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MULTICOM PRO-XL MDX4600/COMPOSER PRO-XL MDX2600/AUTOCOM PRO-XL MDX1600 取扱説明書
(10) RATIO コントローラーにより、スレスホールド値を 10 dB 以上
超過する全信号の入出力レベルの比率を調整します。コンプ
レッションはその前におこなわれていますが、レベル低減を目
立 た なくするため に IKA がその特性を発揮します。このため、
レシオ値は設 定値を 10 dB 超 過 する信 号 のみを 対 象としてい
ま す 。こ の 値 は 1:1 (コンプレッション無) から ∞:1 (リミッター
機能) まで無段階に調整することができます。
(11) 12 段階 GAIN REDUCTION ディスプレイ (MDX4600 の場
合、8 段階) が、コンプレッションによるレベル低下状況を
1 ~ 30 dB の 範 囲 で 知らせます。
(12) LO CONTOUR ス イ ッ チ に よ り 、サ イ ド チ ェ ー ン 回 路 内 に ハ イ パ ス
フィルターを起動させ、強力なエネルギーを有する低音域周
波数がコンプレッサー制御に与える「ポンプエフェクト」を抑
制します。
(13) ATTACK コントローラーにより、スレスホールド値超 過時のコン
プレッション起動のタイミングを設定します (MDX1600 および
MDX2600 のみ)。設定は 0.3 ~ 300 ミリ秒範囲でおこなえます。
(14) INTERACTIVE KNEE スイッチを押すことにより、「ハード・ニー」
および IKA 特性間の切替をおこないます。入力信号のスレス
ホールド設 定値 超 過が 10 dB 以下の場合には、「ソフト・ニー」
特性による作業がおこなわれます。設定値超過が 10 dB 以上
になると、コントロール特性が従来の「ハード・ニー」コンプ
レッションへと移 行しま す。IKA 特 性 に よ り 、プ ロ グ ラ ム の 音
楽的な濃密化が控えめにおこなわれます。目立つ (可聴な)
コンプレッション効果を避けたい場合に、この特 性を選 択して
ください。
(15) AUTO 機能は AUTO スイッチにより起 動され 、これにより ATTACK
および RELEASE コントローラー機能が停止します。アタック時
間およびリリース時間は自動的にプログラム素材から読み取
られます。この機能により、激しいレベル変化を伴なう信号お
よび複雑なプログラム素材の大掛かりかつ音楽的濃密化が可
能となります。
(16) RELEASE コントローラー (MDX1600 および MDX2600 のみ) によ
り、信号レベルがスレスホールド設定値以下に戻った後に本来
の増幅 (1:1) へ到達するタイミング (ランプダウン時間) を設
定 し ま す 。設 定 は 0.05 ~ 5 秒 範 囲 でおこな えます。
(17) TUBE スイッチ (MDX2600 のみ) により、エレクトロニック・チュ
ーブから生まれる典型的な透明感かつ温もりをもつサウンド
特性を出力信号に与えます。
(18) OUTPUT コントローラーにより、最高 20 dB までの出力信号ブ
ーストおよびカットがおこなえます。これにより、コンプレッ
ションおよびリミッティングによるレベル変化を補正します。
この際、コンプレッションで低減させた値と同じ値だけレベル
のブーストをおこなってください。この値は GAIN REDUCTION ディ
スプレイ (11) により確認することができます。
◊ LIMITER
(29)LIMITER
(19) 12 段階 INPUT/OUTPUT LEVEL ディスプレイ (MDX4600 の場
合、8 段階) が、送られるオーディオ信号レベルおよびダイ
ナ ミ ッ ク プ ロ セ ッ サ ー の 出 力 レ ベ ル 状 況 を 知 ら せ ま す 。こ の
際 、レ ベ ル 状 況 は –30 ~ +18 dB (MDX4600 の場合、–24 ~ +18 dB)
