だけで、外から見て分かる障害関連の症状はすぐには発生しません。弱まったトレースが機能停止するまでには数週間または
数ヶ月かかることがあり、それまでの間に、メモリ整合性の劣化、断続的メモリエラーなどが発生する可能性があります。
認識とトラブルシューティングが困難なのは、「断続的」(「潜在的」または「障害を負いながら機能」とも呼ばれる)障害です。
ESD による破損を防ぐには、次の手順を実行します。
• 適切に接地された、有線の ESD リストバンドを使用します。ワイヤレスの静電気防止用リストバンドの使用は、現在許可され
ていません。これらのリストバンドでは、適切な保護がなされません。パーツの取り扱い前にシャーシに触れる方法では、感度
が増したパーツを ESD から十分に保護することができません。
• 静電気の影響を受けやすいすべてのコンポーネントは、静電気のない場所で扱います。可能であれば、静電気防止フロアパッド
および作業台パッドを使用します。
• 静電気の影響を受けやすいコンポーネントを輸送用段ボールから取り出す場合は、コンポーネントを取り付ける準備ができるま
で、静電気防止梱包材から取り出さないでください。静電気防止パッケージを開ける前に、必ず身体から静電気を放出してくだ
さい。
• 静電気の影響を受けやすいコンポーネントを輸送する場合は、あらかじめ静電気防止コンテナまたは静電気防止パッケージに格
納します。
ESD フィールド・サービス・キット
最も頻繁に使用されるサービスキットは、監視されないフィールド・サービス・キットです。各フィールド・サービス・キットは、静電
対策マット、リストストラップ、そしてボンディングワイヤーの 3 つの主要コンポーネントから構成されています。
ESD フィールド・サービス・キットのコンポーネント
ESD フィールド・サービス・キットのコンポーネントは次のとおりです。
• 静電対策マット - 静電対策マットは散逸性があるため、サービス手順の間にパーツを置いておくことができます。静電対策マッ
トを使用する際には、リストストラップをしっかりと装着し、ボンディングワイヤーをマットと作業中のシステムの地金部分の
いずれかに接続します。正しく準備できたら、サービスパーツを ESD 袋から取り出し、マット上に直接置きます。ESD に敏感
なアイテムは、手のひら、ESD マット上、システム内、または ESD 袋内で安全です。
• リストストラップとボンディングワイヤー – リストストラップとボンディングワイヤーは、ESD マットが不要な場合に手首と
ハードウェアの地金部分に直接接続したり、マット上に一時的に置かれたハードウェアを保護するために静電対策マットに接続
したりできます。皮膚、ESD マット、そしてハードウェアをつなぐ、リストストラップとボンディングワイヤーの物理的接続を
ボンディングと呼びます。リストストラップ、マット、そしてボンディングワイヤーが含まれたフィールド・サービス・キットの
みを使用してください。ワイヤレスのリストストラップは使用しないでください。リストストラップの内部ワイヤーは、通常の
装着によって損傷が発生します。よって、事故による ESD のハードウェア損傷を避けるため、リスト・ストラップ・テスターを
使用して定期的に確認する必要があります。リストストラップとボンディングワイヤーは少なくとも週に一度テストすること
をお勧めします。
• ESD リスト・ストラップ・テスター – ESD ストラップの内側にあるワイヤーは、時間の経過に伴って損傷を受けます。監視され
ないキットを使用する場合には、サービスコールのたびに定期的にストラップをテストすることがベストプラクティスです。最
低でも週に一度テストします。テストには、リスト・ストラップ・テスターを使用することが最善です。リスト・ストラップ・テス
ターを所有していない場合には、地域オフィスに在庫を問い合わせてください。テストを実行するには、リストストラップを手
首に装着した状態で、リストストラップのボンディングワイヤーをテスターに接続し、ボタンを押してテストを行います。テス
ト合格の場合には緑の LED が点灯し、テスト不合格の場合には赤い LED が点灯し、アラームが鳴ります。
• 絶縁体要素 – プラスチック製のヒートシンクの覆いなど、ESD に敏感なデバイスを、高く帯電していることが多いインシュレ
ータ内蔵パーツから遠ざけることが重要です。
• 作業現場環境 – ESD フィールド・サービス・キットを配備する前に、お客様の場所の状況を評価します。たとえば、サーバ環境用
にキットを配備するのと、デスクトップや携帯デバイス用にキットを配備することは異なります。サーバは通常、データセン
ター内のラックに設置され、デスクトップや携帯デバイスはオフィスのデスク上か、仕切りで区切られた作業場所に配置されま
す。物品が散乱しておらず ESD キットを広げるために十分な平らな広いエリアを探してください。このとき、修理対象のシス
テムのためのスペースも考慮してください。また、作業場所に ESD の原因と成り得る絶縁体がないことも確認します。ハード
ウェアコンポーネントを実際に取り扱う前に、作業場所では常に発泡スチロールおよびその他のプラスチックなどのインシュ
レータは敏感なパーツから最低 30 cm(12 インチ)離して置きます。
• 静電気を防止する梱包 – すべての ESD に敏感なデバイスは、静電気の発生しない梱包材で発送および受領する必要がありま
す。メタルアウト/静電気防止袋の使用をお勧めします。なお、損傷した部品は、新しい部品が納品されたときと同じ ESD 保護
袋とパッケージを使用して返却される必要があります。ESD 保護袋は折り重ねてテープで封をし、新しい部品が納品されたとき
の箱に同じエアクッション梱包材をすべて入れてください。ESD に敏感なデバイスは、ESD 保護の作業場でのみパッケージか
ら取り出すようにします。ESD 保護袋では、中身のみ保護されるため、袋の表面に部品を置かないでください。パーツは常に、
手の中、ESD マット上、システム内、または静電気防止袋内にあるようにしてください。
• 敏感なコンポーネントの輸送 – 交換用パーツやデルに返却するパーツなど、ESD に敏感なパーツを輸送する場合には、安全に輸
送するため、それらのパーツを静電気防止袋に入れることが非常に重要です。
4 コンピュータ内部の作業