱包された状態では、長手方向に重量バランスが悪いので運搬の際は注意ください。
2. 左右の収納部だけを支えて運搬しないで下さい。破損、落下の恐れがあります。必ず中央の駆動部を持って運
搬してください。
3. 先端金具及びジップチェーンだけを持って運搬しないで下さい。破損、落下の恐れがあります。必ず中央の駆動
部をもって運搬してください。
4. ZCA45の運搬について
●ZCAを運搬する際、必ず駆動部に吊り金具、もしくは付属のアイボルトを取付け、入力軸やチェーンには、
ワイヤー等は絶対に掛けないでください。軸の偏心、チェーンの変形等により、ZCAの寿命を短くするなど、
故障の原因となります。
●機械に据付けた後、アイボルトや吊り金具で機械全体を吊り上げることは避けてください。吊り上げる前に納
品図、取扱説明書等に記載されているZCAの質量を確認し、吊り金具の定格荷重以上のZCAは吊らないでく
ださい。吊り金具の破損や落下、転倒による怪我、装置破損の恐れがあります。
●アイボルトや吊り金具は稼働時には取り外してご使用ください。機器、チェーンとの干渉により破損する場合
があります。
- 2 -
図 1 ZCA（上図はZCA35）
3. 据付
1. 据付場所、雰囲気
表 1 据付場所と雰囲気
使 用 場 所 屋内で雨や水のかからない場所
周囲の雰囲気 粉塵は一般工場程度
使用温度範囲 0～60℃(モータ無の場合)
0～40℃（モータ付の場合）
相対湿度 85％以下（結露なきこと）
高 度 標高1000ｍ以下
2. ZCAには絶対に乗ったり、ぶら下がったりしないでください。けがの恐れがあります。
3. 先端金具もしくはジップチェーンだけを持つと、本体の自重でストッパが破損しチェーンが抜け、本体が落下しま
す。けがや機器が破損する恐れがあります。
4. 梱包状態では、ジップチェーンはストローク最下限位置より下げた状態となっています。この位置では使用しな
いで下さい。ジップチェーンをストローク最下限位置以上にまで引っ張り出した上で使用してください。このとき入
力軸を手で操作せず、梱包時に付属しているチェーン引き抜き用ボルトを先端金具タップ部分に挿入し、先端金
具をゆっくりと引っ張り出してください。（なお、引き抜き用ボルトはチェーンを引っ張り出したあとは、必ず取り外
して破棄してください）。荷重が作用している状態で、入力軸から手で操作しないで下さい。荷重により入力軸が
回され危険です。
モータ付（ハイポイドモートルブレーキ付）及びTERVO付の場合は、取扱方法が異なりますので、9章を参照くだ
さい。
ジャバラ付及びZCA45の場合は、先端金具形状が異なるため、先端金具を手で直接引っ張り出してください。
5. 潤滑にグリースを使用しますので、グリースが飛散する事があります。周囲への影響に十分ご注意ください。
（飛散を懸念される場合はジャバラ付を推奨致します。）特に、吊下げでご使用になる場合はグリースが垂れる
可能性があります。また、食品機械などで油気を嫌う装置では、グリースの飛散・落下に備えて、油受けなどの
損害防止装置を取付けてください。油漏れで製品などが不良になる恐れがあります。
【注意】
ZCA25N(M)030 □ □
及 び ZCA35N(M)050
□□では、スナップ
構造となっているた
め、4箇所ともボルト
は付いていません。
先端金具
ジップチェーン
収納部
入力軸
駆動部
- 3 -
6. 押上、水平及び吊下方向に取付けができます。ただし水平及び吊下方向に取付ける場合、本体自重及び搬送物
の重さ（力）が取付ボルト自体に加わる状態で使用すると機器破損の恐れがあります。取付ボルトで荷重を受け
