Ozone Enzo 2 取扱説明書

  • OZONE ENZO2 パラグライダーの取扱説明書の内容を理解しました。このパラグライダーの機能、安全な使用方法、メンテナンス方法などについてご質問があれば、お気軽にお尋ねください。例えば、ブレークラインの調整方法や推奨飛行重量、グライダーのたたみ方などについてお答えできます。
  • ENZO2のブレークラインの長さを調整できますか?
    ENZO2の推奨飛行重量範囲は?
    グライダーのたたみ方は?
    ラインの交換頻度は?
    ENZO2はどのようなパイロット向けですか?
ENZO2
PILOT’S MANUAL
飛行する前に必ずこの取扱説明書を良く読み、
内容を十分理解して下さい。
- 1 - ENZO2
ENZO2
始めに...................................................................... 3
警告 ....................................................................... 3
OZONEチーム ................................................................ 4
ENZO2に関して .............................................................. 5
4・1 ブレークライン ...................................................................... 5
4・2 ライザー ........................................................................... 6
4・3 アクセルシステム ................................................................... 6
4・4 ハーネス .......................................................................... 6
4・5 飛行重量 .......................................................................... 6
取り扱い方法 ................................................................ 7
5・1 プレフライトチェック .................................................................. 7
5・1・1 ライン ........................................................................ 7
5・2 グランドハンドリング ................................................................. 8
5・3 グライダーのたたみ方 ............................................................ 8
フライト .................................................................... 11
6・1 テイクオフの準備 .................................................................. 11
6・2 離陸 ............................................................................. 12
6・3 旋回 ............................................................................. 13
6・4 アクセルの使い方 .................................................................. 13
6・5 アクティブフライト .................................................................. 13
.................................................. 14
6・7 着陸 ............................................................................. 15
高度なフライト技術 .......................................................... 15
7・1 翼端折り ......................................................................... 15
7・2 ウイングオーバー .................................................................. 16
............................................................... 16
7・4 スパイラルダイブ .................................................................. 16
異常事態 .................................................................. 16
8・1 潰れ ............................................................................. 16
