Thermo Fisher Scientific FluxOR Potassium Ion Channel Assay 取扱説明書

  • こんにちは!FluxORカリウムチャネルアッセイ(F10016、F10017)の製品説明書の内容を理解しています。このアッセイキットは、カリウムチャネルとトランスポーターの活性を測定するためのものです。タリウムイオンの細胞内への流入を蛍光で検出する仕組みで、様々な細胞株やカリウムチャネルの種類に対応しています。説明書に記載されているプロトコール、試薬の調製法、トラブルシューティングなど、ご不明な点がございましたらお気軽にご質問ください。
  • シグナルの変化が見られないのはなぜですか?
    シグナルウインドウを大きくするにはどうすれば良いですか?
    細胞からシグナルが検出されないのはなぜですか?
    ウェル間で結果にばらつきがあるのはなぜですか?
2009 813 日改訂 MP 10016
FluxORカリウムチャネルアッセイ
カタログ番号 F10016F10017
1. 製品内容および保存方法
試薬 F10016 F10017
濃度 保存方法* 安定性
FluxOR試薬(Component A 1 vial 10 vials
1000
DMSO 添加
後)
y -20˚C以下
y 乾燥条件
y 遮光
FluxORアッセイバッファー
Component B 25 mL 250 mL 10 倍濃縮
PowerLoad 濃縮液
Component C 1 mL 10 mL 100 倍濃縮
26°C
プロベネシド(Component D 2 × 77 mg 20 × 77 mg 100
(水に溶解後)
y -20˚C以下
y 乾燥条件
FluxORChloride-free バッファ
ー(Component E 25 mL 250 mL 5倍濃縮
硫酸カリウム(K2SO4)濃縮液
Component F 20 mL 200 mL 125 mM 水溶液
硫酸タリウム(Tl2SO4)濃縮液
Component G 20 mL 200 mL 50 mM 水溶液
26°C
ジメチルスルホキシド
DMSO)(Component H 100 μL 1 mL 100% y 25˚C以下
y 乾燥条件
説明書の指示に
従って保存した
場合、製品は
最低 6ヵ月間は
安定です。
*すべての製品はドライアイスを詰めて発送しており、-20˚Cで保存可能です。
アッセイ数:下記のプロトコールに基づいてアッセイを行った場合、10 または 100 枚のマイクロプレ
ート(96 ウェルまたは 384 ウェル)に使用するのに十分な量の試薬が含まれます。Component A の各
バイアルは、10 枚のマイクロプレートのアッセイを行うのに十分な量が含まれます。
およその励起/蛍光最大波長:490/525 nm
はじめに
FluxOR Potassium Ion Channel Assay は、カリウムチャネルおよびトランスポー
ター活性のハイスループットスクリーニング(HTS)を行うことができます。
カリウムチャネルのタリウムイオン(Tl)透過性については数多く報告されて
おり 1, 2FluxORアッセイではこれを利用しています。カリウムチャネルを開
口させる刺激物質とタリウムを同時に細胞外液に加えると、タリウムは濃度勾
配によって細胞内に流入します。カリウムチャネルまたはトランスポーターの
活性は、細胞質内の蛍光量を増加させる当社独自の指示色素で検出されます。
FluxORカリウムチャネルアッセイ 2
このように、FluxORシステムで検出される蛍光は、タリウムを細胞内に透過
させ得るすべてのイオンチャネル活性または輸送過程のインジケーターとなり
ます。
FluxOR Potassium Ion Channel Assay には、96 ウェルまたは 384 ウェルのマイク
ロプレート 10 枚(カタログ番号 F10016)または 100 枚(カタログ番号
F10017)の解析に必要なすべてのバッファーおよび溶液が含まれています。本
キットは、柔軟性と操作性が極めて高く、1つのフォーマットで多様なカリウム
チャネルおよびトランスポーターを標的することができます。FluxOR
Potassium Ion Channel Assay は、hERG を安定的に発現する CHO および HEK293
細胞に使用できること、ならびに当社の BacMam カリウムチャネル標的試薬セ
