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■ドラムの録音
通常、ドラムキットを構成する楽器ごとに単一指向性のマイクを近
距離に設置し、シンバルや全体の音を拾うためのエアーマイクを2
本使用します。ハイハットの音量が小さい場合は、ハイハット用に
も単体でマイクを使用しても良いでしょう。エアーマイクにはコン
デンサー・マイクがよく使用されますが、リボンマイクを使う人も
います。近距離に設置するマイクはダイナミック・マイクでもコン
デンサー・マイクでも良いですが、ドラマーの邪魔にならないサイ
ズであることが必要です。
また、ドラム録音ではマイクが楽器と近い距離にセッティングされ
るため、高度な音圧レベル調整が求められます。Astonマイクのパ
ッドスイッチを活用しましょう。Spiritは-10dBと-20dBのスイッチ
が付いているため、ドラム録音では活躍するでしょう。ハイハット
を単独でマイキングする時は、コンデンサー・マイクの使用をお勧
めします。
もしマイクの数が足りなかったり、もっと簡単なセッティングを希
望したりする場合は、バスドラム(キック)用に1本と、全体を録
音するためのエアーマイクを2本、可能ならばスネアドラム用に1本
あれば十分でしょう。この場合、エアーマイクはキット全体の1mほ
ど正面に来るようにセットするのがお勧めです。ポイントはシンバ
ルとその他のバランスが一番良く聴こえる位置を探すことです。
近距離に設置するマイクについてはドラムヘッドから3cmから6cm程
度の距離に、ドラムヘッドの中央を狙って下向きにセットされるこ
とが一般的です。(ドラマーがマイクを叩いてしまわないように注
意しましょう。)
ハイハットのマイキングをする時は、マイクを15cm程度離して録音
しますが、ハットシンバルが閉じた時の風圧を受けないよう、シン
バル平面よりも高めの位置にセットします。また、他のパートの音
が極力入らない位置を探しましょう。
バスドラムのマイキングをする時は、フロントヘッド側(前面)に
ある穴を活用してドラムシェルの中(10cm~15cm程度)にマイクを
入れて、ビーターの打点を狙うのが最も一般的です。ほとんどのエ
ンジニアは低音感度に幅のあるムービング・コイル型のマイク(
ダイナミック・マイクの一種)を選びます。しかし、音圧レベル
(SPL)135dB以上のスペックを持つコンデンサー・マイクで代用す
ることが可能です。フロントヘッドに穴がない場合は、ペダルの稼
働音に注意しながら、バスドラム後方10cm~20cm程度の距離から録
音してみましょう。
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The Art of Performance