8・2 クラヴァット ....................................................................... 17
8・3 ディープストール/パラシュートストール ................................................. 18
8・4 マヌーバー ................................................................... 18
8・5 アクロバット飛行 ................................................................... 18
トーイング .................................................................. 19
10 オゾンの素材 .............................................................. 19
11 メンテナンス ............................................................... 2 0
11・1 紫外線劣化 ..................................................................... 20
11・2 保管 ........................................................................... 20
11・3 クリーニング ..................................................................... 20
ENZO2 - 2 -
11・4 キャノピーの修理 ................................................................. 20
11・5 ラインの修理 .................................................................... 21
11・6 定期検査 ....................................................................... 21
11・6・1 エア漏れ ................................................................... 22
11・6・2 引き裂き強度 ................................................................ 22
11・6・3 ライン強度 .................................................................. 22
11・6・4 ライン長 .................................................................... 22
11・6・5 全体検査 ................................................................... 22
12 改造 ..................................................................... 22
13 オゾンの品質とサービス ..................................................... 23
14 オゾンの保証 .............................................................. 23
15 最後のアドバイス .......................................................... 23
仕様 ......................................................................... 25
ライン取付け図 ................................................................ 26
ライザー見取り図 .............................................................. 2 7
運用限界プラカード ............................................................. 28
- 3 - ENZO2
始めに
まず始めにOZONEのENZO2をご購入頂きお礼を申し上げます。ENZO2で初めてフライトする前
に必ずこの取り扱い説明書、特に、 マークの付いている項目をよく読み、内容を十分理解して
下さい。
フリーフライト愛好家ならびに冒険者のチームであるオゾンの使命は、乱れた気流の中での安
全性を確保しつつ、究極の性能を持った、滑らかで軽快なハンドリングのグライダーを創り出すこ
とです。
我々の全ての研究開発は、最適な安全性と可能な限りの操縦性を融合させることに集中され
ています。どんな性能のアップも自分の機体への信頼感がなければ、無用の長物です。
我々の開発チームは南フランスにベースを置いています。近くにはグルドン、モナコ、ラションス
などのフライトエリアがあり年間300日以上もフライトを可能にしてくれています。これはオゾンの
グライダー開発にとって貴重な資産ともいえるものです。
この取扱説明書はあなたのENZO2の性能を十分に発揮させる手助けをするものです。ENZO2
のデザイン、最適な使用法のヒント・アドバイス、長持ちさせるためのメンテナンスの仕方につい
ての解説が含まれています。
さらに、オゾン、ENZO2、その他のオゾン製品についての情報をお知りになりたいときには我々
のホームページ(www.flyozone.com)をご覧頂くか、お近くのディーラー、スクールあるいは直接オ
ゾンのスタッフへお問い合わせ下さい。このホームページには安全に関する事柄、ENZO2に関す