ない設置方法としてください。（図2）
図 2 取付け方向の可否（一例）
7. モータ無の場合、モータ、減速機、本体などの据付けに当たっては、適正な据付けが行えるよう剛性が高く、最
大荷重が加わっても据付け時の心出し精度が狂わない安全率を見込んだ強固な架台を用意してください。また、
モータ出力軸とZCA入力軸心高さを合わせる機構を別途設けてください。軸心高さがずれている場合、モータ出
力軸及びZCA入力軸に回転曲げの力が作用し、軸部破損の要因となります。軸継手は各種つばきカップリング
を推奨します。
図 3 ZCAとの不適切な接続例（心がずれている）
8. 収納部にある穴は、互いの部材をはめ込み、固定する（スナップ構造）ための穴です。ボルトは付いていません。
また、この穴は本体の取付けには、絶対に使用しないでください。保持する強度がないため、早期に破損する恐
れがあります。必ず駆動部に設けた取付穴を活用ください。
9. フローティングシャフトで駆動する場合には、回転速度により振動が起き、作動不良になりますので、シャフトの
剛性、カップリングのバックラッシも十分検討ください。
10. 入力軸にチェーン、ギヤ、歯付ベルト、Vベルトなどで駆動する場合、軸に作用するオーバハングロードが許容
オーバハングロード以下になることをご確認ください。
11. ZCAを2台以上で連動して使用する場合、バックラッシ等の個体差があるため、チェーン高さに多少のずれが
生じます。クランプ仕様のカップリングを使用する、天板とチェーン先端の間にシムを入れるなど、
位相を確実に合わせてご使用ください。偏荷重が作用する場合、1台あたりの作用荷重が基本容量を超え、
破損する可能性がありあます。
天 天
- 4 -
表 2 伝動要素係数（ｆ） 表 3 荷重の作用位置による係数（Lf）
表 4 許容オーバハングロード
形 番 ZCA25 ZCA35 ZCA45
許容オーバ
ハングロード N{kgf}
638 ｛65.0｝ 946 {96.4} 2065 {210.5}
12. ジップチェーンを架台に通す穴は、ZCA据付面が架台との接触面積を大きくなるようになるべく小さな穴にしてく
ださい。
13. ZCAの取付けは駆動部及び先端金具にある各4箇所の取付用タップ（穴）を利用して、確実に固定してください。
（取付ボルトは付属していません）。取付用ボルトサイズは表5に従い、ボルトの強度区分は10.9 (JIS B1051)
以上のものを使用ください。取付部材強度に見合ったボルトねじこみ深さを考慮ください。
表 5 取付ボルトサイズ
＊先端金具はタップ穴加工を行っていますが、さらにボルト貫通穴としても利用できます。
取付け時、同様に強度区分は10.9 (JIS B1051) 以上のものを使用ください。
さらに取付部材強度に見合ったボルトねじこみ深さを確保してください。
なお、取付時には、ボルト緩み止めの接着剤等ボルト緩み止めを施してください。
また、ネジ緩み止め接着剤としては、表6のような銘柄の物、または相当品を使用してください。
接着剤塗布時には各メーカーの取扱注意などを遵守してください。
表 6 ネジ緩み止め接着剤
14. 本体の取付ボルト自体に荷重がかかる方向で使用しないでください。吊下げ時は必ずジップチェーン出口側で
本体を受けるようにしてください。取付ベースを活用ください。
チェーン
ギヤ
歯付ベルト
Vベルト
1.0 1.25 1.5
X/A
0.25
0.5 0.75
1.0
Lf 0.9 1.0 1.15
1.25
O.H.L.
