Tsubaki BR Series ユーザーマニュアル

  • 椿本チエインのカムクラッチBRシリーズ取扱説明書の内容を理解しました。オイル潤滑とグリース潤滑、オープンタイプとパッケージタイプなど製品の仕様やメンテナンス方法、安全上の注意点について質問にお答えします。
  • カムクラッチの取付軸の推奨公差は?
    使用するキーの種類は?
    オイル潤滑の場合、油面の位置はどこですか?
    グリース潤滑の場合、グリースの充填量は?
    保証期間は?
カムクラッチBRシリーズ取扱説明書
この度は、カムクラッチをお買上げ頂き誠にありがとうございます。
正しくお使いいただくために、ご使用前に必ずこの取扱説明書をお読みください。
使
危険防止のため、下記の事項に従ってください。
本体あるいは装置側回転軸に回転力が作用していないことを確認のうえ、保守点検を行ってください。逆転防止用にクラッチをご使用のと
きは、特に注意してください。
起動、停止の繰り返しを目的とする使用方法では、架台に大きな力が作用します。架台の強度は十分におとりください。
取付け精度、負荷の状況、使用部品の摩耗、寿命等により機能、性能が低下することがあります。定期的に保守点検を行うとともに、あら
かじめ装置側にも安全対策を講じてください。
労働安全衛生規則第 2編第 11節一般基準を遵守してください。
製品の取付け、取外し、保守、点検等の際には、取扱説明書に従って作業してください。
ご使用前に必ずこの取扱説明書をお読みいただき、正しくお使いください。
取付けに際しては、事前に必ず回転方向の確認を行ってください。
製品の取付けに使用するボルトは、指定の強度・サイズのものを使用し、所定の締め付けトルクで締め付けてください。
取扱説明書は、必ず最終ご使用になるお客さまのお手元まで届くようにしてください。
安全上のご注意
警告
ご使用(据付、運転、保守、点検等)の前に、必ずこの取扱説明書とその他の付属書類をすべて熟読し、正しくご使用ください。機器の知
識、安全の情報そして注意事項のすべてについて習熟してからご使用ください。
お読みになった後は、お使いになる方がいつでも見られるところに必ず保管してください。
この取扱説明書では、安全注意事項のランクを「警告」「注意」として区分してあります。
:取扱いを誤った場合に、危険な状況が起こりえて、死亡または重傷を受ける可能性が想定される場合。
:取扱いを誤った場合に、危険な状況が起こりえて、中程度の障害や軽傷を受ける可能性が想定される場合及び
物的損害だけの発生が想定される場合。
尚、 記載した事項でも、状況によっては重大な結果に結びつく可能性があります。
いずれも重要な内容を記載していますので必ず守ってください
注意
注意
オープンタイプ
BR 20
BR 25
BR 30
BR 35
BR 40
BR 45
BR 50
BR 60
BR 70
BR 80
BR 90
BR100
BR130
BR150
BR180
BR190
BR220
BR240
パッケージタイプ
BR 20P
BR 25P
BR 30P
BR 35P
BR 40P
BR 45P
BR 50P
BR 60P
BR 70P
BR 80P
BR 90P
BR100P
BR130P
BR150P
BR180P
BR190P
BR220P
BR240P
オープンタイ
内外輪は分離できる仕様になっていますが、分離せずに、納入された状態のままで組付けてください。
分離すると、組付けがむずかしくなるので、注意してください。
1. カムクラッチを取付ける軸の公差は、h6、または h7 を推奨
します。
2. キーは JIS B1301-1996(新 JIS)平行キー(普通形)を使用
してください。
その他のキーを使用する場合は、キーの天井を利かさないよ
うにしてくだい。キーの天井を利かすと、カムクラッチの破
損の原因になるので注意してください。
取付け前にキーとキー溝のすり合わせをしてください。
3. カムクラッチを軸にはめ込む際は、必ず下記の手順で行って
ください。鉄ハンマなどで、衝撃を与えることは、絶対に避
けてください。
(1) 回転方向を確認してください。
内輪端面の矢印は、内輪の空転方向を示します。内輪
が、矢印の方向に空転することを確認してください。
そして、装置の回転方向と一致していることも確認し
てください。
