設計時間とスペースの節約を実現する
RFモジュールによるシステムの共存設計
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携帯型無線データ通信は、スマートフォンやタブレットPCなどの
携帯機器市場の急成長によって増大しています。そのような市場
で成功するためには、できるだけ小さなスペースに高効率で低雑
音のRFチャンネルを多数組み込まなければなりません。高集積の
RFモジュールを採用することによって、そのような高度なシステム
共存を、個別部品を使用するよりも素早く効率的に実現すること
ができます。
無線通信は、あらゆる種類の民生および商用データ通信で、便利
で好ましい通信方法となっています。WiFiネットワークはすでに家
庭に広まっており、PC、タブレット、スマートフォン、ゲーム、テレビ
などをサポートしています。さらにまた、公共WiFiホットスポットも
いたるところにあり、ネットサーフィン、メッセージ通信、およびIP
トラフィックのオフロード用のフェムトセルに使用されています。
WiFi以外にも、リモート・ヘッドセット用のBluetooth、ホーム
オートメーション・ネットワーク用のZig-Bee、無線ブロードバンド
用のWiMAX、および携帯電話を含む多くのワイヤレス・データ・
リンクが使用されています。さらに、輸送産業や公益事業は、
次世代送電網やトラフィック管理などの用途にも、これらのネット
ワーク技術を利用しています。同様に、その他の産業でも、生産や
商業の様々な要素を自動化するために機器間の通信に無線
ネットワークを活用としようとしています。
このように無線データ通信の用途が拡大するにつれて、機器開発
者の負担は倍増しています。まず、無線設計は、きわめて高品質の
送受信チャンネルを実現しなければなりません。送信チャンネル
は、電力、スペクトルおよび線形性の厳しい基準を満たし、狭帯域
幅フィルタリングによりアンプの歪みとインピーダンス不整合によ
る反射を回避しなければなりません。受信チャンネルは、信号損
失を防ぐために高効率でなければならず、またきわめて弱い受信
信号を処理しながらデータ伝送速度を最大にするために、できる
だけ雑音を除去しなければなりません。
開発者は、このようなRF設計上の課題に取り組みながら、システ
ムの共存に対処しなければなりません。多くのシステムは、1つの
無線リンクではなく、異なる規格にそれぞれ対応した2つ以上の
無 線リンクを必 要とします。たとえば、ラップトップ・コンピュータ
は、WiFiとWiMAXの両方の接続機能を搭載することがあります。
スマートフォンは、WiFi、Bluetoothと共に、GSM、3GおよびLTEに
対応します。そのような携帯システムは、様々なシステムの設計が
できるだけコンパクトであることが必要で、一般に回路基板上で
様々なシステムが組み合わされます。
同一機器で共存する異なる無線リンクは、一般に、同じ場所に
共用アンテナを使用して狭い周波数間隔で動作しなければなりま
せん。このように物理的および周波数配置的に近いシステムとの
共存は、受信フィルタに厳しい性能を要求します。とえば、WiFi設
計は、2.4~2.5 GHz帯で動作しながら、同時に2.1GHzの近傍3G送
信器からの信号干渉がないように設計しなければなりません。そ
のような厳しい周波数配置でのシステムは、きわめて鋭いロール
オフを備えたフィルタを必要とします。
しかし、このような複合的な設計課題を解決することのできる
ソリューション、アバゴ・テクノロジーのRF共存用の高集積フロン
トエンド・モジュール(FEM)があります。このRFモジュールは、アン
テナ接続を切り替えるための信号スイッチとフィルタとアンプを
内蔵し、個別の送受信経路を備えています。個別部品による設計
ではなく高集積モジュールを利用することにより、設計時間とコス
トを大幅に削減でき、同時に高性能で高効率のRFサブシステムを
実現することができます。このモジュールによる設計は、個別部品
による設計と比べて基板スペースも節約します(図1)。