る事柄など最新の情報が掲載されています。定期的にチェックされることをお勧めします。
安全なフライトを... オゾンチームより
警告
初めてあなたの ENZO2 でフライトする前に必ずこの取扱説明書を良く読んで内容を理解してく
ださい。分らない事はフライトする前に、この ENZO2 を購入されたディーラーあるいは輸入代
理店に確認し、理解してからフライトして下さい。
ENZO2 は、EN D の認証を取得してはいますが、高性能なコンペ機です。したがって、十分な
適正のある経験豊富なパイロットのみにより使用されるグライダーです。ハイアスペクトの高性能
機での飛行経験の少ない、あるいはその特性に慣れていないパイロットは決して使用しないでく
ださい。
もし、この ENZO2 を譲渡するときには、必ず、新しいオーナーが、このグライダーを安全に飛ば
せることが出来るかを確認し、この取扱説明書を新しいオーナーにお渡し下さい。
全ての航空スポーツは危険を伴い、怪我や死亡事故が起きる可能性が有ります。この ENZO2
を使用するにあたっては、あらゆる危険に対する全ての責任があなたに有る事を自覚して下さ
い。不適切な使用、改造は危険を増加させます。絶対にしないで下さい。
ENZO2 - 4 -
製造者、輸入代理店ならびに販売者はこのグライダーの使用に起因する損害に対しての賠償
責任は負わないものとします。
テイクオフする前にフライト場所の地形、気象条件を必ず確認して下さい。疑問の有るときはフ
ライトを断念して下さい。全ての決定に対しては十分な余裕を持って下さい。
フライトする前に必ず、装備の飛行前点検を実施し、不適切あるいは損傷している機材で飛行
しないで下さい。
常に、適切に管理された緊急パラシュート、ヘルメット,手袋、ブーツを装着してフライトして下
さい。
フライトに際しては、適切な技能証と有効なフライヤー登録証を持っている事が必要です。
肉体的にも精神的にも健康な状態でのみフライトをして下さい。
雨、雪が降っているとき、風の強いとき、気流の乱れているときはフライトしないで下さい。
雲中飛行はしないで下さい。
この ENZO2 をスカイダイビング用に使用しないで下さい。
この ENZO2 はアクロバット用に設計されておりません。 バンク角60度を超える急旋回はしな
いで下さい。
フライトテクニックならびに機材は進化し続けています。常にこのスポーツの進化に遅れないよ
う日々学習する習慣を身につけるようにして下さい。
楽しむことがこのスポーツの原点であることを忘れないで下さい。
OZONEチーム
オゾンの誰もが飛びたいという情熱、冒険を愛する心を持ち、オゾ
ンのグライダー開発においてより安全で、より高性能で、より取り扱い
のし易いグライダーを作り出すことを常に望んでいます。
パラグライダーのデザインは常に向上心溢れ、豊富な知識を持つ
ダヴ・ダゴーが担当しています。彼はパラのデザインのみならず競技や冒険フライトにおいても多
くの経験を持つパイロットでもあります。彼に加えてデザインチームにはテストパイロットのラッセ
ル・オグデン、ルック・アーモン、フレッド・ピエリがいます。ラッセルはトップクラスのコンペパイロッ
トでSIVイントラクターでもあり、ダヴの作った新しいプロトグライダーを使って一連のアクロマヌー
バーをするところを目にすることが出来ます。ルックは熱心なクロカンマニアで造船工学の経験が
あり、その知識とアイデアをデザインチームにインプットし、ダヴと緊密に開発の仕事をしていま
す。フレッドは、新しくチームに加わった機械工学およびビバークフライトの専門家でもあります。
フレッドはアンチGをデザインし、シャークノーズの生みの親でもあります。
オフィスではマイク・“ザ・ボス”・カヴァナが全般を監督しています。マイクは、昔からのクロカン
スペシャリストで、ハイレベルな飛びをしておりパイロットの要望を良く理解しています。プロモー
ションとパラグライダーチームの担当はマット・ゲルデスです。マットは、ベースジャンプおよびエ
キストリーム・スキーのスペシャリストでスピードパラも担当しています。カリーヌ・マルコーニ、ジ
- 5 - ENZO2
ル・デヴィーヌおよびクロエ・ヴィラは財布の紐をコントロールしオーダーシステムを管理していま
す。
我々のヴェトナムにある自社工場は、妥協することなしに製品グライダーならびにプロトタイプ
グライダーの製造をし、今後の製品に取り入れるべき素材の研究や製造工程のデザインをして
いるドクター・デイヴ・ピルキントンに率いられています。彼を補佐するのはカーン、ポンを始めと
する700名の献身的なスタッフです。
ENZO2に関して
ENZO2に対する我々の使命は、可能な限り最も競争力のあるパラグライダーを作り上げること
でした―それは単に速度および滑空比において競争力があるだけではなく、真の性能において
も競争力があることを意味しています。このクラスのグライダーをEN基準に適合させることは本
来大変難しいのですが、この新しいグライダーはその先代と比べ著しく改良されています。
オゾンパフォーマンスプロジェクトのみならず超軽量研究による成果物を丹念に集めた技術を
取り入れた101セルのENZO2は、我々がこれまでデザインしてきた中で最も複雑なパラグライダ
ーです。次世代シャークノーズデザインそして超低抵抗ライン構成により非常に競争力のある性
能を生み出しました。ENZO2のトップスピードは速くなり、乱気流中における性能は比べるものが
ありません。さらに、次世代シャークノーズによる大迎角での非常にコンパクトでかっちりとした感
覚によりその上昇性能は素晴らしいものです。社内での比較テストでは乱気流中および総合的
な沈下率において明らかなアドバンテージが見られました。
ENZO2はキャノピー素材としてドミニコ30Dとポルシェスポーツ27gをブレンドして使用していま
す。30Dは前面部分の構造部材として、そして超軽量27gを広範に使用することでグライダーの
総合的挙動にも良い結果をもたらしています。
認証を取得はしていますが、ENZO2はコンペ機です。通常のEN Dクラスのグライダーに乗るパ
イロットには適していません。ましてや、初めて乗るEN Dグライダーではありません。レースをす
るためにデザインされ、トップレベルのパイロットの要求を満足させるように作られています。安全