(2) 内輪端面を、ソフトハンマーなどで軽くたたいて、軸
に少しだけはめ込んでください。この時に、外輪が抜
けないように注意してください。
(3) 軸に少し入った状態からは、右図のようにエンドプレ
ートを利用して最後まではめ込んでください。
(4) 内輪が抜けないように、エンドプレートでしっかり固
定してください。
4. 外輪だけ仮組みして、取付け精度を確認してください。外輪
の取付け精度は右表を参照ください。取付け精度が悪い場合
は、カムクラッチが破損する原因になるので注意してくださ
い。
5. オイル潤滑で使用する場合の油面の位置は、内輪の地側の外
周部(取付例参照オイル潤滑例の軸心よりZの位置)にし
てください。
6. 減速機などに使用する場合は、ギヤオイルがカムクラッチ部
に浸入しない構造にしてください。特に、極圧添加剤の入っ
ているギヤオイルが侵入すると、カムクラッチの寿命が著し
く短くなるので注意してください。
7. 外輪とカバー、およびシールサポの取付けは、強度区分 10.9
以上のボルトでしっかりと取付けてください。そして、合わ
せ面には、シールボンド、パッキンなどで油漏れがしないよ
うにしてください。
取付け精度(平行度) 単位:
形番
平行度
形番
平行度
BR 20
0.10
BR 80
0.15
BR 25
0.10
BR 90
0.15
BR 30
0.10
BR100
0.25
BR 35
0.10
BR130
0.25
BR 40
0.10
BR150
0.25
BR 45
0.10
BR180
0.25
BR 50
0.10
BR190
0.25
BR 60
0.15
BR220
0.25
BR 70
0.15
BR240
0.25
取付け精度(直角度) 単位:
形番
直角度
形番
直角度
BR 20
0.04
BR 80
0.06
BR 25
0.04
BR 90
0.06
BR 30
0.04
BR100
0.08
BR 35
0.04
BR130
0.08
BR 40
0.04
BR150
0.08
BR 45
0.04
BR180
0.08
BR 50
0.04
BR190
0.08
BR 60
0.06
BR220
0.08
BR 70
0.06
BR240
0.08
パッケージタイプ
従来のシリーズと同様に、ベアリングの組込まれたタイプです。トルクアーム、カップリング
などを取付けて簡単に使用できます。グリース潤滑仕様です。
1. カムクラッチを取付ける軸の公差は、h6または h7 を推奨します。
2. キーは JIS B1301-1971(新 JIS)平行キー(並級)を使用してく
ださい。
その他のキーを使用する場合は、キーの天井を利かないようにし
てくだい。キーの天井を利かすと、カムクラッチの破損の原因に
なるので注意してください。
取付け前にキーとキー溝のすり合わせをしてください。
3. カムクラッチを軸にはめ込む際は、下記の手順で行ってくださ
い。
(1) 回転方向を確認してください。
内輪端面の矢印は、内輪の空転方向を示します。内輪が、
矢印の方向に空転することを確認してください。そして、
機械装置の回転方向と一致していることも確認してくださ
い。
(2) 内輪端面を、ソフトハンマーなどでたたいて、軸にはめ込
んでください。必ず、内輪端面に力を掛けてください。
端面をたたくとカムクラッチの破損の原因になるので注
意してください。
(3) エンドプレートを使用する場合は、これを利用して最後ま
ではめ込んでください。
(4) カムクラッチが軸方向に移動しないように、エンドプレー
ト、軸止メ輪などで固定してください。
4. 外輪に取り付けるトルクアーム、カップリングなどは、強度区分
10.9 以上のボルトでしっかりと取付けてください。
5. トルクアームとトルクアームの回転止めには、必ず2㎜程度のク
リアランスを設けてください。
トルクアームをリジッドに固定すると、カムクラッチ内部にコジ
レが発生して破損の原因になるので注意してください。
6. 熱風の送風機のターニング装置のように、軸が熱のために伸び縮
みする場合は、カップリング側でこれを吸収できる構造にしてく
ださい。(取付例 4参照)
7. スラスト荷重がかかる場合は、別途、スラスト荷重を受けるもの
を設けてください。
8. 出荷時には、グリースは封入されています。
縦形取り付け
取付例2
ディスクカップリング取り付け
取付例3