ットで導入可能な BacMam-hERG などのカリウムイオンチャネル遺伝子を一時
的に形質導入した U-2 OS 細胞に使用できることを確認しています。本アッセイ
には、消光色素は不要で、ローディングおよび検出のステップで塩素フリーの
バッファーを使用する必要もありません。
アッセイの原理 FluxOR試薬(Component A)は蛍光性のインジケーター色素で、細胞内には膜
透過性の AM エステルとしてローディングされます(図 1)。細胞ローディング
には、FluxOR試薬をまず DMSOComponent H)に溶解し、さらに生理学的
HBSS (ハンクス平衡塩類溶液)である FluxORアッセイバッファー
Component B)で希釈して使用します。ローディングには、当社独自の
PowerLoad濃縮液(Component C)をご利用ください。成分として含まれる
Pluronic®界面活性剤が AM エステルを分散および安定化させ、水溶液中でのロ
ーディングを最適化します。
一度細胞内に取り込まれると、非蛍光性 AM エステル型の FluxOR色素は、細
胞内エステラーゼによって切断され、蛍光性のタリウム感受性インジケーター
となります。このタリウム感受型インジケーターは、細胞質内にとどまり、有
機陰イオンポンプをブロックする水溶性のプロベネシド(Component D)によっ
て細胞外への流出が阻害されます。大半のアプリケーションでは、細胞内への
色素のローディングは室温で行われます。実験の最適化のために HTS アッセイ
を行う前に、色素のローディングに用いたバッファーを、プロベネシド含有生
理学的 HBSS(新しく調製した色素フリーのバッファー)と交換します。
HTS アッセイ中、弱い脱分極またはアゴニスト添加によってカリウム浸透性イ
オンチャネルを開口させる刺激物質とともに、少量のタリウムを細胞に加えま
す。タリウムは、細胞内方向への強い推進力により、開口したチャネルを通っ
て細胞内に流入します。細胞質内のタリウムと結合した脱エステル型の
FluxOR色素により、蛍光の最大波長 525 nm における蛍光強度が著しく増加し
ます。基底状態および刺激後の蛍光をリアルタイムでモニターすることによ
り、細胞膜を介したタリウムの再分布を、消光色素による阻害を受けることな
く動的かつ機能的に解析することができます。FluxORアッセイはタリウムを
細胞内に輸送する、酵素的カリウム輸送プロセスの研究にも使用可能です 2。電
位開口型のカリウムチャネルである hERG(カタログ番号 B10019)、Kv1.3(カ
タログ番号 B10332)、Kv2.1(カタログ番号 B10333)、および Kv7.2/7.3(カタ
ログ番号 B10147)は、刺激用バッファー中にカリウムとタリウムを同時に添加
すると開口します。静止状態で内向き整流性カリウムチャネルである Kir1.1(カ
FluxORカリウムチャネルアッセイ 3
タログ番号 B10334)および Kir2.1(カタログ番号 B10146)のアッセイは、刺激
用バッファーにタリウムのみを添加して行います。カルシウム活性型カリウム
チャネル(KCa)または Gタンパク質活性型カリウム(GIRK)チャネルと共役
させてカリウムイオン輸送体および細胞の GPCR 活性を調べる場合も同様に、
タリウムのみを添加します。
FluxOR試薬のユニークな組成により、生理食塩水中で色素を使用する際に、
細胞ローディングおよびアッセイを塩素フリー条件下で行う必要がなくなりま
した。これは、細胞に色素をローディングする際に完全に塩素フリーの条件を
用いなければならない従来のタリウム流入アッセイと比較して、非常に大きな
利点です 3。塩化タリウムは、遊離タリウムおよび遊離塩素の濃度が約 4 mM
超えると形成される不溶性の沈殿物です。FluxOR試薬は、タリウムに対する
感受性が極めて高いため、ほとんどのアプリケーションでは最終濃度を 2 mM
に希釈してからプレート上の細胞に添加します。キットには Tl2SO4および
K2SO4の濃縮液が含まれているため、電位開口型のカリウムチャネルのアッセイ
で同時に使用されるサロゲート物質(タリウム)および刺激物質(カリウム)
の用量を最適化することが可能です。
リガンド開口型チャネル、静止状態のカリウムチャネル、およびカリウム輸送
体の場合、刺激用バッファーには過剰なカリウムを加えません。刺激用バッフ
ァーの構成成分はチャネルオープナーおよびタリウム濃縮液としますが、これ
