Thermo Fisher Scientific STEMPRO hESC SFM 取扱説明書

タイプ
取扱説明書
27 July 2007 100000118
はじめに
従来のヒト胚性幹細胞(ヒES 細胞、hESC)培養法は、マウスまたはヒト線維芽細胞によるフィーダー細胞層
を用いるか、フィーダー細胞のコンディション培地を使用する必要がありました。これらの培養法は多大な労
力を要し、培養スケールの変更が困難な上、hESC を未分化のままで維持することが困難です。弊社が開発
した STEMPRO® hESC SFM は、フィーダー細胞を使用せず、血清フリー培地(SFM)で hESC の培養を可能
とし、これらの問題に対する画期的な解決策となります。
STEMPRO® hESC 添加剤: ヒト由来成分は、抗 HIV 1 抗体、抗 HIV 2 抗体、抗 HCV 抗体、および HBsAg
抗体には反応しません(ドナーレベル)。確立されたバイオセーフティ手法に従っ
てお取り扱いください。
内容 カタログ番号 内容量 保存 使用期限
STEMPRO® hESC SFM には以下の試薬が含まれます。 A10007-01 1 kit -- --
GlutaMAX™含有 DMEM/F-12 10565-018 500 mL 28°C(遮光) 12 ヵ月
STEMPRO® hESC 添加剤 A10006-01 10 mL –5–20°C(暗所) 12 ヵ月
ウシ血清アルブミン 25%(BSA A10008-01 40 mL 28°C(遮光) 12 ヵ月
STEMPRO® hESC SFM
はキットとして提供しており、構成品
A10006-01
A10008-01
の個別販売はしておりません。
使用目的
STEMPRO® hESC SFM は研究用(RUO)です。
注意:ヒトまたは動物の診断や治療用に使用するこ
とはできません。
特徴
STEMPRO® hESC SFM は広範囲な試験を行ってお
り、以下の特徴を有することが証明されています。
80 継代以上にわたり hESC の増殖を維持し、3
種類の生殖細胞系への分化能も維持され(図 1)、
核型異常は見られません。
様々な hESC 系の多分化能についても維持して
います。現時点のテスト済み細胞はこちらよりご
参照いただけます。
www.invitrogen.com/stempro/hesc
hESC の多分化能を維持しながら細胞数 1×109
個以上にスケールアップすることができます(図
2)。
フィーダー細胞の培養の必要がなく、フィーダー
コンディション培地を用意する必要もありま
ん。
増殖因子濃度が安定しているため、より再現性
の高い結果が得られます。
1STEMPRO® hESC SFM で培養した BG02 細胞(25 継代目)
由来の奇形腫の解析により、外胚葉、中胚葉、内胚葉への多分
化能が示されました。NSE:ニューロン特異的エノラーゼ、pCK
パンサイトケラチン、EG:内胚葉腺
2STEMPRO®
hESC-SFM でスケール
アップした BG02 細胞は、
予測どおりの多能性マー
カーパターンを示しました
(フローサイトメトリーで測
定)。
保存および取り扱い
STEMPRO® hESC SFM 添加剤は凍結状態で提
供されます。使用前に添加剤を解凍し、使用
る量に分注して再凍結した後、直ちに-20°C
保存してください。
詳細は「培地の調製」の項を
ご覧ください。
S
TEMPRO® hESC SFM 添加剤の凍結と解凍
繰り返しは避けてください
解凍した STEMPRO® hESC SFM 添加剤は 2
8°Cで保存してください(1週間まで安定)。
調整した STEMPRO® hESC SFM 完全培地は、2
8°Cで遮光保存して 1週間安定です。2-メルカ
プトエタノールは保存中毎日添加してください
詳細は「培地の調製」の項をご覧ください。
hESC 培養の重要なガイドライン
STEMPRO® hESC SFM による hESC の安定な増殖
および、分化の防止のため以下のガイドラインに
従ってください。
培養の開始:本培養は、細胞密度を高く保ち、多
くの細胞が未分化の状態を維持している必要が
あります。細胞は、Matrigel™または Geltrex™
上で、マウス胚性線維芽細胞のコンディション培
地(MEF-CM)を用いて培養された hESC を使用
するか、または MEF-CM を使用せずに、
CELLstart™上で培養した hESC を使用してくだ
さい。
細胞の継代:コロニーの藩種率/生存率を高く
保つことが重要です。コロニーは、Matrigel™
たは Geltrex™MEF-CM で増殖した一般的な
コラゲナーゼによる継代よりも若干小さくなりま
す。
継代培養中にある程度の細胞死は起こります。
しかし、大規模な細胞死(生存率 20%未満)
起こる場合は、培養状態が良好でないことを示し
ています。
継代培養の時期:非常に重要です。細胞はほぼ
コンフルエントまで増殖させる必要があります。
コロニー同士が接触した状態になっ1日もしく
2日後に回収してください。これにより、通常、
回収時の細胞濃度は 2.54×105細胞/cm2とな
ります。
細胞は長時間コラゲナーゼ処理をしないでくださ
い。コラゲナーゼ量が少ない場合でも、推奨処
理時間は最長で 3分間です
密度:細胞は高密度の状態(60 mm ペトリディッ
シュに 200 個強のコロニー)を維持してください。
培養している hESC は常に分化が起こりうる状
態にあります。培地は毎日加え、培地中の栄養
因子が枯渇しないようご注意ください。明らかな
分化が認められる部分は 21 1/2 ゲージ針を使
用して除いてください。
細胞は、MEF-CM から STEMPRO® hESC SFM
に直接移すことができます。事前に順化させる
必要はありません。
品質管理
製品の試験成績書(CofA) を発行しております。