横形取り付け
取付例1
ギヤカップリング取り付け
取付例4
カムクラッチを長時間にわたって十分な機能を発揮させるためには、適正な潤滑と、そのメンテナンスが必要です。潤滑条件や、
メンテナンスが悪い場合には、カムクラッチの寿命が短くなったり、破損の原因になることがあるので注意が必要です。BR シリ
ーズは、オイル潤滑、グリース潤滑のいずれの方法でも使用できます。取付け場所や用途に応じて使い分けてください。
1.推奨潤滑
メーカー
オイル銘柄
JXTGエネルギー
FBK タービ32、ATF(Ⅱ)
JOMO タービン 32 JOMO ATF-K
昭和シェル
ターボオイル T32、シェルATF、
出光興産
ダフニータービンオイ32、アポロイルATF-DX
エクソンモービル
DTEオイルライト ATF220
コスモ
コスモタービンスーパー32 コスモ ATF(Ⅱ)
油面位置Z(1ページ オイル潤滑油参照)
形番
油面位置Z
形番
油面位置Z
形番
油面位置Z
BR 20
21
BR 50
43
BR130
87
BR 25
23
BR 60
46
BR150
122
BR 30
25
BR 70
54
BR180
122
BR 35
28
BR 80
64
BR190
132
BR 40
33
BR 90
74
BR220
147
BR 45
35
BR100
72
BR240
162
2.推奨グリース
メーカー
グリース銘柄
JXTGエネルギー
マルティノックグリース1
昭和シェル
アルバニグリースS1
出光興産
ダフニエポネックNo.1
コスモ
ダイナマックススーパーNo.1
協同油脂
マルテンプPSNo.1
1. 極圧添加剤の入っているオイルやグリースは、カムクラッチの寿命を短くしますので、絶対に使用しないでください。
2. 上記のオイル、およびグリースで、カムクラッチが正しく機能できる周囲温度範囲は、-5℃~40℃です。これを超える
周囲温度の場合は、当社までご相談ください。
3. パッケージタイプはグリース潤滑仕様です。グリースを封入して出荷します。
4. カムクラッチ用純正潤滑油(1㍑缶)および、純正グリース(500g 缶)を用意していますのでご利用ください。
メンテナンス
オープンタイプ
1. オイル潤滑で使用する場合は、下記の項目を実施してください。
(1) 合わせ面などから、油漏れがないこと。
(2) 油量が適正であること。
油量が不足している時は、規定量まで補充してください。
油量が多すぎると、発熱の原因になりますので注意してください。
(3) 6ヶ月に 1度オイルを交換してください。オイルの交換は、下記
の手順で行ってください。
古いオイルを排出してください。
洗浄油を入れて、約 10 分間空転運転を行ってください。
洗浄油を排出して、新しいオイルを規定量まで入れてくださ
い。
2. グリース潤滑で使用する場合は、下記の項目を実施してください。
(1) 運転前に給排油プラグを外し、外リンよりグリースを充填してく
ださい。充填量は下表を参照ください。グリースの入れすぎは、
熱の原因になるばかりでなく、カムの動きを悪くするために、破損
の原因にもなるので注意してください。
グリース量を少量管理するのが困難な場合、スポイド、注射器等を
使用し入れすぎぬ様対応下さい。
(2)排油プラグを外したまま、60分程度、BR20P~BR90P
は1000r/min 以上、BR100P~BR240Pは500r/min
以上で空転運転を行ってください。カム部に余剰グリースがある場
合は、タップ穴部から排出されます。
リースを入れすぎた場合は、すべての給排油プラグを外したま
ま、3時間程度空転運転を行って下さい。
(3) 余剰グリースを拭き取り、給排油プラグを取付けてください。
(4) 1年に 1度、(1)から(3)の手順でグリースを補充してください。
BR20BR70
BR80BR240
概略グリース充填量(g)(オープンタイプ
形番
カムクラッチ部
形番
カムクラッチ部
BR20
07
BR80
50
BR25
07
BR90
60
BR30
10
BR100
14
BR35
10
BR130
16
BR40
12
BR150
25
BR45
15
BR180
25
BR50
15
BR190
40
BR60
35
BR220
45
BR70
40
BR240
50
充填量は全プラグの合計です。