： オーバハングロード N{kgf} （表 4）
T ： 必要入力軸トルク N・m{kgf・m}
D ： スプロケット、ギヤ、プーリなどのピッチ円直径 m
f ： 伝動要素係数 （表 2）
Lf ： 荷重の作用位置による係数 （表 3）
許容O.H.L.≧
2×T×f×Lf
D
形 番 駆動部（底部） 駆動部（側面） 先端金具
（ボルト貫通穴＊）
ZCA25 M5 M5 M4（M3）
ZCA35 M6 M6 M5（M4）
ZCA45 M8 M8 M8（M6）
メーカー 銘 柄
ヘンケルジャパン(株) ♯243（中強度）
スリーボンド（株） ♯1324N（中強度）
X
A
- 5 -
W
15. 吊下げ装置に使用される場合は、万一、チェーンが切断した場合に備えて安全装置、安全柵を必ず設け、吊下
物の下へは絶対に入らないでください。
16. 昇降装置に使用される場合には、装置側に落下防止のための安全装置を必ず設けてください。昇降体落下によ
る人身事故や、装置破損の恐れがあります。
人身事故に繋がる危険性がある場合には製造及び販売致しかねます。
17. いかなる場合もストロークエンドでの当て止めは行わないでください。当て止めを行いま
すと本体内部に重大な損傷をあたえます。
18. ZCAを確実に案内するため直線ガイドを設けてください。特に本体に加わる荷重は、ジッ
プチェーン進行方向と同軸上に作用するようにしてください。図4のように作用方向や位
置が不適切ですとジップチェーンに曲げ荷重や横荷重が加わり破損の恐れがあります。
必ず進行方向に直線ガイドなどを設けてジップチェーンが直接横荷重や曲げ・ねじれ
モーメントを受けないようにご使用ください。
19. ジップチェーンはリンクを多数噛み合せることで柱状となります。柱状となったチェーンで
は、多少のねじれやそりが生じる場合があります。 図 4
特にストロークが長くなるほどその傾向が強くなります。
20. 使用ストロークに対しZCAのストロークは余裕を見込んでご使用下さい。ストローク範囲を超えると、ストッパの
破損やチェーン抜け、先端金具が駆動部と衝突し本体が破損する恐れがあります。
21. ストロークを規制するために設置するリミットスイッチは、ZCAの惰行量を見込んで設定ください。惰行量は据付
方向、運搬物重量によって変わってきますので最大の惰行量を見込んでください。万一を考慮して、ストローク
範囲内に機械的な外部ストッパの設置をお願いします。
22. 入力軸の回転方向とジップチェーンの進行方向は事前に確認してください。（8章基本構造参照のこと）
回転方向を間違うと本体が破損する恐れがあります。設置時は極低速で入力し、回転方向とジップチェーンの進
行方向をご確認ください。
またモータ付の場合は、速度によりモータの結線とチェーンの進行方向が異なりますので、ご注意ください。
9章のモータ付を参照して、進行方向をご確認ください。
23. 駆動部底面で据付けた場合、ストローク下限で入力軸のキー溝がほぼ上面（図5参照）
を向きます。ただし同期などを行う場合、バックラッシなどの個体差があるため、
多少ずれが生じますので、位相を調整する機構を別途設けてください。
24. ジップチェーン、駆動部開口部などには、粉塵や切粉などの異物が絶対に
付着もしくは混入しないようにして下さい。これらは摩耗を促進し、チェーン
の破断や駆動部の破損などの大きな事故に繋がります。
図 5
25. 押上、吊下取付用のジャバラを水平取付でご使用になると早期にジャバラが破損します。
水平取付の場合は特殊部品を組み込んだ専用のジャバラが必要です。別途製作しますのでご用命ください。
26. ジップチェーンアクチュエータに追加工を行わないでください。
キーの向き
下限
位置
- 6 -
4. 運転
1. ZCAに作用する荷重は静的、動的ともにZCAの基本容量、許容入力軸トルク及び許容オーバハングロードを超
えないことを確認ください。
表 7 基本性能
※ 最大0.35G（上限）の加速度で動作させた場合の値です。また、先端を固定で取付けた場合です。
その他回転などで固定すると、基本容量が低下する場合があります。
ZCA25N050及びZCA35Ｎ100、ZCA45Ｎ200の場合、座屈に対する安全率を確保するために