に飛ばせるには、R10.2/R11と同様レベルのパイロットおよび操縦テクニックが必要となります。
高レベルのグライダーコントロール、SIVの徹底した知識、そして2ライナーを潰さずに飛ばすこと
が出来るテクニックを備えたハイレベルのパイロットだけに適しているグライダーです。
4・1 ブレークライン
ブレークの長さはテストおよび製造行程で注意深く調整されています。しかしながら、パイロット
によっては、ブレークの長さを調整したいと考えることも有るでしょう。
いずれにせよ、以下にあげる注意点を忘れないでください。
※デフォルト(最初の設定)の長さから、決して短くしないでください。加速時にブレークが効いて
しまう危険性があります。
※左右両方のブレークラインが同じ長さになっているか。
※何らかの理由でブレークトグルをはずした場合は、ブレークラインがプーリーを通っていること
を確認してトグルを取り付ける。
ENZO2 - 6 -
※飛行中ブレークトグルを離した時ブレークラインがたるんでいるか。ブレークラインがしっかりと
後ろに弓なりになっていなければなりません。また、トレーリングエッジが少しでも引き下げられて
いてはいけません。
重要:万が一飛行中にブレークラインが切断したり、トグルが外れてしまったりした場合は、リアー
ライザー(Bライザー)をゆっくりと引くことで方向転換をすることが出来ます。
4・2 ライザー
ENZO2は、AおよびBの2列ラインシステムのセンター部分にアッパーCラインを付けた構造で、
ライザーはAとBの2本ライザーです。Aライザーは確認しやすいようにグレーのテープで色付け
されています。Bライザーは、Aライザーよりわずかに短く、Bライザーによるアクティブフライトをし
易くするための赤いトグルが付いています。
4・3 アクセルシステム
フライトする前に正しくアクセルを取り付けて、アクセルラインの長さを調整して下さい。通常飛
行時にアクセルが引かれていないように十分長めにセットし、なおかつ踏み切れるだけ短めにセ
ットする必要が有ります。まず、ライザーを取り付けたハーネスを地面に置き、ハーネスに座りま
す。その状態で誰かに手伝ってもらってライザーをぴんと張るように保持してもらいます。その状
態でフットバーがハーネスのシート下部に来るようにアクセルロープの長さを調整します(必ず少
し長めになるようにして下さい。万が一短めにセットすると実際のフライトで常にアクセルが引か
れた状態になり大変危険です)。
セッティングが済んだら、穏やかなコンディションのもと、アクセル使用中、両ライザーが均等に
引かれているか確認しながらアクセルのフルレンジを試して見ます。微調整はフライト後地上で
行ってください。
4・4 ハーネス
あなたがフライトを楽しむのはハーネスに座ってです。すわり心地が快適であればフライトも楽
しいものになります。従ってあなたのハーネスのセッティングには十分時間を掛けて下さい。また、
左右のセッティングが同じであるかもチェックしてください。
チェストストラップは左右のライザーのセンター間の距離が42cmから48cmの範囲に調整し
てください。
4・5 飛行重量
ENZO2の各サイズはある決められた飛行重量範囲で認証を取得しています。
スピードとハンドリングを重視し、山または強いコンディションでいつも飛んでいるなら飛行重量
範囲の真中から重いほうで飛ぶ方が良いでしょう。
沈下率を重視し、平野または弱いコンディションでいつも飛んでいるなら飛行重量範囲の真中
から軽いほうで飛ぶ方が良いでしょう。コンディションが強くなった場合にはバラストをつむことが
可能です。
大会でフライトする時には、一般的に飛行重量範囲の重目で乗る方がベターです。
- 7 - ENZO2
重要:認証を取得した飛行重量範囲内で飛ばなければなりません。そうしないと認証は無効と
なります。
取り扱い方法
あなたのオゾンENZO2は空中であなたの面倒を見ます。その代わり地上でENZO2の面倒を見
るのはあなたです。
このグライダーは製造過程のあらゆる段階で熟練した検査員の入念なチェックを受け、サイン
されています。しかし、我々をすっかり信じないで下さい。初めてフライトする前に必ずプレフライト
チェックをして下さい。また、その後はフライトする日の始めにプレフライトチェックをして下さい。
特に、初めてグライダーを広げた際に、リーディングエッジ補強用のプラスティックパイプがお
かしな格好に変形したり、おかしな向きにねじれたりしていないか慎重にチェックしてください。
5・1 プレフライトチェック
特に長時間フライト、遠征あるいは長期間の保管の前後には通常のメンテナンスチェックをする
ことが大変重要です。
忘れることがないよう常に同じ方法でチェックして下さい。
1. ハーネス、レスキューブライダル、ライザーの全ての縫い目を点検
2. 全てのラピッドリンク、カラビナを点検
3. ブレークトグルの結び目を点検。結び目や破損がないかブレークラインをキャノピーまで点
検。
4. そのほかの全てのラインをキャノピーまで点検。
5. キャノピーのライン取付け部を全て点検。
6. キャノピー上・下面が破損したり老朽化したりしていないか点検
7. キャノピー内部:リブが破損したり老朽化したりしていないか点検
8. リーディングエッジおよびBライン取付け部の上面に縫いこまれている補強用プラスティック
パイプが変形していないか点検
破損や不自然な磨耗を発見した場合はディーラー、スクールまたはOZONEにお問い合わせ下
さい。
5・1・1 ライン
ENZO2は、究極の性能が出せるように最適化されています。新品のラインは非常に強く、楽に
実際の荷重試験および計算上の必要強度をクリアーしています。しかしながら、素材の性質、そ
の細さ、そしてライン本数が少ないことから、ラインの取り扱いには特に気を使うことが致命的に
重要です。ラインが破損したり破断したりした状態では、決して飛ばないように警告します。
重要:全ラインを、推奨されている交換時間...150時間ごとに交換して下さい。
ENZO2 - 8 -
5・2 グランドハンドリング
多くのグライダーは不注意なグランドハンドリングによりダメージを受けます。以下にグライダー
の寿命を延ばすためにしてはならないことを列挙します。
