ver.20221202J
株式会社レゾナック (https://www.shodex.com/)
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使用可能な溶媒は、以下の通りです。
(1) 4-ヒドロキシ安息香酸、フタル酸、サリチル酸などの酸の水溶液を使用します。
(2) 基本の溶離液は、8 mM 4-ヒドロキシ安息香酸 + 2.8 mM Bis-Tris + 2 mM フェニルボロン酸 + 0.005 mM
CyDTA 水溶液です。 Bis-Tris はpH 調整に用い、フェニルボロン酸は、リン酸イオンとフッ化物イオンの分離を
改善します。また、CyDTA は配管から溶出する金属イオンの影響を除去するために添加します。
具体的な調製方法は「5. 溶離液の調製」を参照ください。
(3) 溶離液の濃度、 pH、溶離液の種類などを変えることにより、試料の溶出時間や溶出順序を変えることが可能です。
(4) アセトニトリルやメタノールは、10 % (v/v)まで添加可能です。
注意 ※使用条件を順守してください。使用可能範囲外での使用は、カラムを劣化させるおそれがあります。
※高感度分析では、4-ヒドロキシ安息香酸の試薬に微量に含有する不純物がクロマトグラムのベイカント
ピークとして現れ、測定を妨害する恐れがあります。そのような場合は、4-ヒドロキシ安息香酸の再結晶化
をお勧めします。以下に再結晶化の一例を示します。
① 水500 mL を加熱かくはんしながら 4-ヒドロキシ安息香酸 10 g を少しずつ加える。
② 4-ヒドロキシ安息香酸が完全に溶解し、透明になったら(約 20 分間)室温で一晩静置する。
(針状の結晶が析出する。)
③ ろ紙(No.5A)でろ過した後、1 L の水でろ紙を洗浄する。
④ ろ液を 150 ℃に加熱し、4時間程度乾燥させます。 ※4-ヒドロキシ安息香酸の融点:215 ℃
※pH7 以上のアルカリ性溶離液は、炭酸ガスの吸収により溶離液の pH が変化しやすくなるため、
炭酸ガストラップを溶離液の容器の入口につけることをお勧めします。一般的には、pH の変化が少ない
酸性溶離液の使用をお勧めします。
※カラム圧力は、溶離液組成、流量、カラム温度によって変動します。溶離液の組成を変更する場合は、
使用可能最大圧力を超えないように流量やカラム温度を調整してください。
5. 溶離液の調製
(1) (基本の溶離液の場合)1 L メスフラスコに 4-ヒドロキシ安息香酸(特級グレード)1.105 g、Bis-Tris 0.586 g、
フェニルボロン酸 0.244 g、CyDTA 1.7 mg を量り取り、水を加えて 1 L とします。メスフラスコを超音波にあてて
試薬を完全に溶解させてください。
(2) 気泡の発生を防ぐため、溶離液は十分に脱気してください。
(3) 微細なゴミや不溶物が混在すると、カラムの性能低下やクロマトグラムのノイズの原因となりますので、メンブラン
フィルター(0.45 μm)で溶離液をろ過してください。
注意 ※水は、超純水製造装置で用時調製した水や開封直後の HPLC グレードの蒸留水を使用してください。
有機溶媒は、HPLC で問題無く使用できる品質が保証された HPLC グレードの使用をお勧めします。
異なるグレードの有機溶媒を用いる場合は、分析に適した品質であることを確認してから使用して
ください。なお、開封後、長時間経過したものは使用しないでください。変性や吸湿、汚染などが起きて
いる可能性があります。
※長期間保存した溶離液は使用しないでください。組成の変化などにより、溶出挙動の変化やカラムの
劣化につながるおそれがあります。
参考 ※オンラインで脱気が可能なデガッサの使用をお勧めします。
6. 試料の調製
(1) 粒子状物質(不溶性物質)の目詰まりによるカラムの劣化もしくは性能の低下を防ぐため、試料はあらかじめ
メンブランフィルタ(0.45 μm)などでろ過してください。
(2) 試料注入量はカラム 1本あたり 10 ~ 100 μL が目安です。
(3) タンパク質を含む試料は、除タンパクを行ってください。除タンパクは、限外ろ過膜を通す方法が適しています。
(4) 疎水性不純物を含む試料は、固相抽出などで除去してください。