基本容量を制限しています。（ジャバラ付の場合の数値は、10章「10.3ジャバラ」を参照ください。）
一方吊下げなどチェーンに引っ張り荷重だけが作用する場合は、制限を解除できる場合があります。
2. 運転状態で、駆動部の表面温度が0℃～60℃であることを確認ください。
3. 最大入力回転速度以下でご使用ください。
4. 動力は、入力軸より伝動してください。駆動源は、ギヤモータ、サーボモータなどが使用可能です。但しZCAはき
わめて高効率ですので、負荷荷重により逆転します。惰行及び負荷による逆転防止の為に必ずブレーキを付属
してください。なお、制動トルクは1.5倍以上で、応答性の良いブレーキをご使用下さい。
5. 負荷の有無に関係なく、ベアリングの摩擦、チェーンの噛合い・摺動などがあるため、無負荷時でもトルクが必要
です。この平均無負荷稼動トルクの比率が、昇降に必要なトルクと比較して大きい場合（目安25％程度）、起動時
等にこのトルクの影響が大きくなり滑らかに稼動しないことがあります。その場合は、必要入力トルクを選定する
場合に、無負荷稼動トルクを1.5倍して必要な駆動源を選定してください。
6. 使用開始当初は、平均無負荷稼働トルクが大きくなることがありますが、これは初期なじみであり、徐々に安定し
ますので、そのままご使用ください。
7. 負荷時間率（％ED）［運転時間÷（運転時間＋休止時間）］ は入力するモータや装置に依存するため、駆動源の
能力に準じます。
8. 氷点に近い温度でのご使用時には、グリースの粘性変化などにより効率が下がりますので駆動源に余裕があ
ることを確認ください。
形 番
ストローク
記号
ストローク
mm
基本容量 ※
N｛kgf｝
最大
速度
mm/sec
最大入力
回転速度
r/min
許容入力
軸トルク
N・m｛kgf・m｝
許容オーバ
ハングロード
N{kgf}
入力軸 1 回
転当りの
移動量
mm
概略
質量
kg
ZCA25N
030 300 400
{40.8}
1000
630 9.41｛0.96｝
638｛65.0｝ 95.3 1.9
050 500 330
｛33.6｝
2.5
ZCA35N
050 500 1000
{102.0}
420 34.7{3.53} 946｛96.4｝ 142.9
5.1
075 750 1000
{102.0}
6.5
100 1000 600
{61.2}
7.5
ZCA45N
100 1000 2000
{204.0}
500 125 116.6{11.9}
2065｛210.5｝
240
21.0
150 1500 2000
{204.0}
25.0
200 2000 1200
{122.5}
30.0
- 7 -
9. 運転中、入力軸やジップチェーンなどへは絶対に接近又は接触しないでください。巻き込まれ、けがの恐れがあ
ります。
10. 以下のような負荷は、ZCAの性能を低下させ、寿命に悪影響を及ぼし、ジップチェーン、駆動部、先端金具などを
損傷する原因となりますのでご注意ください。
① 横荷重（ジップチェーンを曲げるような力（横荷重）がかからないように、必ず進行方向に直線ガイドを設けて
ください）
② 衝撃荷重
③ 過負荷
5. 保守・点検
5.1. 点検
1. 日常点検（目視点検）
毎日、始業前に以下の項目を点検してください。
・外観に異常はないか（ボルト、ナット類の緩みなど）
・異常な動きをしていないか
・異常な音が発生していないか
・異常なにおいがしていないか
・ジップチェーンにグリースが十分にあるか
・ジップチェーンが摩耗していないか（図6）
① 下記部品から酸化摩耗粉（赤茶色）が出ていないか（付いていないか）
・プレート間
・プレート正面及び端面
・ブシュ・ピン外周
・延長ピン
② ブシュあるいは延長ピンが割れるもしくは折れていないか
（注意：ZCA25、ZCA35ブシュは巻き加工のため、ブシュ丈方向に巻口があります。割れではありません。）
今までの正常な運転に対して少しでも異なる場合は、停止させた後、落下防止などの事故防止を施した上で以
降の定期点検と同様の点検を実施してください。
2. 定期点検
以下項目を点検して下さい。
●ボルトナット類の緩みが無いか（6ヵ月毎）