※グライダーを地面に引きずらない。キャノピークロスを劣化させます。
※強風時ラインの絡みを取る前にキャノピーを広げる。ラインに不必要な荷重がかかります。
※キャノピーあるいはラインの上を歩かない。
※キャノピーを立ち上げて激しく地面に落とさない。地面に落とす前にグライダーに近づきスムー
スに下ろすこと。
リーディングエッジから地面にキャノピーを叩き付けないこと。グライダーの生地および縫い目
に過大な荷重がかかり、セルが破裂します。「縫製不良」、「生地が弱い」などのクレームの殆
どはこのリーディングエッジをたたきつけることが原因です。
塩分を含んだ空気中ならびに表面がざらついた場所(砂、岩肌など)でのフライトや強風下で
のグランドハンドリングは劣化を早めます。
5・3 グライダーのたたみ方
グライダーを出来るだけ長持ちさせ、かつリーディングエッジ補強用プラスティックパイプを出
来るだけ良いコンディションに保つために、グライダーのたたみ方は慎重に行ってください。
以下に示すように、翼端から翼端まで、各セルが隣り通しになりプラスティックパイプが折れな
いように蛇腹折りでたたむことを強く推奨します。また付属されている折り畳み用フォーム枕を使
用して折りたたんだ時にプラスティックパイプが強く折り曲がらないようにしてください。このフォー
ム枕は圧縮した状態を接続されているテープで保持してハーネスに収納することができます。
オゾン・ウインナーバッグ(オプション)を使用するとグライダーが長持ちし、かつグライダーの
パッキングを素早く簡単に行うことが出来ます。
1. ラインを絞ってマッシュルーム状に
なったグライダーを地面あるいはウィンナーバッ
グの上に置きます。グライダーを完全に展開し
た状態から、蛇腹折りをするとリーディングエッ
ジ上面が地面と擦れるので、このマッシュルー
ム状からたたみ始めるのがベストです。
2. Aライン取付部がほぼ一直線にな
るように、プラスティクパイプが隣り合わせに重
なるようにリーディングエッジ部分をひとまとめ
にします。グライダーのセンターで2つ折りにせ
ず、翼端から翼端までを蛇腹折りとします。
- 9 - ENZO2
3. BおよびCライン取り付け部を引き
出しながら、グライダーの中央から後方部分をひ
とまとめにします。
もし、ウィンナーバッグを使用しているなら、ステップ7以降にしたがって下さい。
4. リーディングエッジからトレーリング
エッジまでが整頓されたら、グライダーを横向き
にします。
5. プラスティックパイプを折り曲げない
ように十分注意しながら、折り畳みまくらをAおよ
びBライン取り付けタブの中間あたり(プラスティ
ックパイプが細くなった部分)に固定し、リーディ
ングエッジ部を折り畳みます。その上にトレーリ
ングエッジ部をプラスティックパイプを折り曲げな
いようにゆったりと折り重ねます。
ENZO2 - 10 -
6. 折りたたんだグライダーを、インナーバッグに
収めます。
7. ウインナーバッグを使用しているな
ら、ファスナーで何も挟み込まないように注意し
ながらファスナーを閉めます。
8. ウィンナーバッグごとグライダーを
横向きにします。
- 11 - ENZO2
9. プラスティックパイプを折り曲げな
いように十分注意しながら折り畳みまくらをAお
よびBライン取り付けタブの中間あたり(プラステ
ィックパイプが細くなった部分)に固定し、リーデ
ィングエッジ部を折り畳みます。
その上にトレーリングエッジ部をプラスティッ
重ねます。
重要:グライダーをたたむ前に、地面に広げないこと。蛇腹折りする際に、キャノピー上面を
地面に擦って摩耗させてしまいます。常にマッシュルーム状から蛇腹折りするか、蛇腹折りする
際にキャノピーが地面と擦れないように持ち上げてください。
重要:キャノピーをセンターで二つ折りしないこと。プラスティクパイプを折り曲げる危険性が
あります。翼端から翼端まですっかり蛇腹折りしてたたんでください。
昆虫:昆虫をグライダーと一緒にたたまないように注意して下さい。ある種の昆虫(例えばバッ
タ)は腐敗して酸を出し、キャノピー生地に穴を開けてしまいます。
フライト
グライダーに慣れるために立ち上げ練習あるいは練習場での短距離滑空をすることを推奨しま
す。その後、穏やかなコンディションでフィーリングをつかむためのフライトに移行してください。
また、何か僅かでも疑問があるときはお近くのディーラーあるいはインストラクターに聞くように
して下さい。自分勝手に判断することは大変危険です。
6・1 テイクオフの準備
リーディングエッジがはっきりと円弧を描くぐらいに、ティップよりセンターが斜面上方へ行くよう
に、キャノピー上面を下にして広げます。ラインを片側ずつ引き出し、ライザーを持ち上げ、ブレー
ENZO2 - 12 -
クから始まって、BそしてAとそれぞれのラインのよじれ、絡みを取ります。結び目がないかも確認
して下さい。同じように反対側のラインもチェックして下さい。ブレークラインが岩、枝などに絡んで
いないかをチェックすることは常に重要です。
テイクオフチェックリスト
1.レスキューのチェック:ピンがはまっておりレスキュートグルが適切な位置にあるか。
2.ヘルメットを装着しベルトが締められているか。
3.ハーネスの全てのバックルが締結されているか。レッグストラップの再確認。
4.カラビナおよびラピッドリンクがきっちりと締められているか。
5.ブレークトグルとAライザーを握っているか。
6.ラインが絡んでいないか。
7.インテークが開いているか。
8.風に正対しているか。
9.飛行空域がクリアーで視界が良好か。
6・2 離陸
ENZO2は、フロントおよびクロスでのテイクオフが可能です。
注意:ENZO2は、非常に早く立ち上がります。特に、これまで使用してきたグライダーの立ち
上がりがゆっくりであった場合には、立ち上げ方法を適切に調節する必要があります。
フロントテイクオフ-無風あるいは微風でのテクニック:1歩目からラインが張られるようにグライ
ダーから離れて立ち、ゆっくりと正面を向いて走り始めます。キャノピーは直ぐにはらみ始めます
のでキャノピーが頭上に来るまでライザーに一定のテンションをかけ続けます。ライザーを過度に
引き下げたり、前に押し出したりしないで下さい。インテークが変形したり、潰れたりして、離陸が