を調製するときはキットに含まれる塩素フリーバッファーを用いる必要があり
ます。一方で、発現率の低い標的やタリウム浸透性の低い標的の場合、細胞外
タリウム濃度を高くする必要がありますが、アッセイおよび刺激に十分な量の
塩素フリーバッファーが含まれていますので、柔軟性と操作性が極めて高く、
広い範囲の標的に使用することができます。この場合でも、細胞には通常の
HBSS 溶液である FluxORアッセイバッファーで調製した FluxOR試薬がロー
ディングされますので、アッセイを行う前にバッファーを除去して、プロベネ
シドを含む 1X 塩素フリーバッファーと交換してください。
静止状態 活性化状態
図1. FluxORアッセイにおけるタリウムの再分布。FluxOR色素をローディングした細
胞の基底蛍光度は、カリウムチャネルが刺激されるまでは左図に示すように低い状態
です。タリウムと刺激物質を同時に加えると、タリウムは濃度勾配によって細胞内に
流入し、右図に示すように色素を活性化します。
FluxORカリウムチャネルアッセイ 4
実験準備
お客様にご用意
いただくもの
研究対象のカリウムチャネルを発現している細胞、および、その成長と
維持に必要な培養液
アッセイ用バッファー、ローディング用バッファー、および刺激用バッ
ファーを準備するための容器
96 または 384 ウェルのマイクロプレート
注意 硫酸タリウム(Component G)は毒物です。硫酸タリウムおよび硫酸タリウ
ムを含む溶液の取り扱いには十分な注意が必要です。タリウムを含む廃棄
物は、関連する各地方条例に従って正しく廃棄してください。
DMSOComponent H)は、有機分子の組織への取り込みを促進することが
知られています。DMSO を含む試薬の取り扱いには、その危険性に適応し
た装置、および操作を選択してください。試薬は、関連する各地方条例に
従って廃棄してください。
試薬の解凍
および調製
1.1 プロベネシド 100 倍ストック溶液の調製は、77 mg のプロベネシド
Component D)を含むバイアルに 1 mL の脱イオン水を加え、粉末が完全
に溶解するまでボルテックスを行ってください。溶液は、調製当日に使用
します。未使用分は分注し、-20˚Cで保存し 6ヵ月以内に使用してくださ
い。凍結、解凍の繰り返しは避けてください。
注意:1マイクロプレートあたり 200 µL のプロベネシド 100 倍溶液が必要
です。
1.2 色素 1000 倍ストック溶液を調製する際には、まず DMSOComponent H
を解凍しバイアルを短時間遠心分離してください。100 µL DMSO 1
イアルの FluxOR試薬(Component A)に加えると、色素 1000 倍ストック
溶液となります。短時間のボルテックスにより、色素を完全に溶解してく
ださい。色素ストック溶液は無色となります。未使用分は分注し、遮光お
よび乾燥した条件下で-20˚Cで保存してください。凍結、解凍の繰り返しは
避けてください。
注意:1マイクロプレートあたり、10 µL の色素 1000 倍ストック溶液が必要
です。
1.3 Component BCEF、および Gは解凍し、使用するまで 4˚Cで保存して
ください。
注意:Powerload濃縮液(Component C)は凍結により沈殿を生じることが
あります。生じた沈殿を溶解するためには、Component C 37˚Cに温めて
ください。
FluxORカリウムチャネルアッセイ 5
2. U-2 OS 細胞は、BacMam hERG プロトコール(MP10019)に記載された方法を用い
て、BacMam-hERG で形質導入しました。形質導入した細胞は、直ちに FluxORタリ
ウム検出キットでアッセイするか、凍結保存したのちアッセイ当日に解凍して使用し
ました。タリウム流入アッセイは、FlexStation® II 384Molecular Devices 社、カリフ
ォルニア州サニーベール市)を用いて行いました。Aは、アッセイ当日まで凍結保存
しておいた U-2 OS 細胞中の hERG 活性の FluxORアッセイ結果の生データを示して
います。矢印は、タリウ/カリウム刺激物質の添加を表しています。上側の曲線は、
用量反応曲線の決定に、シサプリド(hERG チャネル阻害剤)の最小用量を使用した
際のデータを、下側の曲線は最大用量を使用した際のデータをそれぞれ表していま
す。Bは、刺激前ピークの生データおよびベースライン値をボックスカー平均し、正