以下の手順に従って下さい。
・全ての搬送物を取り除く。
・装置を停止させ、物が落ちないなどの安全を確保する。
・元電源を切り、不慮にスイッチが入らないようにする。
・点検作業を行う。緩んでいる場合はJIS規定のトルクで締結し、緩み止めの処置を講じてください。
・電源を入れ、現状に復旧する。
●ジップチェーンに損傷はないか（6ヵ月毎）
以下の手順に従って下さい。
・全ての搬送物を取り除く。
・装置を停止させ、物が落ちないなどの安全を確保する。
・元電源を切り、不慮にスイッチが入らないようにする。
・ジップチェーンをすべて本体より露出させる。
・ピン・ブシュ外径が摩耗し、直径が表8に示す限界値以下でないか
- 8 -
表 8 ピン・ブシュ摩耗限界
形 番 ピン・ブシュ外径 カタログ値
mm
ピン・ブシュ外径 限界値
mm
ZCA25 φ3.30（ブシュ） φ3.20（ブシュ）
ZCA35 φ5.08（ブシュ） φ4.95（ブシュ）
ZCA45 φ8.28（ピ ン） φ8.00（ピ ン）
・噛み合ったジップチェーンの剛性が極端に低下し、やわらかくなっていないか
・元電源を入れ、現状に復旧する。
図 6 ジップチェーンの確認ポイント
●ジップチェーン以外で損傷はないか（6ヵ月毎）
以下の手順に従って下さい。
・全ての搬送物を取り除く。
・装置を停止させ、物が落ちないなどの安全を確保する。
・元電源を切り、不慮にスイッチが入らないようにする。
・ジップチェーン以外で以下のことを確認する。
Ⅰ 先端金具に欠け、割れ、変形、さびなどが生じていないか
Ⅱ 駆動部に欠け、割れ、変形、さびなどが生じていないか
Ⅲ 入力軸に欠け、割れ、変形、さび及び回転不良などが生じていないか
Ⅳ 収納部に欠け、割れ、変形、などが生じていないか
・元電源を入れ、現状に復旧する。
上記のいずれかが生じた場合、使用を中止してください。ZCAの寿命に到達していますので、
新品のZCAと取り替えていただくために、ご購入いただいた販売店までご連絡ください。
上記のいずれかが生じた場合、使用を中止してください。ZCAの寿命に到達してい
ますので、新品のZCAと取り替えていただくために、ご購入いただいた販売店までご
連絡ください。
ブシュ外周
ZCA45 はピン外周 プレート正面
延長ピン
プレート間
プレート側面
- 9 -
5.2. 保守
1. ジップチェーン、駆動部にはグリースをあらかじめ給脂してお納めしていますのでそのまま使用してください。表
9に示す推奨グリースをご使用ください。通常使用でのグリース給脂サイクルの目安は、ZCA25、ZCA35では１ヵ
年毎、ZCA45では3.5ヵ月毎ですが、使用頻度・条件などによって異なってきます。参考として給脂サイクルの目
安を表10に示します。
2. ジップチェーンへの給脂は古いグリースをブラシなどで掃きとった後、ブラシなどで直接ジップチェーン全体に均
等に塗布してください。塗布位置は図7を、給脂量は表11を参照ください。
表 9 推奨グリース
表 10 給脂サイクルの目安
使用頻度 給脂サイクル
形番
ZCA25 ZCA35 ZCA45
2000～2700回往復/日 6ヵ月 4ヵ月 1.5ヵ月
1000～2000回往復/日 8ヵ月 5ヵ月 2ヵ月
1～1000回往復/日 1ヵ年 1ヵ年 3.5ヵ月
給脂の目安は、ZCA25の場合50万回往復、ZCA35の場合35万回往復、ZCA45の場合10万回往復です。
給脂の目安と給脂サイクルのいずれか短いほうで実施してください。
表 11 グリース給脂量
形 番
塗布量 初期封入量（標準ストローク）
ジップチェーン
（チェーンストローク100ｍｍ当たり） チェーン及び駆動部
ZCA25 1.7g/ジップチェーン100mm 8g
ZCA35 2.0g/ジップチェーン100mm 15g
ZCA45 3.5g/ジップチェーン100mm 35g
給脂の目安、給脂量などはより長くご使用いただくための値であり寿命を保証する値ではありません。
使用区分 メーカー名 グリース名称
ジップチェーン
及び
駆動部
昭和シェル石油(株) ※シェルアルバニア EPグリース 2
出光興産(株) ダフニーエポネックス SR No.2
