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FANTOM バージョン 1.50 追加マニュアル
本マニュアルは、FANTOM のバージョン1.50で追加された機能
について説明します。
FANTOM の取扱説明書、リファレンス・マニュアル(PDF)、
FANTOM バージョン 1.10 追加マニュアルと合わせてご覧くだ
さい。
ボコーダーの追加
「ボコーダー」は、シンセ音に人の声のキャラクターを適用する
ことによって、まるで人が歌っているようなサウンドを出すことを
可能にするエフェクトです。ピッチは鍵盤を弾いてコントロールし
ます。
今回追加されたボコーダーは、従来のボコーダーと比べて、以
下の機能が追加され、より進化したボコーダー・サウンドを楽し
むことができます。
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「Voice Character Control」
ボコーダーの構成要素であるバンドパス・フィルター(最大 32Band)の
設定を、LCD パネルから自在にコントロールすることで、お好みのボコー
ダー・サウンドを得られます。
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フレキシブルなキャリア入力
キャリア入力として、複数のゾーンをお好みで設定できます。
これにより複数ゾーンを使用した重厚なレイヤー・サウンド全体(もしくは
一部のレイヤー)にボコーダーを効かせることができます。
また、Input2 端子に接続した外部のシンセサイザーなどの演奏をキャリア
信号に含めることが可能です。
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「Stereo Switch」
キャリアとなるトーンのステレオ感で、広がりのあるボコーダー・サウンド
を得られます。
ボコーダーとは?
「ボコーダー」は 1939 年に物理学者の H.Dudley 氏によって
音声通信の圧縮技術の 1 つとして発表されました。この技術
を応用して人間の声でメロディーやハーモニーが演奏できる楽
器「ボコーダー」が誕生しました。
発声の音源になる「声帯」の振動波形は、発音の強さ、音の
高さ、個人差を除けば、発音の違い(たとえば a と o)でほと
んど変化がありません。では、人間の声とか言葉が、言葉とし
て聞こえるのはなぜかというと、「声道」つまり咽(のど)の形
や骨格、口の動きなどで生じるさまざまな共振(フォルマント)
や、付随して発生する「摩擦音」、「破裂音」、「鼻子音」といわ
れる音の時間的な変化によって特徴が付けられるためで、声帯
の振動波形の影響は比較的少ないとされています。
ボコーダーは、こういった発音の時間的な変化を分解して、電
気的に咽(のど)の形や口の動き(フォルマントの動き)を合
成し、声帯の変わりに楽器で演奏した楽音信号(キャリア)をフォ
ルマントでモジュレート(変調)して、発音するものです。
声道(咽の形や骨格)や口の動
き等で生じる共振(フォルマント)
声 帯( キ ャ リ ア )
演奏のコツ
ボコーダーは「音の高さ」(ピッチ)以外の要素を、マイクか
らの音声で表現するように作られています。「音の高さ」(ピッチ)
は、鍵盤を弾いてコントロールします。
ボコーダーはマイク入力だけでも、鍵盤の演奏だけでも、音
は鳴りません。そのため、ボコーダーを弾きこなすには「鍵盤
の演奏とマイクに入れる声のタイミング」が非常に重要になり
ます。
ボコーダーを使う
ここでは FANTOM の鍵盤を弾きながら、マイクの音声でボコー
ダー演奏する手順を説明します。
マイクを接続する
1.
MIC/LINEINPUT端子 1 にマイクを接続します。
ボコーダーは INPUT FX の INPUT1 側のルーティング内にある
ので、MIC/LINE INPUT 端子 1 にマイクを接続します。
2.
リア・パネルの LEVEL つまみ 1 でマイクの入力音量を調整
します。
入力音量は、音色を選んだあとに細かく調整します。まずは、中
央付近につまみを合わせてください。
ボコーダーの設定をする
接続ができたら、ボコーダーを使うための設定をします。
1.
シーンを選びます。
2.
[MENU]ボタンを押します。
MENU 画面が表示されます。
3.
< EFFECTSEDIT >にタッチします。
EFFECTS EDIT 画面が表示されます。
4.
AUDIOIN タブにタッチします。
ピーク・イン
ジケーター
レベル・メー
ター
ZOOM EDIT へ
ボコーダー・オン/オフ
画面の変更点
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INPUT FX に VOCODER と NS(Noise Suppressor)が追加されました。
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VOCODER、NS が追加されたことにより、ルーティング・デザインが新し
くなりました。各エフェクトの EDIT 画面は、新しく追加された EFFECTS
EDIT(ZOOM)画面から入ります。
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入力のレベル・メーターはピーク・インジケーターに変更されました。
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INPUT FX の出力に INPUT REV の出力をミックスした信号のレベル確認
用にレベル・メーターを新たに追加しました。
5.
画面内の<VOCODER>アイコンにタッチして、ボコーダー
のオン/オフを切り替えます。
注意
5
[E1]AUDIO IN がオフになっていると、マイクからの音声が入ってこな
いので、オンにしておきます。(電源オン時はオフになっています。)
5
接続しているマイクの種類に応じて、「LINE」/「MIC」、「PHANTOM」
も設定します。
詳しくはリファレンス・マニュアル『05:サンプラー編:入力音量を設定する』
をご覧ください。
メモ
サンプリングするときと同じように、LOW CUT や EQ、NS を併用してかけ
ることもできます。
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