CofA は下記 URL よりロット番号を記入いただくこと
によりダウンロードできます。
www.invitrogen.com/cofa
hESC の培養環境
培地STEMPRO® hESC SFM
細胞株:ヒト胚性幹細胞(hESC
インキュベーター3638°CCO2濃度 46
培養条件:接着;適切なエアレーション条件と遮光下
の培養を保ってください。
推奨される培養60 mm ディッシュ
必要製品
いくつかの製品はキットに付属しておりません。以下
の製品は別途ご用意ください。
製品 内容量 カタログ番号
bFGF(完全長)REC HU 100 μg PHG0261
2-メルカプトエタノール 50 mL 21985-023
コラゲナーゼ タイプ IV 1 g 17104-019
Geltrex™ 5 mL 12760-021
D-PBS 500 mL 14190-144
1. bFGF0.1BSA 含有 DMEM/F-12 10 μg/mL になるよ
うに bFGF を調製します。チューブ 1本あたり 80 μLずつ分
注し、-20°Cで凍結保存します。
2. コラゲナーゼ:DMEM/F-12 にコラゲナーゼタイプ IV 10
mg/mL の濃度になるように溶解します。フィルター滅菌し、
分注して凍結保存します。
3. Geltrex™ボトルを 28°Cで解凍した後、50mL コニカル
チューブに 1mL ずつ分注して、-20°Cで保存します。
Geltrex™によるプレートのコーティング
1. Geltrex™(上記 1mL 分注分)28°Cで解凍し
てください。
2. 冷やした DMEM/F-12 29mL 1mL
Geltrex™に加えて、穏やかに混合してください
3. ディッシュ全面に行きわたるように Geltrex™
液を加えてください(35 mm ディッシュでは 1 mL
60 mm デッシュでは 1.5 mL 加えてください)。
4. 乾燥しないようディッシュをパラフィルムで密封し
37℃で 1時間インキュベートしてください
5. ディッシュを取り出し、室温で約 1時間静置してく
ださい。
6. コーティングしたディッシュは 28°C1週間
存可能です。
7. 使用時は Geltrex™溶液を除き、完全培地で速
やかに細胞を藩種してください。
CELLstartによるプレートのコーティング
CELLstartによる詳細なプロトコールは以下の
URL よりダウンロードできます。
www.invitrogen.com/cellstart.
培地の調製
洗浄用培地:最終濃度が 0.1%になるように、25
BSA D-MEM/F-12 に添加します。
完全培地37°Cの恒温槽で STEMPRO® hESC
SFM 添加剤を解凍し(迅速に解凍)、次頁の表に
従って調製します。
STEMPRO® hESC SFM
完全培地 最終濃度 調製量
500 mL 調製量
100 mL
DMEM/F-12 + GlutaMAX™(1×) 454 mL 90.8 mL
STEMPRO® hESC SFM 添加剤
50× 10 mL 2 mL
BSA 25% 1.8 36 mL 7.2 mL
bFGF10 μg/mL 8 ng/mL 400 μL 80 μL
2-メルカプトエタノール
55 mM 0.1 mM 909 μL 182 μL
培地の保存:調整した完全培地は、28°C、暗所で 1週間保存
可能です。保存中は 2-メルカプトエタノールを上記容量分毎日添
加してください。
コラゲナーゼを用いた継代
1. 適量の 10 mg/mL コラゲナーゼ タイプ IV 溶液、
完全培地、洗浄用培地を、恒温槽37°Cに温
めます。長時間の恒温槽の処理は避けてくださ
い。
2. コロニーの観察のため、顕微鏡をバイオセーフ
ティーキャビネットまたはラミナーフロー内にセッ
トしてください。
3. コロニーを観察し、分化が認められるコロニーは
21 1/2 ゲージ針で掻き取ってください。
4. 培地を除き、12 mL のコラゲナーゼを静かに
添加してください。
5. 3 分間静置し、細胞を基質より剥離させてくださ
い。
6. コラゲナーゼを除去し、D-PBS でリンスした後、
調整した洗浄用培地を 3 mL 添加してください。
7. 滅菌済みの 1000 μLピペットチップを用いて、ペ
トリディッシュから細胞塊を穏やかに掻き取りま
す。
8. 剥離した細胞塊を 5 mL ピペットで静かに 15 mL
チューブに移してください。
9. プレートを 3 mL の洗浄用培地でリンスし、この
洗浄用培地もチューブに移してください。
10. 細胞を 200×g、室温で 2分間遠心してください。
11. 培地を静かに除き、チューブを軽くはじいて細胞
を遊離させてください。
12. 1 mL または 5 mL の血清学用ピペットを用いて、
調整した完全培地で細胞を穏やかに再懸濁して
ください。
13. Geltrex™ コーティング済みプレートより、
Geltrex™溶液を除き、直ちに細胞を播いてくだ
さい。播く前にコーティング済みプレートが、乾燥
しないように注意してください
14. プレートを静かに傾けて細胞塊を均一に広げ、
37°CCO2濃度 5%に設定したインキュベーター
内で培養してください。
15. 翌日より、過剰な細胞の除去および、栄養因子
の補給のため、毎日培地交換を行ってください。
16. 細胞は毎日観察し、必要に応じて、上記プロト
コールに従い細胞を継代してください(通常約 5
7日毎になります)
マークおよび警告表示の説明
製品に記載されたマークの意味を以下に示します。
三角(添付文
書を参照)
バイオハザー
ホームページ
を参照 遮光 保存条件 使用期限
ロット番号/
バッチ番号
GIBCO カタロ
グ番号 研究用 フィルとレー
ションにより無
菌性
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