FluxOR™カリウムチャネルアッセイ 2
このように、FluxOR™システムで検出される蛍光は、タリウムを細胞内に透過
させ得るすべてのイオンチャネル活性または輸送過程のインジケーターとなり
ます。
FluxOR™ Potassium Ion Channel Assay には、96 ウェルまたは 384 ウェルのマイク
ロプレート 10 枚(カタログ番号 F10016)または 100 枚(カタログ番号
F10017)の解析に必要なすべてのバッファーおよび溶液が含まれています。本
キットは、柔軟性と操作性が極めて高く、1つのフォーマットで多様なカリウム
チャネルおよびトランスポーターを標的することができます。FluxOR™
Potassium Ion Channel Assay は、hERG を安定的に発現する CHO および HEK293
細胞に使用できること、ならびに当社の BacMam カリウムチャネル標的試薬セ
ットで導入可能な BacMam-hERG などのカリウムイオンチャネル遺伝子を一時
的に形質導入した U-2 OS 細胞に使用できることを確認しています。本アッセイ
には、消光色素は不要で、ローディングおよび検出のステップで塩素フリーの
バッファーを使用する必要もありません。
アッセイの原理 FluxOR™試薬(Component A)は蛍光性のインジケーター色素で、細胞内には膜
透過性の AM エステルとしてローディングされます(図 1)。細胞ローディング
には、FluxOR™試薬をまず DMSO(Component H)に溶解し、さらに生理学的
HBSS (ハンクス平衡塩類溶液)である FluxOR™アッセイバッファー
(Component B)で希釈して使用します。ローディングには、当社独自の
PowerLoad™濃縮液(Component C)をご利用ください。成分として含まれる
Pluronic®界面活性剤が AM エステルを分散および安定化させ、水溶液中でのロ
ーディングを最適化します。
一度細胞内に取り込まれると、非蛍光性 AM エステル型の FluxOR™色素は、細
胞内エステラーゼによって切断され、蛍光性のタリウム感受性インジケーター
となります。このタリウム感受型インジケーターは、細胞質内にとどまり、有
機陰イオンポンプをブロックする水溶性のプロベネシド(Component D)によっ
て細胞外への流出が阻害されます。大半のアプリケーションでは、細胞内への
色素のローディングは室温で行われます。実験の最適化のために HTS アッセイ
を行う前に、色素のローディングに用いたバッファーを、プロベネシド含有生
理学的 HBSS(新しく調製した色素フリーのバッファー)と交換します。
HTS アッセイ中、弱い脱分極またはアゴニスト添加によってカリウム浸透性イ
オンチャネルを開口させる刺激物質とともに、少量のタリウムを細胞に加えま
す。タリウムは、細胞内方向への強い推進力により、開口したチャネルを通っ
て細胞内に流入します。細胞質内のタリウムと結合した脱エステル型の
FluxOR™色素により、蛍光の最大波長 525 nm における蛍光強度が著しく増加し
ます。基底状態および刺激後の蛍光をリアルタイムでモニターすることによ
り、細胞膜を介したタリウムの再分布を、消光色素による阻害を受けることな
く動的かつ機能的に解析することができます。FluxOR™アッセイはタリウムを
細胞内に輸送する、酵素的カリウム輸送プロセスの研究にも使用可能です 2。電
位開口型のカリウムチャネルである hERG(カタログ番号 B10019)、Kv1.3(カ
タログ番号 B10332)、Kv2.1(カタログ番号 B10333)、および Kv7.2/7.3(カタ
ログ番号 B10147)は、刺激用バッファー中にカリウムとタリウムを同時に添加
すると開口します。静止状態で内向き整流性カリウムチャネルである Kir1.1(カ