規化して得られたデータを表し、ベースラインに対する蛍光度の時間依存的な倍数増
加(F/F)を示しています。Cは、形質導入 24 時間後の新鮮な U-2 OS 細胞に発現し
BacMam hERG に対するシサプリドの阻害の用量反応的に測定したデータを表して
います。Dは、BacMam hERG で形質導入し、24 時間のインキュベーション後に凍結
2週間液体窒素中に保存した U-2 OS 細胞を用いたアッセイから得られたデータを
表します。細胞は、アッセイの 4時間前に解凍しプレートに播きました。エラーバー
は標準偏差(n = 4)を示します。
FluxORカリウムチャネルアッセイ 6
クィックスタートプロトコール
クィックスタートプロトコールは、ほとんどのカリウムチャネル研究の出
発点です。バッファー組成の変更の推奨および追加ステップの詳細に関し
ては、後述の実験プロトコールを参照してください。
2.1 マイクロプレート 1枚につき 10 mL ローディングバッファーを調製して
ください。各成分を、下記に記載した順番に添加してください。
PowerLoad100 倍濃縮液(Component C 100 μL
DMSO に溶解した FluxOR試薬(上記ステップ 1.2 参照) 10 μL
脱イオン水 8.8 mL
10 倍の FluxORアッセイバッファー(Component B 1 mL
脱イオン水に溶解したプロベネシド(上記ステップ 1.1
照)
100 μL
全容量 10 mL
2.2 細胞から培養液を除去し、20 µL384 ウェルのマイクロプレートの場
合)、または 80 µL96 ウェルのマイクロプレートの場合)のローディング
バッファー(上記ステップ 2.1 参照)を各ウェルに添加してください。
2.3 遮光条件下、1824˚C60 分間インキュベートしてください。この間にア
ッセイバッファーおよび刺激用バッファーを準備してください。
2.4 10 mL アッセイバッファーを調製します。
脱イオン水 8.9 mL
10 倍の FluxORアッセイバッファー(Component B 1 mL
脱イオン水に溶解したプロベネシド(上記ステップ 1.1
照)
100 μL
全容量 10 mL
2.5 10 mL 刺激用バッファー(電位開口型のカリウムチャネルの場合にはカリ
ウムを加えます)を調製します。
+K+ -K+
脱イオン水 2.5 mL 3.5 mL
5倍の FluxOR塩素フリーバッファー(Component E 1 mL 1 mL
K2SO4濃縮液(Component F 1 mL
Tl2SO4濃縮液(Component G 0.5 mL 0.5 mL
全容量 5 mL 5 mL
2.6 ローディングバッファーを除去し、20 µL384 ウェルのマイクロプレート
の場合)、または 100 µL96 ウェルのマイクロプレートの場合)のアッセ
イバッファーを各ウェルに添加してください。
FluxORカリウムチャネルアッセイ 7
2.7
オプション
:試験化合物を加え、1824˚C1030 分間インキュベートし
てください。
2.8 ディスペンサー搭載のマイクロプレートリーダーを用いてアッセイを行っ
てください。標準の FITC 蛍光用緑色フィルターを用いるか、または励起波
長を 460490 nm に、蛍光波長を 520540 nm にあわせて、装置をセット
ップしてください。10 秒間レコーディングした後、刺激用バッファーを加
えてください(384 ウェルのマイクロプレートの場合は 5 µL96 ウェルの
マイクロプレートの場合は 20 µL)。プレートのリーディングは、12秒毎
13分間行ってください。
実験プロトコール
以下に示すプロトコールは、FluxORカリウムチャネルアッセイを用いて
カリウムイオンチャネル活性を調べる際の基本的な出発点となるプロトコ
ールです。シグナルの最適化が必要となる場合もありますが、その際には
刺激用バッファー中のカリウムおよびタリウムの量を調整することで容易
に最適化を行うことが可能です。
重要事項 細胞ローディングは、ローディングバッファーを調製(下記ステップ
3.2)してから 20 分以内に行ってください。未使用のローディングバッフ
ァーは、廃棄してください。
マイクロプレート
上の細胞の
HTS アッセイ3.1 研究対象のカリウムチャネルを発現している細胞を Poly-D-Lysine でコーテ
ィングしたプレートに播いてください。細胞の回復と接着には少なくとも 4
