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ULTRAMATCH PRO SRC2496 取扱説明書
スを併用したいといった状 況で接 続トラブルが生じることが頻 繁
にあります。また、業務用機器との接続においては、既存の XLR
コネクターが原因でオプティカル接続は不可能なものとなること
が ありま す。
ULTRAMATCH PRO なら、このような入出力フォーマットの非互換性ト
ラブル も解消 することが で きます。CD プレーヤーにオプティカル
デジタル 出 力のみが 装 備され 、DAT レコー ダーにコアクシャルピ ン
プラグ入力が装備されているような場合にも、SRC2496 に装備さ
れ た 全フォーマット対 応 の 3 入出力により先述のような問題も即
刻 対 処 す る こ と が で き る の で す 。通 常 ULTRAMATCH PRO では、現在
市販されている機器との接続が可能となっています。
3.10
ULTRAMATCH PRO のデジタル出力は全て同時に作動させることが
可能です。ここに装備されている入力選択スイッチが送られ
る信号を決定し、ミニ・パッチベイと同様の機能を有していま
す。信号受信により接続機器を決定できることから、出力側に
関しては同様の機能を有する切替スイッチが不要となってい
ます (例: 録音 起動 / 不起動)。このことから、ULTRAMATCH PRO
の全出力では、同時に同一信号による処理をおこなうのです。
3 出力における同時出力により、スプリッターモードや分配モード
が 可 能 と な り 、複 数 の DAT レコー ダーへ のコピーなどもおこな え
ます。入力から出力へデジタルデータのループスルーがおこなえ
ないような特殊機器を使用する場合にも、信号のスプリットによ
るその 機 能 を 発 揮します。
4.
4.1
異なるサンプリング周波数を一定の値へ変換する場合、従来では
1 つのユニットとしてのコンバーターデバイスが必要とされていま
した。さらにノイズ増加、歪み、イメージ周波数 (チャープ高周波
数) などのトラブル発生も計測技術的に認識されています。これ
に対し、ULTRAMATCH PRO 内で 導 入しているサンプルレートコンバー
ター チップ は 24 ビットの精確性による変換をリアルタイムでおこ
なっており、変 換 時 に おける干 渉 は 全くの 不 可 聴 となっていま す。
これは最新技術を有した高価な計測機器のみが計測できるほど
の 微 少 域 となってい る の で す。
専門家でさえ困難な理解力を要する機能原理を、ここではプロセ
ッサー内のフローに従ってわかりやすくモデル説明してみましょ
う。プロセッサーが入力信号上でオーバーサンプリングをおこな
います。各サンプル間の隙間を埋めることによりサンプリングポ
イント数を急激に増加させながら、各既存サンプル間にさらにサ
ンプルが挿入されます。この後、可変ローパスフィルターを信号が
ります。可変ローパスフィルターはリミットを正確に確保し、このリ
ミット以下におけるイメージ周波数 (エイリアシング) トラブルを
解消するのです。その後、任意のサンプリング周波数が出力側に
到 達 す る よ う 、サ ン プ リ ン グ ポ イ ン ト 数 を 分 配 し ま す 。 超 良 質 オ ー
バーサンプリングにより、SRC プロセッサーでは変 換 全 域における
優れた正確性が達成されています。さらに、入力信号上にある既
存ジッター を同 時 に処 理するので す。
デジタル信号加工により低歪み率および低ノイズ性が確保される
ことはいうまでもありません。しかし従来では、サンプルレート変
換時における信号換算が、まさに歪みおよびノイズ発生の原因と
なっていたのです。換算に必要とする大量のデータ量が通常のハ
ードウェア容量をはるかに越えていたのですから、当然ともいえ
るでしょう。もし、このような容 量 問 題を解消するためにこれらの
データを小 さなかたまりとして書き直そうとすれば 、膨 大 な 計 算
時間が必要となり、実際の作業に支障がでてしまうことになりま
す。このようなことから、計算時間および音質の両条件を満たす、
妥協 的 アルゴリズ ムの 数々が 試されていま す。
そしてこの結 、BEHRINGER ULTRAMATCH PRO に搭載されたプロセッサ
ーのリアルタイムなデータ処 理を可能にしたのです。
残 留ノイズ に関しては -117 dBFS 以下困難な入力信号の場合に
も -104 dBFS 以下の歪み率を維持することにより、ULTRAMATCH PRO
は不可聴性を確保しているのです。A/D および D/A 変換をおこな
う各コンバーターおよび 完 成 CD がこのような値を達 成 すること
が稀であることもこの理由です。
4.2 AES/EBUS/PDIF
インターフェイスのフォーマット形式としては、基 本的に 2 つの
標 準 が 存 在 し 、表 4.1 にそれらの電気的特性が記載されていま
す。AES/EBU とは、XLR コネクターによる業務用のバランス接続を
指します。このインターフェイスは、同一内容をもつ 2 つのプロト
コル、つまりヨーロッパ放送協会 (EBU) が 1985 年 11 月に発行し
たプロトコル (EBU Tech. 3250-E) およびオーディオ・エンジニアリン
グ・ソサイエティー (AES) が 1985 年 12 月に発行したプロトコル
(AES3-1985) をベースとしています。その 後、ソニーおよびフィリッ
プスの各社により、この標準をベースとしたアンバランス信号によ
る イ ン タ ーフェイ ス が さら に 開 発 さ れ 、こ れ ら の 各 イ ン タ ーフェ イ
ス 上 にチ ャンネルステ ー タスビットの 配 置 が おこな わ れ ました 。
これらのインターフェイスは両社の名称にちなんで (S/PDIF Sony/
Philips Digital Interface) と呼ばれピンプラグジャックもしくは光ケー
ブ ル と の オ プ テ ィ カ ル 接 続 を 使 用 し て い ま す 。ま た 一 方 で は IEC
958 規格によりコピー禁止機能の導入方法が指示されるようにな
り ま し た 。同 時 に こ こ で は 、S/PDIF フォーマットへの対応用に改良
された AES/EBU インターフェイス (IEC 958 Typ I プロフェッショナル)
に関する記述がなされています。S/PDIF イン タ ーフェ イス は こ こ で
は IEC 958 Typ II (コンシュマー) と称されています。ULTRAMATCH PRO
ではこれらの標準 (AES/EBU(AES3)、IEC 60958、EIAJ CP-1201 (日本標
準) の最新方式を採用しています。
Type AES/EBU IEC 958 Type II (S/PDIF)
Connection XLR RCA/optical
Mode Balanced Unbalanced
Impedance 110 Ohms 75 Ohms
Level 0,2 V to 5 Vpp 0,2 V to 0,5 V pp
Clock accuracy Not specied
I: ± 50 ppm II: 0,1 %
III: Variable pitch
Jitter ± 20 ns Not specied
表 4.1: AES および IEC 958 Typ II 仕様に関する重要データ
表 4.2 で は 、業 務 用 フォーマット内 に お けるビット 構 造 の 一 部 分
を紹介し、AES/EBU 接続がどのようにおこなわれているかを明示し
ています。
Byte Bit
0 1 2 3 4 5 6 7
0
P/C Audio Emphasis Locked Sampl. freq.
1
Channel mode Use of user bits
2
Use of AUX bits Sample length Reserved
3
Reserved for description of multichannel recording
4
Audio ref. Reserved
5
Reserved
表 4.2: 業 務 用 フ ォ ー マ ッ ト( AES/EBU)内 に お け る コ ー ド
表 4.3 では、S/PDIF 接続の際に 常使用される民生用フォーマット
におけるデータ構造を明示しています。