の 範 囲 で 表 示されます。
(20) IN/OUT METER スイッチにより、入力信号 (スイッチを押した状
態) もしくは出力信号 (スイッチを押していない状態) のレベ
ル LED 表 示を選 択 できます。
◊ OPERATING LEVEL
–10 dBV+4 dBu
(21) IN/OUT ス イッ チ に よ り 、該 当 す る チ ャ ン ネ ル を 起 動 さ せ ま す 。
こ の ス イ ッ チ は い わ ゆ る「 ハ ー ド ・ バ イ パ ス 」機 能 を 有 し ま す 。
これはスイッチを押していない状態 (OUT) もしくは装置電源
の接続を切断した際に、入力ジャックが出力ジャックと直接
接続されることを意味します (MDX2600) 。こ の ス イ ッ チ は 通
常、A/B 間の直接比較 (未加工信号と圧縮信号もしくはリミッ
ティングをおこなった信号とをモニタリング比較) をおこなう
際 に使 用します。
まず最初に、レベル境界コントローラー (TRIGGER および LIMITER)
を OFF とすることにより、リミッターおよびエキスパンダーをニュ
ートラル設定すると、コンプレッサーによる設定が簡単におこなえ
るように なります。
コンプレッションを使 用した調整の際には、あなたの「耳」を充
分に活用してください。聞いてみて、好感を与える音が正しい音な
のです。ただし、サム信号加工には極度に高いレシオ値を選択し
ないようにお気をつけください。最初に設定する比率としては 2:1
が適当です。この比率であれば自然な音楽サウンドが保証されま
す。ボ ー カ ル 録 音 で あ れ ば レ シ オ 設 定 を 約 4:1 とすることが 適 切
です。IKA (インターアクティブ・ニー・アダプション) コントロール
特性を使用すると、不可聴かつ緩やかなコンプレッションが可能
となり、高めのレシオ値も設定可能となります。このため、コンプ
レッサーをエフェクトとして使用する場合には高めのレシオ値か
ら試してみ ることも可 能 です。
レベルが目標 値まで 低下したことを GAIN REDUCTION ディスプレ イ
上で確認できるまで、THRESHOLD コントローラーを時計の逆方向
に回してください。この方法で調整をおこなうと、音量低下が明ら
か に 聞 き 取 れ ま す 。そ の 後 、音 量 相 違 が な く な る ま で OUTPUT コン
トローラーを時計方向に回してください。未圧縮信号および圧縮
信号のレベルは INPUT/OUTPUT LEVEL ディスプ レ イ上で 比 較 すること
が 可 能 で す 。こ の デ ィ ス プ レ イ は I/O METER スイッチで 操 作しま す。
ここでは、レベルが同じ値となるように心がけてください。
アタック時間およびリリース時間の AUTO 機 能 に よ り 、プ ロ グ ラ ム
に依存したダイナミック制御が可能となり、大抵の使用環境で好
ましいサウンドを 実 現するとともに不 可 聴 な 加 工 がおこな えます。
「厳密な」もしくは「自由な」サウンド加工をしようとする場合に
は、アタック時間およびリリース時間を手動で設定することも可能
です (AUTO スイッチ を 押 さ な い 状 態 ) 。
始めにやや長めのリリース時間を選択し、その後徐々に短くしてみ
てください。レベル変更を敏速におこなうことによって生じる不自
然な ポンプエフェクトが 確 認されることでしょう。このエフェクト
が 目 立 た なくなる 程 度 に 再 び リリース 時 間 を 長 くしてくだ さい 。
同 様 に ア タ ッ ク 時 間 に 関 し て も 、音 楽 素 材 に 応 じ た 調 整 を お こ な
ってください。コンプレッションを音楽的にかつ目立たないように
するには、アタック時間を長く設 定します。このようにして、高 周
波数信号の立ち上がり部分が同時に発信された高域レベルのバ
スドラムと共にコンプレッションされてしまうような事態を防ぐこ
とが可能となり、透明かつコンパクトなサウンドが維持されるの
です。