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Blues Cube Hot について
はじめに
このたびは、ローランド・ギター・アンプ、BluesCubeHot をお買い上げいただき、
ありがとうございます。
この取扱説明書は BluesCubeHot の優れた性能をフルに活かしていただくため
に、また、あらためて「良いギター・アンプとは」ということを確認していただく
のに、きっとお役に立つと思います。また、あなたの音楽生活の良きパートナーと
して末永く愛用していただくためにも、この取扱説明書をよくお読みください。
楽器としてのギター・アンプ
エレクトリック・ギターは、本来アンプと一体となってこそ初めて『エレクトリッ
ク』です。つまり「アンプは楽器の一部である」ということです。
エレクトリック・ギターにとってギター・アンプはアコースティック・ギターのボ
ディーにあたる部分であり、最終的に出てくる音において重要な役割を果たしてい
ます。どんなに素晴らしいビンテージ・ギターを持っていても、良いアンプがなけ
ればその良さが発揮できません。我々は、原点に戻って楽器としての完成度を徹底
的に追求しました。
進化した Tube Logic
BluesCube シリーズは、FenderBassman と同じ、非常にベーシックな真空管回路と同じ構成で
スタートしました。それはすなわちプリ管に、12AY7、続いて 12AX7 が 2 段、パッシブ型のトー
ン・スタック、ロングテール・ペア型フェイズ・インバーター、プッシュプル構成の 6L6GC パワー
管、アウトプット・トランスというパーツで構成される非常に基本的な回路です。さらに、電源は、
GZ34 整流管で動作し、パワー真空管は固定バイアスで動作している状態からスタートしました。
固定バイアス回路では、B+ 電源、C- 電源といった、真空管が動作するポイントを決める非常に重
要な電源があります。それらは、それぞれパワー真空管のゲインや、サチュレーション・カーブ等
と密接に関係しており、真空管の種類だけでなく、その電源の設定が、アンプの音の個性になります。
パワー管に供給する電源が、あるセッティングになったとき、ミュージシャンの求める気持ちよい
サウンドが得られます。すなわち、アタックとサステインを両立した音、言い換えると真空管特有
のバイト感と、コンプレッション感が心地よく響くポイントです。我々は、セッティングを変えて、
よりバイト感を強くしたり、コンプレッション感を強くしたりと、調整を繰り返しました。
音の暖かみや抜けの良さ、ピッキングに対するレスポンスや自然なコンプレッション感、ボリュー
ムを上げたときの独特の艶と音圧感など、チューブ・アンプならではの特長はたくさんあります。
それらをひとつひとつのパーツの精密な動作、さらにそれぞれが相互に作用しあって起こる複雑な
振る舞いを徹底的に分析し、アンプ全体をトータルに設計したのが新しい TubeLogic です。
ギター・インプットからスピーカーに至るまで、複雑に影響しあう膨大な要素を丹念に解析し組み
合わせることにより、単純に各パーツを組み合わせただけのアンプではなく、生々しい楽器として
の存在感を TubeLogic が生み出しています。ピッキング時のバイト感、タッチやボリュームによ
る歪みのコントロール、クランク・アップ時の独特の艶、電源の「サグ」など、ギタリストが愛し
てやまないチューンナップされたビンテージ・チューブ・アンプの個性が BluesCube の至るとこ
ろに宿っています。
専用設計のカスタム ・ スピーカー、材質にもこだわったキャビネット
BluesCubeHot は 30W の出力にレスポンスを追求した専用設計の 12 インチ ・ スピーカーを装備
しています。また、クラシックなオープンバック ・ キャビネットの鳴りを最大限活かすために、抜
けの良い音響特性を持つポプラ材を採用するなどエンジニアの楽器づくりに対するこだわりが随所
にあふれています。