この取扱説明書に関するお問い合わせは、お客様問合せ窓口をご利用ください。
お客様問合せ窓 TEL (0120)251-602 FAX ( 0120)251-603
岡山工場 708-1205 岡山県津山市新野東 1515
2023 03 01 日発行 © 株式会社 椿本チエイン Bulletin No. 00M00TS002
パッケージタイプ
パッケージタイプはグリースを封入して出荷しております。下記の要領でグリースを補充してください。
1.外輪、およびフランジ(BR180PBR240P)の給排油プラグを外してください。
それぞれのタップ穴から、グリースをほぼ均等に補充してください。充填量は下表を参照ください。グリースの入れすぎ
は、発熱の原因になるばかりでなく、カムの動きを悪くするために、破損の原因にもなるので注意してください。
グリース量を少量管理するのが困難な場合、スポイド、注射器等を使用し入れすぎぬ様対応下さい。
2排油プラグを外したまま、60分程度、BR20P~BR90Pは1000r/min 以上、BR100P~BR240P
500r/min 以上で空転運転を行ってください。カム部に余剰グリースがある場合は、タップ穴部から排出されます。
グリースを入れすぎた場合は、すべての給排油プラグを外したまま、3時間程度空転運転を行って下さい。
3.余剰グリースを拭き取り、給排油プラグを取付けてください。
4.1年に 1度、(1)から(3)の手順でグリースを補充してください。
概略グリース充填量(g)(パッケージタイプ)
形番
外輪
フランジ
形番
外輪
フランジ
BR20P
13
――
BR80P
25
――
BR25P
20
――
BR90P
35
――
BR30P
40
――
BR100P
55
――
BR35P
42
――
BR130P
80
――
BR40P
60
――
BR150P
105
――
BR45P
65
――
BR180P
25
20
BR50P
95
――
BR190P
40
30
BR60P
13
――
BR220P
45
30
BR70P
23
――
BR240P
50
50
充填量は全プラグの合計です。フランジは両側の合計になります。
保証
●保証範囲
下記の保証期間中に本取扱説明書に基づく正しい据付けが行われ、カタログもしくは別途協議により取り交わされた条件下で使用される場合に、当社製品に生じた故障は、故障部分の交換または修理を無償で
行ないます。この保証は、あくまでお納めした製品単体についてのみであり、お客様の逸失利益およびその他拡大損害については、ご容赦いただきます。なお、下記に該当する場合には、保証の範囲から除外致
します。
1.お客様がこの取扱説明書に従って正しく据付けられなかった場合。 7.この取扱説明書による正しい使用環境以外で製品をご使用になった場合。
2.カタログに記載した条件やお客様との間で取決めた条件以外で使用された場合。 8.災害等の不可抗力や第三者の不法行為によって故障した場合。
3.製品と他の装置との連結に不具合があり故障した場合。 9.お客様の装置の不具合が原因で、当社製品に二次的に故障が発生した場合。
4.お客様で改造を加える等、当社製品の構造、機能及びメーカー用設定を変更された場合。 10.お客様から支給を受けて組込んだ部品、お客様のご指定により使用した部品等が原因で故障した場合。
5.当社または当社指定工場以外で修理された場合。 11.その他当社の責任以外で損害の発生した場合。
6.お客様の保守管理が不十分で故障した場合。
●保証期間
工場出荷後18ヶ月または使用開始後(お客様への装置への組込みも含めます)12ヶ月の何れか短い方をもって、当社の保証期間とします。保証期間経過後の調査や修理は、全て有償となります。なお、保証期
間内に上記保証範囲外の事由により故障が発生した場合でも、調査および修理は有償で承りますので、ご購入先へお気軽にお申し付けください。
●その他
1.この取扱説明書の内容は、お断りなしに変更することがありますので、予めご了承ください。
2.この取扱説明書の内容につきましては、誤記や不備の無いよう万全を期しておりますが、万一誤記または不備がございましたら、当社までご一報ください。
BR20PBR150P
BR180PBR240P
株式会社 椿本チエイン
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