時間かかります。
注意Poly-D-Lysine でコーティングした特製プレートは、動態リーディン
グ時に細胞を接着させ動かないようにする場合に有用ですが、アッセイに
必ずしも必要なものではありません。
3.2 ローディングバッファを調製するには、DMSO に溶解した色素 1000 倍ス
トック溶液(上記ステップ 1.2 記載の方法で調製したもの)を室温に戻し、
15 mL のコニカルチューブ内で、下記の試薬と混合してください。色素の溶
解性の最適化のために、試薬は下記の順序に従って混合してください。
PowerLoad100 倍濃縮液(Component C 100 µL
DMSO に溶解した FluxOR試薬(上記ステップ 1.2 参照) 10 µL
10 秒間よく混合し、以下を加えてください。
脱イオン水 8.8 mL
10 倍の FluxOR™アッセイバッファー(Component B 1 mL
脱イオン水に溶解したプロベネシド(上記ステップ 1.1 参照)100 µL
よく混合して成分を完全に溶解させ、アッセイプレートに分注するための
FluxORカリウムチャネルアッセイ 8
試薬リザーバーに移します。
注意:プロベネシド感受性のアプリケーション、または Pluronic®界面活性
剤の使用が好ましくないアプリケーションでは、これらの試薬を加えずに
アッセイを行ってください。これらの試薬を使用しない場合、シグナルが
大きく減少する可能性がありますが、細胞の種類によって大きく異なりま
すので、新しい標的や細胞株を使用する際には、毎回確認を行うことが必
要です。
3.3 細胞ローディングを行うには、培養液を完全に吸引し、1ウェルあたり 80
µL96 ウェルのマイクロプレートの場合)、または 20 µL384 ウェルのマ
イクロプレートの場合)のローディングバッファーと交換してください。
室温で遮光して4590 分間インキュベートしてください。この間に、
ッセイバッファーおよび刺激用バッファー準備してください。
注意:ローディング時間およびインキュベーション温度は、細胞の種類に
よってその最適値が異なります。ローディングが十分でない細胞は、色素
の流入を促進するために 37˚Cでインキュベートしてください。
3.4 アッセイバッファーを調製するためには、マイクロプレート 1枚あたり、1
mL FluxORアッセイバッファー(Component B)および 100 µL の水溶性
プロベネシド 100 倍溶液(Component D)を 8.9 mL 脱イオン水に加えてく
ださい。よく混合してから、アッセイプレートに分注するための試薬リザ
ーバーに移してください。
3.5 刺激用バッファーを調製するためには、下記の試薬をよく混合します。プ
ロトコールに記載された方法で使用した場合、刺激用バッファーは実験中
にアッセイバッファーで 15に希釈され、遊離 K+および遊離 Tl+の最終濃
度は、それぞれ 10 mM および 2.0 mM となります。リガンド開口型チャネ
ル、静止状態の内向き整流チャネルの場合には、K2SO4Component F)の
代わりに水を使用してください。リガンドは必要に応じて刺激用バッファ
ーを用いて調製してください。
+K+ -K+
脱イオン水 2.5 mL 3.5 mL
5倍の FluxOR塩素フリーバッファー(Component E 1 mL 1 mL
K2SO4濃縮液(Component F 1 mL
Tl2SO4濃縮液(Component G 0.5 mL 0.5 mL
注意:電位開口型のカリウムチャネルでは、特定のチャネルを開口させる
最適用量を決定するうえで、刺激用バッファー中の K2SO4の量を変化させ
る方法が有用です。高濃度のカリウムは細胞流入においてタリウムと競合
しますので、最も大きなシグナルウインドウを与える K2SO4濃度を選択し
てください。ほとんどの電位開口型チャネルでは、10 mM のカリウムの添
加(5 mM K2SO4)が最適です。
FluxORカリウムチャネルアッセイ 9
3.6 4590 分間のインキュベーションの後、ローディングバッファーを除去
し、96 ウェルのプレートの場合には 1プレートあたり 80 µL のアッセイバ
ッファー(ステップ 2.4 に記載の方法で調製したもの)で、384 ウェルのプ
レートの場合には 20 µL のアッセイバッファーと交換してください。
注意:ローディングバッファーを新鮮なアッセイバッファーと交換した
ら、できるだけすみやかにアッセイを行ってください。