難しくなったり危険になったりします。離陸のための助走中はスムースに加速して下さい。あわて
たり、急いだりする必要は有りません。離陸する前に見上げてキャノピーをチェックするだけの十
分な余裕がなければなりません。キャノピーがしっかりと開いているのを確認したらさらに加速し
離陸します。
クロステイクオフ-強風時のテクニック:フロントテイクオフ時と同様にセットし、カラビナにライザ
ーを付け、ブレークトグルを握ってから、片側の全てのライザーを頭上にかざしながら身体を半回
転させ、キャノピーの方へ正対します。次にブレークをわずかに引き、絡みがないのを確認し、全
てが問題ないのを確認し、後ろに体重をかけながら、Aライザーを引きキャノピーを立ち上げます。
キャノピーが頭上を追い越さないように適切にブレークを引きキャノピーを頭上に安定させます。
キャノピーがしっかり開いているのを確認して身体を半回転させ離陸します。
より風が強い場合にはキャノピーがはらみ、立ち上がり始めたらキャノピーの方へ数歩歩み寄
るのがコツです。こうすることでグライダーのエネルギーを和らげグライダーが一気に立ちあがり
前にダイブするのを防ぐ事が出来ます。
このクロステイクオフは驚くほど弱い風の場合にも使用することが可能です。
- 13 - ENZO2
注意:グライダーが完全にはらんでいない状態あるいはピッチならびにロールのコントロールが
効かない状態では決して、離陸しないこと。
6・3 旋回
ENZO2は、比較的ブレークが軽く、非常に敏感です。慣れるまでは、急激な操作はせず、バンク
角がゆるやかで穏やかな旋回をしてください。ブレークを引きすぎると、過度のロールや急激な旋
回に入ったり、スピンしたりする危険がありますので十分注意してください。
6・4 アクセルの使い方
向かい風でのぺネトレーションを良くしたり、シンク、横風あるいは向かい風での滑空比を上げ
たりするには、アクセルを使用してトリム速度より速く飛ばなければなりません。アクセルを50%
まで利かせることで滑空比ならびに安定性はそれほど減少させずに飛行性能を上げることが出
来、次のサーマルに速くなおかつ高く到達することが出来ます。アクセルで加速するには、まずブ
レークを開放し(ブレークを手首に巻いていたら、それも戻します)、Bライザーを掴みます。その
後アクセルをスム-スにゆっくりと踏み込みます。こうすることで迎角を急激に変化させずに効率
良くグライダーは加速することが出来ます。Bライザーを通してグライダーの動きを感じ取り、アク
セルとBライザーを使ってアクティブコントロールをするようにして下さい(14ページ参照)。
アクセルを100%利かせることでENZO2は非常に高速で飛行しますが、安定性は減少します。
アクセルを100%利かせるのは、大気が非常に安定している時のみとし、Bライザーおよびアク
セルを使ってアクティブフライトを心がけてください。
重要:アクセルを使用して乱気流中をフライトしている際に、アクティブにフライトするためにブレ
ークを使用しないように。そのような状況で、ブレークを使用するとグライダーは潰れやすくなりま
す。
重要:周りの大気の状況に合わせて速度を調整して下さい。気流が乱れてきたらアクセルを元に
戻し、ブレークおよびBライザーを使用してアクティブフライトを心がけて下さい。
6・5 アクティブフライト
アクティブフライトはグライダーを出来るだけ安定させ効率良く飛ばせるため、また乱気流中で
潰れを防ぐために必要なテクニックです。アクティブフライトの目的は、グライダーの迎角と内圧を
コントロールすることです。これは、ブレークおよびBライザー(6・6項参照)を使用して行います
が、気流の乱れが大きい場合には、ブレークを使用することをお勧めします。
乱気流中では、ブレークを少し利かせた(20cmほど引き込む)状態でフライトします。こうする
ことでグライダーを潰さないためには、きわめて重要なグライダーからのフィードバックを感じ取る
ことが出来ます。また、内圧の状態と、潰れが起きそうかの兆候を直接的に現すグライダーを目
視することが重要です。操作は、対称的であることもありますし、非対称であることもあります;内
圧をスパンおよびコード方向に一定に保つために、ブレークを両方引き込むかあるいは片側だけ
を引き込むか。また、予期せぬ失速に入らないように乱気流中ではブレークをあまり長い時間、
ENZO2 - 14 -
引き過ぎないように注意してください。常に、グライダーの速度を考慮して下さい。
注意:いかなるパイロット、グライダーも潰れを避けることは出来ませんがアクティブにフライトす
ることで潰れの危険性を減らすことが出来ます。気流が乱れている時にはよりアクティブになお
かつグライダーの挙動を予測することが大切です。常に対地高度に注意し、オーバーな反応は
避けてください。またブレークは決して離さないように。気流の悪いところは飛ばないように忠告し
ます。
トリム速度あるいは加速している時にBライザーによる
グライダーコントロールを推奨します。この方法により、グ
ライダーのフィーリングならびにグライダーのコントロール
性を向上することが可能となり、(抵抗の増大とピッチング
の動きが出てしまう)ブレークを使わずにアクティブにフラ
イトすることが出来ます。ダイレクトなフィーリングにより、
潰れが起きる前にそれを防止し、乱れた気流中を高速か
つ高レベルの効率を保ったまま飛行することが出来ま
す。
Bライザーで飛行するには、ブレークトグルを持ったまま
(ブレークコードを巻いていた場合は、戻して)、Bライザーの
上部、ラピッドリング近くに取り付けられている赤色のトグル
を保持します。この状態で、迎角をダイレクトにコントロールす
ることが可能になります:やさしくBライザーを引き下げること
で、迎角を上げることが出来、Bライザーを戻すことで元の迎
角に戻すことが出来ます。Bライザーで乱気流中をアクティブ
にフライトすることも可能です:キャノピーの内圧が下がるの
を感じたら、潰れを避けるためにBライザーを適量瞬時に引
き下げ、迎角を上げます。もし、リーディングエッジの内圧が
下がるのを感じたり、グライダー下面のAライン取付け部とB
ライン取付け部との間にしわが出るのを発見したら潰れが起
きないように、素早くBライザーを引き込みます。どれくらい引くかは、内圧の下がり具合と乱気流