EMGルブリカンツ（合） モービラックス EP 2
ＪＸTGエネルギー(株) エピノック AP(N)2
※出荷時の封入グリースです
- 10 -
●給脂手順
・全ての搬送物を取り除く。
・装置を停止させ、物が落ちないなどの安全を確保する。
・元電源を切り、不慮にスイッチが入らないようにする。
・ジップチェーンをすべて本体より露出させ、古いグリースをブラシなどで掃きとる。
・表12及び図7に示す給脂箇所へブラシなどで直接、また均等に塗布してください。
・元電源を入れ、現状に復旧する。
表 １2 ジップチェーン給脂箇所
給油箇所 範 囲 詳細箇所
ブシュ・ピン※
全リンク
主に入力軸側を中心に
プレート正面 全リンク
左右のジップチェーンともに、かつ反対側
プレート端面 全リンク
左右のジップチェーンともに、かつ反対側
延長ピン 全リンク
左右、勝手違いの全て延長ピン
※ZCA25、ZCA35の場合はブシュ、ZCA45の場合はピン
図 7 ジップチェーン外周面における給脂箇所
ブシュ・ピン
入力軸側を中心に
（
ZCA45
はピ
ン）
延長ピン
プレート正面
プレートの側面
- 11 -
6. トラブルシューティングガイド
ZCAのトラブルのほとんどが潤滑不良や選定不良、据付不良に起因しております。万が一トラブルが発生した場合
はこのトラブルシューティングガイドに沿って適切な対策処置を実施ください。
表 １3 トラブルシューティング
トラブル 原 因 対 策
駆動部の破損
①
過負荷 負荷を軽くするかZCAを適正な容量のものに変更してください。
②
不適切な支持 ZCAをしっかりした架台に取り付け正確な心出しを行ってください。
③
衝撃 衝撃が加わらないように緩衝装置を取付けてください。
入力軸破損
①
心出し不良
筒カップリングなどの使用は、軸の破損を起こしやすくなります。
エクトフレックスカップリング®をご使用ください。
必要とされる同心度に調整してください。
②
過剰オーバ
ハングロード 負荷をカタログ値以下となるよう調整してください。
③
過負荷 駆動部の破損①を参照してください。
④
衝撃負荷
⑤
過剰入力 衝撃負荷が加わらないように安全装置を併用ください。
ベアリング破損
①
過負荷 駆動部の破損①を参照してください。
②
過剰オーバ
ハングロード 入力軸破損②を参照してください。
③
カップリング
心出し不良 入力軸破損①を参照してください。
④
カップリング
軸方向調整
入力軸に軸方向の荷重が加わらないようにカップリングの位置と長さを
調整してください。
チェーンの破損
異常摩耗
チェーンからの
異音
①
過負荷 駆動部の破損①を参照してください。
②
調整・据付不良
③
横荷重 横荷重が加わらないようにガイドなどを設置してください。
④
潤滑不良 本取扱説明書の5.保守・点検の項を参照し、点検及び必要な潤滑を
行ってください。
駆動部表面温度
の異常
（60℃を超える）
①
過負荷 駆動部の破損①を参照してください。
②
潤滑不良 本取扱説明書の5.保守・点検の項を参照し、点検及び必要な潤滑を
行ってください。
③
心出し不良 入力軸破損①を参照してください。
7. 破棄
●ZCAを廃棄する場合は、各自治体の規則に従って破棄してください。
●収納部の材質は「ポリアセタール：POM」です。駆動部とのあわせ面に明記しております。
※（ZCA25N(M)030、050及びZCA35N(M)050、075、100）のみ明記しております。
ZCA45収納ケース内部のチェーン収納ガイド材質は「ポリアセタール：POM」です。
●破棄するにあたり、安全に十分に注意して、作業を行ってください。
注意
- 12 -
8. 外形寸法図
図 8 外形寸法図（ZCA25）
表 14 ZCA25寸法
形 番 ストローク
mm
A
mm
B
mm
Lmax
mm
ZCA25N030EL 300 105 275 390
ZCA25N050EL 500 149 363 590
- 13 -
図 9 外形寸法図（ZCA35）
表 15 ZCA35寸法
形 番 ストローク
mm
A
mm
B
mm
Lmax
mm
ZCA35N050EL 500 156 404 631
ZCA35N075EL 750 218.5 529 881