3.7
オプション
:試験化合物を加え、1030 分間インキュベートしてくださ
い。化合物を細胞と共にプレインキュベートすることも可能です。
3.8 アッセイを行うにあたっては、プレートリーダーに必要に応じて FITC 蛍光
用緑色フィルターセットを取り付けるか、励起波長を 460490 nm に、蛍
光波長を 520540 nm にセットしてください。1030 秒間ベースラインを
測定した後、96 ウェルのプレートの場合には 1ウェルあたり 20 µL384
ェルのプレートの場合には 1ウェルあたり 5 µL の刺激用バッファーを添加
し、12秒毎にアッセイプレートのリーディングを行ってください。
刺激用バッファーの添加後、60180 秒間リーディングを継続し、バックグ
ラウンドに対してどのタイミングで最適なシグナルが観察されるか決定し
てください。このとき、薬剤の完全阻害剤またはネガティブコントロール
を使用します。ほとんどの場合、刺激物質添加から 6090 秒後に、バック
グラウンドと比較して最も強いシグナルが観察されます。
困難な標的を
検出するための
高濃度タリウム
の使用
困難な標的を検出するために高濃度のタリウムを使用する場合には、上述
の細胞ローディング手順ののち、ステップ 4.4 におけるアッセイバッファー
として FluxOR塩素フリーバッファー(Component E)を使用してくださ
い。
使用アッセイバッファーを調製するには、2 mL FluxOR塩素フリーバッ
ファー(Component E)を 8 mL の脱イオン水および 100 µL のプロベネシド
と混合してください。これらの条件により、発現率の低い標的またはタリ
ウム透過性の低い標的からでもシグナルを得られることがあります。キッ
トに含まれる FluxOR塩素フリーバッファー(Component E)およびタリウ
ム濃縮液(Component G)は、希釈後最大 8 mM の遊離タリウムをマイクロ
タイタープレートに使用する条件でアッセイを行うのに十分な量が含まれ
ています。
FluxORカリウムチャネルアッセイ 10
参考文献
よくある質問とその回答
問:私の細胞でシグナルの変化が見られないのはなぜでしょうか?
答:タリウムが、刺激用バッファーにのみ含まれていることを確認してくださ
い。
問:シグナルウインドウを大きくするためにはどうすればいいでしょうか?
答:新たに刺激用バッファーを調製し、タリウムおよびカリウムの用量をマト
リックス状に組み合わせてアッセイを行い、お客様の標的に最適な比率を
探してください。
問:シグナルウインドウが小さくなる原因は何ですか?
答:シグナルウインドウが小さくなる原因としては、以下のようないくつかの
可能性が考えられます。1)標的の発現レベルが低い、2)標的細胞のタリ
ウム透過性が低い、3)細胞ローディングの時間が長すぎる(2時間を超え
る)、4)細胞ローディングの時間が短すぎる(30 分未満)、5)プロベネ
シドが含まれていない。
問:細胞からシグナルが検出されないのですが、なぜでしょうか?
答:細胞に色素がローディングされていない可能性があります。FluxOR色素
は、FITC 蛍光用フィルターを取り付けた蛍光顕微鏡で容易に確認されるは
ずです。ローディング後、細胞質が均一にラベルされていることを確認し
てください。細胞がラベルされていない場合、色素の再懸濁および保存が
適切に行われていたかどうか、またローディングバッファー中の試薬が正
しい順序で混合されていたかどうかを確認してください。
問:ウェル間で結果にばらつきがあるのはなぜでしょうか?
答:ウェルからの溶液の除去に問題がある可能性が高いと考えられます。細胞
にローディングバッファーをローディングする前に、必ず培養液を完全に
吸引または除去してください。また、すべての色素を注意深く除去してか
ら、新鮮なアッセイバッファーを添加してください。その際、細胞を吸引
しないように注意してください。色素を除去した後に洗浄ステップを加え
ることにより、アッセイの正確さが向上することもあります。
問:FluxORの名前の中に大文字の「OR」があるのはなぜですか?
答:FluxORアッセイは、オレゴン州(OR)ユージーンにあるモレキュラー・
プローブス社施設の科学者によって開発されたからです。
FluxORカリウムチャネルアッセイ 11
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