ライト・バック・キャッシュへのアクセスは、ハードウェアRAIDコントローラ・カードの多くのメリットの1つです。
ライト・バック・キャッシュは、作業負荷が高い時にライト・データを高性能キャッシュ・メモリに保存することに
よって、アプリケーション・パフォーマンスを改善します。ユーザ要求が途切れると、データはキャッシュ・メモリ
からアレイへと書き込まれます。
通常のライト・バック操作では、データがキャッシュ (DRAM) に書き込まれ、その書き込み命令を出したアプリ
ケーションにI/Oの「完了」が返された後、キャッシュされたライト・データがディスクへとフラッシュされます。もし、
ライト・バック・キャッシュ使用中に電源が失われた場合、DRAMのデータが失われることもあり得ます。コント
ローラは既にI/Oが「完了」したと認識しているので、アプリケーションはこのデータ喪失に気付きません。
このリスクを最小限に留めるために、Enterprise RAIDコントローラはライト・バック・キャッシュを使用する場合、
通常バッテリー・バックアップ (BBU) オプションを推奨します。このバッテリーの目的は、サーバからの電源に
障害が発生した場合の、コントローラへの電力供給です。これにより、RAIDコントローラへの電源が回復されて
キャッシュ・データがディスクへ書き込まれるまで、キャッシュ内のデータが保護されます。
一般的にBBUは非常に有効である一方、メンテナンスと特別な処理が必要で、キャッシュ・データの保護も
限られた期間に留まります。LSIのCacheVaultテクノロジーでは、MegaRAID 6Gb/s SATA+SAS RAIDコントローラ
にフラッシュ・ベースのキャッシュ保護を提供し、BBUの欠点なしで環境に優しくTCO (総所有コスト) を低減する
キャッシュ保護ソリューションを提供します。
環境保護
NANDフラッシュの使用により、今日のBBUで通常見られるリチウム・イオン・
バッテリーの破棄の必要がなくなります。これらのバッテリーは環境に対する
潜在的なリスクがあり、多くの地域で適切な破棄が義務付けられています。
これは、コントローラの寿命の間、バッテリーが交換される度に行う必要が
ある行為です。これらのバッテリーを使用しないことで、環境へのリスクが
なくなり、破棄のためのコストも不要となります。
CacheVaultテクノロジー
CacheVaultテクノロジーは、NANDフラッシュ・メモリとスーパーキャパシタを使用
して、RAIDコントローラのキャッシュ保護を実現します。電源またはサーバに障害が
発生した場合、CacheVaultテクノロジーによって、キャッシュされたデータが自動的に
DRAMキャッシュからフラッシュに転送されます。電源が回復されると、NANDフラッ
シュ内のデータはキャッシュに再度コピーされ、ディスク・ドライブにフラッシュされる
までそこに留まります。このテクノロジーにより、PCI RAIDコントローラでキャッシュ・
メモリを保護するために通常使用されてきた、リチウム・イオン・バッテリーによる
バックアップが不要となります。
LSI 6Gb/s MegaRAID SATA+SASコントローラと
CacheVaultフラッシュ・テクノロジーとの組合せ
で、最適なRAIDパフォーマンスを維持しながら
リチウム・イオン・バッテリーに関連したハード
ウェアのメンテナンスを事実上不要にし、コント
ローラ・カードの寿命の間のTCOの削減と、
さらに環境に配慮したキャッシュ保護を実現
できます。
CacheVaultテクノロジー
標準バッテリー・バックアップ
メンテナンス・スケジュール コントローラの寿命の間必要なし
バッテリーは1~2年毎に交換の必要あり。バッテリーの監視が必要
メンテナンスによる影響 なし バッテリーの交換時には、サーバを開き (ラックから取り出し) オフラインに
する必要あり
データの復元可能期間
3年以上 最大72時間、ただしバッテリーが劣化している場合はそれを下回る
充電時間 システムが起動する際にスーパーキャパシタは
数秒で充電完了
4.5~9時間
キャッシュ保護までの時間 即時
初期の容量テストに24~48時間
在庫要件 なし 緊急な交換用に最低でも少しの在庫を確保する必要あり
破棄の問題 なし 有害なバッテリー素材を安全に破棄する必要あり
LSI® MegaRAID® CacheVault™ テクノロジーー