ZCA35N100EL 1000 281 654 1131
- 14 -
図 10 外形寸法図（ZCA45）
表 16 ZCA45寸法
形 番 ストローク
mm
A
mm
B
mm
Lmax
mm
ZCA45N100EL
1000 298 758 1250
ZCA45N150EL
1500 423 1008 1750
ZCA45N200EL
2000 548 1258 2250
- 15 -
9. モータ、TERVO付
別途添付するハイポイドモートル専用取扱説明書を事前に熟読の上、取り扱いください。
表 17 モータ付ZCA特性表（ZCA25M030、050）
形式 ハイポイドモートル 定格推力
N｛kgf｝
速度
mm/sec
許容起動頻度
回/分
サイズ ストローク
形番
容量 減速比
50Hz 60Hz 50Hz 60Hz
ZCA25
300
006
（60W）
40 ※400
｛※40.8｝
60 73 10 10
50 ※400
｛※40.8｝
48 58 9 10
60 ※400
｛※40.8｝
40 48 8 9
009
（90W）
10 166
｛17.0｝ 243 292 10 10
15 274
｛28.0｝ 162 195 10 10
20 382
｛39.0｝ 122 145 10 10
25 ※400
｛※40.8｝
97 117 10 10
30 ※400
｛※40.8｝
82 97 10 10
500
006
（60W）
40 ※330
｛※33.6｝
60 73 10 10
50 ※330
｛※33.6｝
48 58 9 10
60 ※330
｛※33.6｝
40 48 8 9
009
（90W）
10 166
｛17.0｝ 243 292 10 10
15 274
｛28.0｝ 162 195 10 10
20 ※330
｛※33.6｝
122 145 10 10
25 ※330
｛※33.6｝
97 117 10 10
30 ※330
｛※33.6｝
82 97 10 10
・定格推力は60Hz時の値です。
・※印の機種はトルク制限機種です。
・ストローク500mmかつジャバラ付の場合は定格推力 300N｛30.6kgf｝以下に制限してください。
- 16 -
表 18 モータ付ZCA特性表（ZCA35M050、075、100）
形式 ハイポイドモートル
定格推力
N｛kgf｝
速度
mm/sec
許容起動頻度
回/分
サイズ ストローク
形番
容量 減速比
50Hz 60Hz 50Hz 60Hz
ZCA35
500
750
020
（0.2kW）
40 ※1000
｛※102.0｝
91 110 10 10
50 ※1000
｛※102.0｝
73 88 8 10
60 ※1000
｛※102.0｝
61 73 7 8
040
（0.4kW）
10 617
｛63.0｝ 365 438 3 5
12.5 794
｛81.0｝ 292 351 8 10
15 941
｛96.0｝ 243 292 10 10
20 ※1000
｛※102.0｝
183 291 10 10
25 ※1000
｛※102.0｝
146 175 10 10
30 ※1000
｛※102.0｝
122 146 10 10
1000
020
（0.2kW）
40 ※600
｛※61.2｝ 91 110 10 10
50 ※600
｛※61.2｝ 73 88 8 10
60 ※600
｛※61.2｝ 61 73 7 8
040
（0.4kW）
10 ※600
｛※61.2｝ 365 438 3 5
12.5 ※600
｛※61.2｝ 292 351 8 10
15 ※600
｛※61.2｝ 243 292 10 10
20 ※600
｛※61.2｝ 183 291 10 10
25 ※600
｛※61.2｝ 146 175 10 10
30 ※600
｛※61.2｝ 122 146 10 10
・定格推力は60Hz時の値です。
・※印の機種はトルク制限機種です。
・ストローク1000mmかつジャバラ付の場合は最大推力431N｛44.0kgf｝以下に制限してください。
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