の程度にもよりますが、大きくピッチの動きが出たり、予期せず失速に入ったりするような、ゆっく
りと大きく引き下げることは避けて下さい。
アクセル使用時、Bライザーによるアクティブコントロールは、グライダーの効率と安定性を増大
させます。アクセル使用時に、Bライザーを引き下げることは、アクセルを戻すのと、同じ効果を生
じさせます。つまり、速度、迎角そして内圧のダイレクトなコントロールが全て同時にあなたのもの
となるのです!アクセルの積極的なコントロールとの相乗効果で、Bライザーを操作することで、
乱流中での速度とキャノピー内圧を最適化し、より速い平均速度を保持しながら思わぬ潰れをも
回避することが可能となります。アクセルを踏んでいる時に、大気が僅かに乱れ始めたら、Bライ
ザーを僅かに引き込み、大気の乱れが収まったら、Bライザーを戻して、速度を上げることが出
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来ます。通常の大気中を高速で効率良く飛ぶには、常にグライダーの状況に注意を払わなけれ
ばなりません。グライダーを潰さずに内圧を保つには、Bライザーの操作とアクセル調整を複合
的に操作することが要求されます。
注意:このコントロール方法は、大きな乱流のない、条件の良い通常の大気中で適している
もので、強い乱流の発生している中で、適切なブレークによるアクティブフライトに取って代わるも
のではありません。大気の状態が良く分からない場合には、トリム速度に戻し、Bライザーを離し
てブレークによるアクティブフライトに戻してください。
重要:グライダーの一部あるいは全体を失速させる危険があるので、Bライザーを大きく操作
しないように注意して下さい。この新しいコントロール方法は、直観的で効率よく安心して出来る
ようになるまでに時間がかかります。慎重に時間をかけて練習してください。
6・7 着陸
ENZO2のランディング特性は、特に変わったところはありませんが、滑空比が良いので、狭い場
所あるいは斜面に沿ってランディンするには非常に高度の技術を必要とします。慣れるまでは、
広く平らなランディング場を選択するようにしてください。
高度なフライト技術
7・1 翼端折り
翼端を折ることで、前進速度を維持しながら、沈下速度を増加させることが出来ます。これは雲
から逃れる、あるいは強風時に降下するのに有効な手段です。翼端を折るにはブレークを持った
状態で、左右両側の最も外側のAラインとスタビライザーに取り付けられているラインを共に掴み、
引き下げ(出来るなら片側づつ)、翼端が潰れて後方にたなびくようにします。
翼端が折れた状態では翼面積が減少し、その結果失速速度が増加していることに注意して下
さい。速度を維持し、潰れの回復のために注意深く使用する以外にブレークを操作しないで下さ
い。翼端を折った状態での方向転換には体重移動のみを使用して下さい。
翼端折りを回復させるには、引き下げていたラインを両方同時に離して下さい。回復を早めるに
は片側ずつブレークを注意深く使用して下さい。ディープストールあるいはフルストールに入る危
険性があるので両方のブレークを同時に深く引き下げることはしないように十分注意してくださ
い。
沈下速度をもっと増すにはアクセルの併用が考えられますが、まず翼端を折るのを先に行って
ください。
重要:アクセルを先に効かせた状態で翼端を折ろうとすると大きく非対称に潰れる危険性がある
ので決してしないように注意して下さい。
翼端折りをした状態でスパイラルダイブに入れることも可能ですが過度の荷重がラインにか
かりグライダーが破損する危険性があります。翼端折りした状態でのスパイラルは決してしない
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ようにして下さい。
7・2 ウイングオーバー
ENZO2はアクロバット用には設計されていません。限度は一般にウイングオーバーと呼ばれて
いるタイトなS字旋回までです。このときもバンク角は60度を超えないようにして下さい。
警告:均整の取れていないウイングオーバーは大きい片翼潰れを起こしたりクラヴァットしたりす
ることが有りますので低高度でのウイングオーバーは行わないで下さい。
7・3 Bラインストール
ENZO2でBラインストールは出来ません。
7・4 スパイラルダイブ
ENZO2では、スパイラルダイブが最も効率の良い短時間での降下手段です。
スパイラルに入れるには旋回する方向を見てそちらに体重を移した後、旋回内側のブレークを
スムースに引き下げます。するとENZO2は360度回ったあたりからスパイラルへと入って行きま
す。スパイラルに入ったら旋回外側のブレークをあて翼端が潰れないようにします。
スパイラルダイブでは8m/s(500ft/min)以上の沈下率を得ることは可能ですが、このような高
速度およびそれに伴うG荷重により平衡感覚が失われますので特に対地高度に注意を払わなけ
ればなりません。
スパイラルダイブから抜け出るには、体重をニュートラルに戻し、ゆっくりと旋回内側のブレーク
を戻します。グライダーが減速し始めたら、過度にピッチアップしないようにエネルギーを徐々に
開放するように旋回を継続しながら、最終的に水平飛行に戻るようにして下さい。
重要:8m/sを超える沈下率のスパイラルダイブも可能ですが行わない様にして下さい。危険で
も有りますし、グライダーに過度の負荷をかけることになります。
重要:スパイラルダイブは平衡感覚を失わせ、回復するのに時間と高度を必要とします。低高度
では決してしない様に。より効率良く安心してスパイラルが出来るアンチGドラグシュートの使用
を推奨します。
異常事態
8・1 潰れ
パラグライダーは骨組みが無い構造の為、乱気流により翼の1部または全部が潰れることがあ
ります。アクティブフライトをすることで、潰れを防ぐあるいは少なくとも劇的に減らすことが出来ま
す。Bライザーあるいはブレークを使用して常にグライダーの状況を感じ取って下さい。内圧の低
下を感じたり、AおよびBライン取付け部の間にしわが出始めるのを見つけたら素早く操作するこ
とで潰が起きるのを防いだり、少なくとも潰れの大きさや潰れに起因する結果を顕著に減らすこと
が出来ます。
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非対称の潰れ:
非対称の潰れが起きた場合に、まずしなければいけないのは方向をコントロールすることです:
斜面、障害物あるいは他のフライヤーから離れる方向、少なくともぶつからないようにグライダー
をコントロールして下さい。
非対称の潰れには体重を潰れていないほうに移し、旋回しないよう最小限のブレークを利かせ
ることで対処して下さい。このような操作で通常は回復します。潰れた方向に旋回に入るのを止
めようとして潰れていない側の翼を失速させないように注意して下さい。
もし潰れが自然回復しない場合には、潰れた側のブレークを長いストロークでスムースに、1-
2秒に1回の割合で上下して下さい。ブレークをむやみに上下することは役に立ちません。また、
ゆっくりし過ぎると失速に入る危険が有ります。注意して下さい。
もし潰れが非常に大きく、生きている側の翼を失速させずに旋回を止めることが出来ない場合
には、無理に旋回を止めようとせず、身体を旋回方向に向けながら(ライザーがツイストしないよ
うに)失速しない程度にブレークを当てます。ダイブによるエネルギーで潰れは回復に向かいま
す。ブレークと体重移動を使って方向をコントロールし通常滑空へ戻します。
Bライザーを使ってアクティブフライトをしている時に非対称潰れが起きた場合には、ライザー
を離しブレークでコントロールして下さい。
対称の潰れ:
小さい対称潰れは、通常パイロットの操作なしに回復します。しかしながら大きく対称に潰れた
(コードの40%以上)場合には、潰れが起きたら瞬時に素早く対称的にブレークを30~50cm引
き下げます。この操作で回復を早めることが出来、スパン方向のコントロールをしグライダーが団
子状や馬蹄形になることを防ぎます。クラヴァットに陥る可能性を排除するために、翼端が決して
くっつきあわないように常に操作(ブレークあるいはBライザーで)する必要があります。
Bライザーを使ってアクティブフライトをしていた時に対称潰れが起きたならば、回復させるため
に(例えばブレークを使用するために)何も離すことなく、Bライザーを使って潰れの回復をするこ
とが出来ます。また、Bライザーを使ってフライトしていた時に非対称のつぶれが起きた場合には、
ライザーを離してブレークを使って回復操作をしてください。
アクセル使用時に潰れた場合には、直ぐにアクセルを元に戻し、アクティブにグライダーをコン
トロールしてください。
重要:決して翼端がくっつきあわないあるいはラインに絡まないように適切な操作をしなけれ
ばなりません。
8・2 クラヴァット
クラヴァットとは翼端がラインに絡んだ状態を言います。この状態になるとコントロールがほとん
ど不可能なスパイラルダイブに移行します。クラヴァットからの回復でまずしなければならない最
も重要なことは、方向のコントロールをすることです。方向のコントロールをしたら、クラヴァットし
ている側のスタビライン(赤の被覆されたライン)をラインにテンションがかかり、翼端が引き下げ
られるまで引き下げてください。数回操作する必要があることもあります。またクラヴァットが大き
かったりしつこかったりした場合には、必要なテンションがかかるまでスタビラインを、手を持ち替
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えて引き込まなければならないこともあります。この操作で通常のクラヴァットは回復しますが
大きなクラヴァットあるいは回復しない場合には、大きくブレークを引き下げる必要があります。こ
の際、思いがけず失速させないようにブレークの当て方には十分注意が必要です。
グライダーを失速ポイント(あるいはフルストール)に入れることでクラヴァットしているラインの
テンションが下がり、回復することもあります。しかしこの操作はやり方を事前に習熟しておりなお
かつ高度が十分にある場合にのみ行ってください。回復操作に自信がないあるいは旋回が加速
してコントロールできない場合は高度が残っているうちにレスキューを使用しなければなりませ
ん。
8・3 ディープストール/パラシュートストール
ENZO2は、ディープストールに入る傾向はありませが、万が一、その様な状態になったら、すぐ
にブレークコードをニュートラルに戻してください(手首に巻いていた場合は、それも開放します)。
通常はそれで、ディープストールから抜け出るはずです。万が一、数秒たっても抜け出ない場合
は、通常滑空状態に戻るまでアクセルを使用して下さい。ブレークは通常滑空状態に戻ったこと
(対気速度を確認)を確認してから使用して下さい。
重要:ブレークを数cm引き込んだだけでグライダーは失速し続ける可能性があります。ブレーク
を手首に巻き込んでいた場合には、これをまず離してから回復操作を行って下さい。
重要:雨の中でフライトしないように。雨の中でフライトするとディープストールに入る危険性が顕
著に増加します。雨中での失速の可能性を減らすためにブレークの深い操作は避け、安全にラ
ンディングできる場所を見つけ、常に良い対気速度を保持するように心がけて下さい。
8・4 マヌーバー
ENZO2は、コンペにおけるフライトで真価を発揮できるようにデザインされた最新の性能を持っ
たグライダーで経験豊富なパイロットのみがフライト出来るものです。ENZO2は、マヌーバー技術
を学ぶためのグライダーではありません。ENZO2でマヌーバーをする前に、認証を取得したアス
ペクトの低いグライダーであらゆるマヌーバーのトレーニングを十分積んで対処できる力量が無
ければなりません。
重要:ライン取付位置の関係から、故意に生じさせる潰れは、認証テスト時の潰れを再現したも
のにはなりません。オゾンは、このグライダーでの対称・非対称の潰れなどのマヌーバーを行わ
ないように勧告します。
重要:マヌーバートレーニングは、必要な安全装備を用意し経験豊富で資格のあるインストラクタ
ーの監視の下、水上でのみ行って下さい。
8・5 アクロバット飛行
ENZO2はクロスカントリータスクのコンペで勝利することを目的としてデザインされており、アク
ロバット飛行には適していません。
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